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技術広報の視点で解き明かすテックブログ支援の全貌

この記事は、技術広報 Advent Calendar 2023シリーズ2の22日目です。

技術広報 Advent Calendar 2023シリーズ2の21日目の記事は、takagerberaさんの地方のクラウドインテグレーターが地方企業のために地方で勉強会を沢山行った話 - たかげべらでした。

主催された画像認識AIハンズオンセミナーを、技術広報の視点から語っています。また、来年は札幌で新たなイベントも予定しているそうです。ぜひ、お読みください!

さて、私からはテックブログの執筆支援についてお話ししたいと思います。


新たな役割としてのテックブログの執筆支援

私はCTO室DeveloperRelationsチームに所属するいわゆるDevRelの人です。技術広報の側面からテックブログの支援にも注力してきました。私がこの役割を担う主な理由は、今年の一年間のふりかえりに記載したとおりです。

テックブログは、個人の成長と生産性を促進するだけでなく、開発者が社内での活動を外部に伝える貴重なチャンスでもあります。その活動に少しでも寄与したいと思い、技術広報視点で様々な支援を実行しました。

この支援には、執筆ガイダンスの提供やネタを考える壁打ちのミーティング、さらには記事の品質向上となるレビューまで含まれます。開発者が自信を持ってアウトプットできる環境を整えることに注力しました。

なお、支援にあたって私のSlackプロフィール欄に「テックブログ編集長」という肩書を勝手に追加しました。これは、テックブログ支援に対する私の覚悟の表れです。定着に違和感がない姿を想像して活動を継続しました。

実践した具体的な支援施策の紹介3選

テックブログの運営において、様々な施策を実施しました。その中で執筆に寄与した言える3つの施策を紹介します。

テックブログ専用のSlackチャンネルの設立

従来は、特定のSlackチャンネルでテックブログに関する情報共有の場があり、同時にGitHub(厳密にはEnterprise版)を用いたissueやPull Requestのやり取りも流れてくる環境でした。

しかし、このチャンネルは技術全般に関する話題を扱うため、特にブログに関する質問を扱うには場所が広すぎると判断。また、人も多いので、質問や意見交換のハードルがやや高い環境であると想像しました。

そこで、「#techblog」という専用のSlackチャンネルを新設しました。テックブログに特化したチャンネルを用意して、執筆者が質問やフィードバックなどを気軽に共有できる場を目指しての設計です。

もちろん、元からあるチャンネルでよいのでは?となることも考えて、試験的に「techblog_202304」という一ヶ月限定の専用チャンネルをたてました。2023年4月に始めたことなので、名前が202304ですね。

この期限設定は書く意味を持たせるとともに、使い捨てのチャンネルとしてスモールスタートを目指したものです。うまくいかなければ辞める選択肢を持つことは大事です。

さて、その結果ですが、新しいチャンネルにより、ブログの執筆に関してよりターゲットを絞ったコメントが繰り広げられるようになりました。例えば、もくもく会やスレッドで小まめな返信ができる環境が築けました。

チャンネルをクローズする際に反響があったので、次は2ヶ月と期限を定めて「techblog_202306-07」を新たに設立。最終的に「techblog」チャンネルが定着しました。今もこちらでみんなでサポートしあっています。

スケジュール管理の強化とワークフローの最適化

従来は、Notionのカレンダービューの活用で執筆者のリリーススケジュールを管理していました。といっても、あくまで目安として機能しており、この日に投稿することがわかる以外の管理は特に行われていませんでした。

そこで、私が本格的にカレンダーを運用することで、期限となる締切管理を実施。レビューのタイミングや日程に合わせて、声がけしました。進捗がわかるように、ToDoをタグで気づけるようにビューを用意しています。

次に、Notion内で初めて書く人でもスムーズに進められるようなテンプレートを作成しました。#techblogでの質疑応答を基に、よくある問題や疑問をまとめ、チェックシートとして使えるようにしています。

これらの準備により、画像のサイズ調整や投稿日の確認など、投稿プロセス全体がスムーズになりました。ノウハウもIssueのREADMEだけでなく問題解決が迅速化する集約が行われたと思います。

ワークショップの実施によるテックブログ執筆促進

テックブログの執筆意図を伝えるために、説明資料を用意。説明会を3回実施し、それを動画化しました。それだけにとどまらず、オンラインとオフラインのワークショップも実施しました。

開催にあたっては、tetsunosukeさんの研修講師が注意しているオープニングトークのデザインを参考にしました。また、書籍も教えていただきワークショップのノウハウを参考にファシリテーションしました。

オフライン開催は、こちらの研修アクティビティハンドブックが一番まとまっていると思います。開催前に心理的障壁を下げるアイスブレイクだけでなく、ウォームアップやディ・インヒビタイズも盛り込んで実施しました。

また、こちらのオンライン研修ハンドブックは、オンラインならではの気づきがあります。グループの人数やミュートの活用。手元に集中するためにあえてカメラをオフにする考えは納得感が高かったです。

ワークショップそのものは、テックブログを書く前の意識や書く読むの気づきを得ることができる内容を提供しました。また、参加者が共通のテーマに基づいて話し合い、アイデアを共有して発表できる環境を整えました。

ターゲットは データ分析を通じて、テックブログ執筆経験がない開発者の中から選出。彼ら彼女らをワークショップのターゲットとしてアプローチしました。もちろん、関係部署と調整を行い時間確保に努めています。

その結果、これまでテックブログを書いたことがなかった開発者から新たに執筆が行われるようになりました。ゼロをイチにすることができた経験を支援できてよかったと思います。次の執筆意欲を見せる人も出てきました。

このやりとりも、Slackの「#techblog」チャンネルを使うことで、テックブログが定期的に更新される雰囲気を醸成することもできました。これにより、ブログの活動がさらに活発化し、多様な内容が共有されています。

このワークショップの効果自体は、厳密にアンケート内容やその後の結果からデータ分析をする必要があります。やって終わりにならないように次の施策へと繋げることを意識しています。

まとめ

「#techblog」チャンネルは、今後もテックブログの執筆と執筆者(開発者)どおしのやりとりの活性化のための場としていきたいです。

Notion内のスケジュール管理をさらに最適化することで、1,2月の投稿予定をすでに埋めていっています。書きたい意欲に応えるように支援をし、支援がなくても皆が自然と書く環境を影で支えることができればとも思います。

最近は、過去5年間の執筆記事数や投稿者を月ごとに分析することで、支援のタイミングをはかっています。例えば、1月は投稿が少ない時期だと判明。スケジュール管理の視点から、1月に早々に投稿される状況を作りました。

分析より先んじて、2,3ヶ月後に書いてみるのいかがですか?とリクエストも始めています。このあたりは様々な課題がありまして、そもそもテックブログを書くとは?の言語化がさらに必要だと感じています。

究極的には書くこととはなんなのか?テックブログとはなんなのかということです。この三ヶ月間特にこれを考えました。開発者がただ記事を書くだけではなく、事業の成長と生産性の寄与にまで発展する話だと思っています。

そして、投稿したらおめでとうでおつかれさまです。

常に感謝とすごいことはすごい!のリアクションを絶やすことなく、皆がおめでとうを言い合える環境をこれからも提供し続けたいと思います。

引用画像:https://www.dl.ndl.go.jp/api/iiif/1287169/R0000006/1220,882,3268,2304/,766/0/default.jpg

引用:岩崎常正<岩崎潅園>//著『本草図譜』第8冊 巻57菜部芝〔ジ〕類3,刊写入交. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1287169/1/6 (参照 2023-12)

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