SONIC MANIA 2024が最高だった話
去年に続いて今年も行ってきました。簡単なレポート兼備忘録です。タイトル通り最近参加したライブ・イベントの中でも屈指の満足度だったこともあり、結構熱量高めに書いているので是非。
自分の目当ては初見のUnderworldとPhoenix、馴染みですが何度観たって最高な坂本慎太郎あたり。世代的にも常に視界の中には捉えつつ、中々縁の無かったサカナクションも今回に向けて予習した上で楽しみに臨みました。
開演まで(台風のこと)
洒落にならない規模の台風直撃によって暴風・豪雨の警報が発令され、海浜幕張への移動手段である京葉線を始めとする交通機関が次々と計画運休を発表。そもそも辿り着けるのか?もっと言えば開催するのか?と文字通り暗雲立ちこめる状況で当日を迎えました。
当日朝には開催決定&希望者への払い戻し実施というアナウンスが発令。厳しい状況の中ですが覚悟の伝わる判断をしてくれました。
京葉線が17時以降の運休を発表していたため、16時頃に海浜幕張に着。メッセ近くに宿を取っていた友人の厚意で部屋に入れて貰い、開場までの時間をお酒を飲みつつの音楽談義で潰しました。フジロックが完全ソロ参加だった分、友人とフェスに参加する楽しさもひとしおで、始まる前からかなり満足度高かったです。なんだかんだ友人と音楽の話するのがイッチバン楽しいなと…。
19時過ぎくらいに会場に向けて出発。多少の風はありましたが、まだ傘が機能するレベルでなんとかセーフ。リストバンド交換列は結構な渋滞が起きており、入場までに30分くらいはかかった印象です。
ライブ
サカナクション @MOUNTAIN STAGE
世代的にも直撃ですが、今回が初ナクション。高校時代にDocumentaLyあたりの楽曲群のPVをYouTubeで見漁っていた記憶があります。今回に向けて追えていなかったsakanaction以降の最新2作まで予習して臨みました。近年の楽曲では『忘れられないの』が一番好き。ちなみに自分は向井秀徳のカバーという裏口で入りました。みんなも聴こう。
『陽炎』までの2曲は出入口付近で観ており、メッセステージ後方特有の反響と低音のボワつきが気になってしまい、正直あまり没入できませんでした。3曲目、『アイデンティティ』のイントロのボンゴを聴いた瞬間にテンションが沸騰し、可能な限り中央前方に向かいました。アンサンブルを楽しめるほどではないですが、許容範囲内くらいの音になったので良かった。メッセのアクトは位置取り大事。
ガッツリフェス仕様のベストヒットセトリで、とにかくどの曲も周囲のシンガロングが凄く、自分たち世代のアンセム・バンドであることが肌で感じられました。唯一『ホーリーダンス』は知らなかったけれど、これもとても良い曲だった。『アイデンティティ』のカップリング曲らしいけど、いくらなんでもこの時代才能迸りすぎでは。
バッハのDJ Remixからメンバー全員がラップトップ前に集合し、よりテクノ的なアプローチを強めていく第二部へ移行。第二部の方が音が整理されていたし、セトリ的にも畳み掛ける内容で自分的には好みでした。
特に『ネイティブダンサー』は大名曲。『ミュージック』への繋ぎもアツく、このあたりはずっと最高潮のテンションを維持していました。ラストの『夜の踊り子』→『新宝島』という並びも流石に強い。『新宝島』ではPVのイメージそのままのダンサーが出てきて一緒に踊る。自分の後ろにいた非英語圏(ロシアとか北欧系?)のカップルが大声でシンガロングしていて(いっくんやるやん…)と思いました(?)。
『新宝島』終わった瞬間に抜けていく人の多さに笑ったし、その後の『忘れられないの』があまりにも良い曲で泣いた。ミドルテンポのビートへのメロディーの乗せ方が本当に素晴らしく、一番身体が動きました。
総じてフェス仕様のサービス精神たっぷりのアクトで満足できました。10年以上越しについに観れて良かった。
Underworld @MOUNTAIN STAGE
こちらも初。ご多分に漏れず『Trainspotting』から入ったクチです。『Dubnobass~』~『A Hundred Days Off』の4作と皆大好き『Everything, Everything (Live)』あたりを聴きました。
ほとんど卓を触らずにステージを動き回り、運動神経悪そうなダンスで客を煽るカール・ハイドが終始最高でした。「ライブで1番大事なのはフロントマンがどれだけキモい動きをできるか」と、かのトム・ヨークも言っていました(嘘)。歌声にしても元から気だるげだしエフェクトも強めにかかるので音源との遜色も感じなかった。PA卓前方という位置取りのおかげか音も良かったです。音量も音質も過不足なかった。
1曲目の『Two Months Off』から最高でした。特に後半の竜巻のような猛烈な上昇気流に乗るダイナミクスやヘヴィなキックによる打刻、カウベルでの享楽的なビートのすべてが同時に押し寄せて快楽に押し潰される。『Pearl’s Girl』の破壊力抜群のドラムンベースでも大歓声で大いに盛り上がっていました。
昨年リリースされた『denver luna』、終盤のBon Iverのようなデジタルクワイアが美しく、初見ですが鳥肌が立ちました。彼らのパブリック・イメージとは異なりかなり歌モノに寄った作りで、高らかに歌い上げる珍しいカール・ハイドが見れました。アカペラ気味のパートからビートが戻ってクライマックスに向かうシーンが感動的で。『and the colour red』のビートも初期の頃に遜色無く冴えているし、最近のUnderworldも良いじゃん!と感動がありました。
個人的なハイライトは音源でも大好きな『King Of Snake』。かなり大量にスモークを炊いており、視界不良でステージ上がほとんど見えなくなる時間もあった。そんな中、キュキュキュキュキュキュワ~のワ~に合わせて照明が強く灯って視界が晴れるというシーケンスが痺れるほど気持ち良かった。
ラストは当然『Born Slippy (Nuxx)』での大団円。イントロでキックが入る瞬間の圧倒的な高揚感。正直そこがピークになりがちだよねという舐めた態度で臨んだ部分もあったのですが、そんな態度を反省するくらい後半の展開までギッシリ技が詰まっていて考えを改めました。最高。
数多あるエレクトロ・ミュージックの形式のうち、ある1つの定義足り得る強さを感じるパフォーマンスで素晴らしかったです。人生におけるチェックリストを1つ埋めることができて大満足。
Phoenix @SONIC STAGE
またまた初。つい1週間前にパリ五輪の閉会式でパフォーマンスを行ったホットな彼ら。今回のソニマニに向けて一応全アルバムの予習をした上で臨みました。
Underworldからの大移動で渋滞が起きており、『Ti Amo』の途中でようやくソニックの後方に到着。やはり後方は反響が酷く音がボヤケていたのですぐに人の合間を縫って前方を目指しました。そんなこんなで細かく移動したりで序盤はあまり集中できず。これだから被りは悪…。
そんな中で『Love Like a Sunset』の壮大なスケールの演奏が感動的で一気に惹き込まれました。空撮で撮っていたカメラがPt.1でズームアウトしていき宇宙規模に至り、Pt.2では切り替えして原子レベルまでズームインしていくVJもドラマチックで面白かった。
『Long Distance Call』あたりのトーマス・マーズの歌唱も絶品で、寄り添うような優しくも色気のある語り口が音源以上のとろみでもって迫ってきて感動しました。穏やかなバンド・サウンドも相まって沁みる…。
長年に渡ってPhoenixを支えているサポート・ドラマーのトーマス・へドランドの超大振りなぶっ叩き感も本当に凄かった。振り被りの量と出る音がまったく釣り合っていなくて、見ているだけで面白いユニークなプレイでした。
終盤の『Rome』は今日一日のハイライトと言っていいくらい素晴らしくて泣けました。こんなの全員トーマス・マーズに恋するでしょ。その後の『If I Ever Feel Better』→『Funky Squaredance』のギターソロパートの流れまで、あまりにも無敵のロックバンドすぎた。彼らの音楽にはバンドの良さみたいなもの(曖昧)が詰まっていると心底思います。
ラストの『1901』でも「heyheyhey heyheyhey!!」と「Fold it!!」のシンガロングをばっちり決められて予習の甲斐がありました。その後、アウトロの最中にトーマス・マーズが客席に降り、クラウド・サーフから観客に支えられて立ち上がる一幕が。轟音のフィナーレを迎えるまで、ファンとバンドの相思相愛を感じる時間で感動しました。今日この時間と場所が失われなかった価値が確かにあった。
総じて最高でした。フルで観れなかったことで序盤のキラーチューン群を逃してしまったけれど、そんなことは気にならないくらいのたくさんの愛を受け取って大満足。また機会があればぜひ観たいな。
坂本慎太郎 @SONIC STAGE
今回のラインナップで自分にとって最も馴染みと思い入れの深いアーティスト。先月にリキッドで単独を観て以来、1か月ぶり5回目の坂本慎太郎です。
1曲目が『死者より』なの渋い。脱臼したようなフリーキーなリズム感覚のギターソロがとても良かったです。
序盤で特に印象深かったのは『愛のふとさ』で、前半では音源に忠実にムーディーなうたを聴かせつつ、間奏で一気にギアを解体して時間軸を歪ませるような演奏。ダイナミクスも大幅に拡張されていて、最新作の曲がもうここまで煮詰まっているのかと驚きました。
『仮面をはずさないで』と『ずぼんとぼう』は相変わらず凄まじい仕上がりで、すっかりセトリの要を務めている印象です。今日のライブではDr.菅沼雄太の活躍が特に目立っていた気がします。大きめの溜めからスカーンと抜けるスネアを鳴らす気持ち良さや、『ずぼんとぼう』の時空間が淀んで動きを鈍くするような後ノリのグルーヴと人力ディレイ、『君はそう決めた』でのサスティーン長めのシンバルの美しさなどなど。フォームやサウンドの質感的にはそこまで変化が無いままに音量だけが無尽蔵にデカくなっていくみたいなダイナミクスもめちゃくちゃカッコいい。
終盤の『君はそう決めた』も良すぎた。「朝がきて 夜が来て また朝が夜になって また朝が来て」という歌詞の通り、朝焼けのような柔らかなブラスに身体を解きほぐされるようでした。なんて良い曲なんだ。
ラストの『ナマで踊ろう』では、ゆら帝時代を彷彿とさせるようなファズを踏んだ太いサウンドのギターソロが見れて大感動してしまった。超長尺のソロの間、ストイックに音圧を増していく轟音のアンサンブルが続く圧巻のフィナーレでした。
単独で取りこぼしていた『あなたもロボットになれる』『まともがわからない』『ナマで踊ろう』などの定番曲を軒並み回収するベストヒットセトリで単独以上の満足感すらありました。今年から?導入されたレーザーを駆使したライティングも含め、バンドとしての仕上がりが高みに登り続けている姿に圧倒されます。御歳56にしてまだまだ現役。
TESTSET @PACIFIC STAGE
彼らもお初です。坂本慎太郎以外全員初だ。サマソニマニ3年目にして初めてパシフィックステージに足を踏み入れました。もっと小さいステージかと思っていたらキャパはソニックと同じなのね。
当日も記事を書いている今も体力が尽きてきている頃なので簡潔に…。
ソニックよりも硬めの爆音で攻撃力高め
1曲目は新譜から『El Hop』、音源から好きでしたがやはりカッコいい。
アジア圏からなのか海外客の割合が高かった印象
LEO今井の挙動がいちいちシュールで面白い。「おはようございまーす!!」「千葉ーー!!」
場内からの熱いまりんコール。そんな人気なんだ。
『Japanalog』もダンサブルで良かったです
楽曲単位のミクロでも、セットリスト全体のマクロでも若干の平坦さが感じられてしまった気は少し
この後は餃子フェスとのコラボエリアで小腹を満たしたり、牛尾憲輔を遠目にダラッと眺めたあたりで始発の時間になり、開場を後にしました。
余談+ゆる総括
今年も独自のカラーのある素晴らしいラインナップと快適な環境を両立しており、手軽さもあって友達とも一緒に行きやすい最高のフェスでした。開催・到着できたことへの感慨や久しぶりに友達グループで参加できたことも込みで、一日単位の満足度という点では今年のライブ・フェスの中でトップ。来年はThe Smileとかどうですか。