イギリスの危機
イギリスのトラス首相が就任44日目で英国史上最短で辞任を表明しました。
なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。
経済的な観点から探っていきたいと思います!
もちろん政治的な要素もあるかもしれないですが、外から見えるのは経済的なところだけなので。
なんでトラス首相は、こんなに早く辞任に追い込まれたのか!
個人的な意見ですが、記載したいと思います。
トラス首相の話をする前に、その前のジョンソン首相の話をしますね。
ジョンソン首相。。。
いい面、悪い面あったといわれていますが、経済政策をどうしていたのか?(在任中の結婚とかね笑 なかなか破天荒な方だなと思っています)
ジョンソン首相の経済政策は、一言で言えば大きな政府です。
税金をあげて、再分配することによって格差を是正していこうとしていました。
ただ、コロナの初動ミス(何が正解だったかはわからないですね。)、コロナ禍でのパーティ、与党幹部による性的スキャンダルによって非難の標的になり、先日辞任しておりました。
では、トラス首相はどのようにして、党首=首相になったのでしょうか。
ここで少し脱線して、イギリスの首相の選出方法を見てみましょう。
日本は、イギリスの議員内閣制を採用して今の体系になったことは、学校で習ったかと思います。考え方は同じですが、首相の選び方については一部違う部分が存在します。
イギリスは、下院第一党の党首が首相になる。
日本は、衆議院議員の多数決によって首相を選抜する。
上記方法は異なりますが、個人的には考え方は同じであると考えています。
イギリスの下院=日本の衆議院であり、
日本の衆議院の多数決で勝利できる≒衆議院の第一党
であるからです。
もちろん例外的な場合は存在すると思いますが、
今の日本に置き換えると自民党の党首が首相になるということとイコールになるはずです。
少し脇道にそれましたが、トレス首相の政策の話に戻りましょう。
トラス首相は、ジョンソン首相とは対照的に大幅減税を打ち出しました!
大幅減税をすることで経済刺激を行うことを目指していました!
さて、一方で英国中央銀行は、ずっとインフレを制限するために利上げを実施していますよね。。
それに対して、内閣は減税を行って経済刺激をする。。
どういう意図だ?笑
そして、そのあとに発表されたのはみんなが目を丸くした国債の無制限買い上げ!!
これは、どの経済学の教科書にも載っていないようなことです!
利上げをしながら、国債を買いまくる = 金利を下げる ということをやっているわけです。。
これによって、英国どころか世界中がパニックになりました。
英国は何をやっているのだと。
なぜこのような相反することをやったのかについて、見ていきましょう。
その背景には、LDI=Liability Driven Investmentが隠れています。
LDIは、デリバティブを利用した債権中心投資と思っていただければと思います。一般的にLDIを採用する場合には、2~4倍のレバレッジをきかせるそうです。レバレッジをきかせるということは、マージンコールが発生することを意味します。
このときの英国年金機構のポジションは、金利が上がると損失を出すポジションだったといわれています。
さて、この状況で大幅減税を発表すると市場はどう考えるでしょうか。
先ほどもお見せしたように、減税=国の収入の減少であるので、
減少する財源はどこから持ってくるのか?ということが疑問になります。
財源が必要なければ問題ないですが、今英国はポンド安やウクライナ戦争によるエネルギー供給網問題で、物価が高騰して市民の生活に影響が出てきたいます。そのために、イギリス政府はいろいろな支援政策を打ち出してもいました。
つまり、必要なお金は増えているのです。
では、このお金はどこから持ってくるのでしょうか。
そうです、国債の発行です。
国債を大量に発行するということは、
国債の供給過多になり、国債の価格が下がります。
すると、国債の金利は上がってしまうわけです。
金利が上がると損をするポジションであったために、金利が上がり続けた結果、マージンコールを逃れるために、ポジションを一部強制清算せざるをえません。
ただ、ポジションを強制清算するとさらに国債が売られてしまうため、金利はどんどん上がっていきます。
これによって、国債に投資している企業の中には大損失を出す企業が続出します。
これが進むとどうなるか?
企業が一つ一つ倒れていって、いつか大きな企業が倒れることになります。
そうです、英国版リーマンショックになるわけです。
この最悪の大惨事を防ぐべく、今まで教科書で見たこともない、
利上げ発表しているさなかに、国債の買い入れをしているのはこういった背景があったわけです。
英国政府が国債を買ってくれなかったら、金利は上がり続け年金機構のお金は無くなり、企業も大損失を出し、倒産が相次いだ可能性もあったわけです。
こういった混乱を生じさせた、トラス首相への風当たりは非常に厳しくなり、支持率が7%となりました。
その結果として、辞任に追い込まれたわけです。
もちろん、これだけが理由ではなくいろいろな理由があると思いますが、
第二のリーマン級の金融危機が目前にあったという人もいるわけで、トラス首相事態もなかなか厳しい立ち位置になっていったことでしょう。
イギリスは経済後退が騒がれていますので、新首相の肩の荷は重いと思いますが、経済を安定させつつ物価も安定させてほしいですね!
本日はここまでにして、また次回お会いしましょう!