「WASEDA LINKS Vol.36 選ぶ」 元ネタ集

4月に発刊した「WASEDA LINKS Vol.36 選ぶ」がモリサワフォントさまの電子書籍アプリ「カタポケ」で配信開始になりました。無料です。

これを使うと英語やスペイン語、中国語、タイ語、ノルウェー語でも読めるので外国語学習にも最適です。

https://www.catapoke.com/viewer/?open=bb53b&lang=ja

フリーペーパーを作るにあたって、いろいろなものを参考にしました。

その影響はわりと素直に、そしてこっそりと雑誌の中に散りばめられたり、まったくその影を見せてなかったりします。


音楽、およびジャケ写

「流動体について」小沢健二

『Beautiful World』テイク・ザット

『Blonde』フランク・オーシャン

表紙は小沢健二「流動体について」へのオマージュです。

「もしも間違いに気がつくことがなかったのならぁ〜〜〜」

というサビを聴いた時から「選ぶ」というテーマの雑誌を作りたいな、とずっと考えてきました。
https://www.youtube.com/watch?v=oknWjuFCp2I

表紙が出来た後、人が砂地を歩く写真がなんで好きなんだろう?と考えた時に思い出したのが中学生の頃に聴いたテイク・ザットの「Beautiful World」でした。どこか物憂げな感じが似てなくもない。


白枠はデザイナーがつけてくれたのですが、こっそりフランク・オーシャンみたいでかっこいいな、と思ってます。


『MODERN TIMES』PUNPEE
https://open.spotify.com/album/2edmHfPGABVDgpc3I1ZdfC?si=cW7y8zeVQh6Wo_UV4oJtXw

2017年、一番聴いたアルバムです。それぞれ収録曲が全て一曲として独立した魅力があるのに、1枚の作品としての完成度が高い、というバランス感覚を雑誌でも出したかったのです。

『Life Of Publo』カニエ・ウエスト
https://open.spotify.com/album/4xM1pUHZp9HsuKNxyOQDR0?si=-0RL6Uw4QciVBR2emCn6KA

『DAMN.』ケンドリック・ラマー

https://open.spotify.com/album/7wbJhbCvhPfbK1CLAkpq25?si=gRuzIDGtSa6rZsgdY9HnjA

一枚を通して、苦悩の過程を描くこの2枚の美しさをどうにか雑誌に取り込めないかなぁと考えながら作ってました。表紙でモデルが俯きながら歩いているショットを使ったのは『DAMN.』みたいにしたかったから。

「足音 ~Be Strong」Mr.Children
https://www.youtube.com/watch?v=_B09-nM3knE

帰り道とかによく聴いてました。フリペも希望のある感じがいいなぁというのはどこか念頭にあったのかもしれません。


『CultureⅡ』Migos

https://open.spotify.com/album/5ZnasU3vhbAxJxUYNXeqOq?si=qoO_8OuWRaKmUWW1pqU0cg

「It's So Good」Superorganism
https://open.spotify.com/track/1Z85Yebp4T12ZbQvYkwTZ3?si=3GDytBLqRqWWWwW6UGOXIg

「告白」evening cinema
https://youtu.be/gZ8sJnrLNrs

制作期間中よく聴いてたということもありますが、こんな感じでサンプリングを堂々と使って個性を出すということができたらいいなということはぼんやりと考えていました。


「愛を伝えたいだとか」あいみょん
https://youtu.be/9qRCARM_LfE

「CLAP」SEVENTEEN
https://youtu.be/CyzEtbG-sxY

デザイン期間中だだ流しでした。2月はセブチとあいみょんが流行ってたんです。


「ポップなものにしたい」という意識からか、自然とポップでメジャーな曲が多いような。

ちなみにプレイリストにもまとめました。
https://open.spotify.com/user/vbug26c8o1w8s2hoq4aw2ebj7/playlist/675ySHs4cmrPNa99ao2kvB?si=Sp0fj2j_RR2WNwYpPerkqw

映画、映像作品

・「LA LA LAND」デミアン・チャゼル

「ララランド」のラストシーンを観たことが、「選ぶ」というテーマを設定した大きな要因の一つです。表紙の服が黄色なのもそういう理由です。(後付け)

・「トレインスポッティング」ダニー・ボイル

「人生を選べ。住宅ローンを選べ。洗濯機を選べ。車を選べ…」

という、レントン(ユアン・マグレガー)の語りから始まり、仲間を裏切ることを選んだという結末の中にある、一種の清々しさだけをこの雑誌に使いたいということはわりと早めに決めていました。

あんまり「トレインスポッティングみたいに!!!」とは言わなかったのですが、自然と似たようなデザインになったのが不思議です。

ちなみにアートディレクターは観たことがなかったそう。


・「ダークナイト」クリストファー・ノーラン

・「SR サイタマノラッパー」、「ビジランテ」入江悠

・「エンドレス・ポエトリー」アレハンドロ・ホドロフスキー

「選ぶ」ってなに?って思いながら、ごそっと制作期間前に観ました。


・「テラスハウス」フジテレビ・Netflix

制作期間中、みんなで観てました。影響は謎。


本(雑誌・小説・思想書・写真集)

「EYESCREAM」、「Hanako」「WIRED」、「ID」

デザイン面で大いに参考しました。わりとシンプルかつカッチリとしたデザインで、写真をやたら使っているのは「EYESCREAM」みたいなものが好きだったから。

表紙もEYESCREAMリスペクトです。

時々、「Hanako」っぽいページがあったり、「WIRED」っぽい感じのページがあったりもするので探してみてください。

・「ニッポンの思想」佐々木敦

「雑誌感」より「読み物感」を出したい!みんなの本棚に置いてもらいたい!と言い出してから、どうやって読み物感を出すか?ということを考えていました。

・「中動態の世界」國分功一郎

人間に自由意志はあるのか?という命題がこの雑誌を作るきっかけになりました。

・「ゲンロン0」東浩紀、「ゼロ年代の想像力」宇野常寛

「選択とは排除を招く」ということが語られているパートがどちらにもあり、ずっとその章を読み返しながら作っていた、気がします。

直接的な影響はないのですが、このことを念頭に置きながらかなり慎重に作りました。

・「ここは退屈迎えに来て」山内マリコ、「ボラード病」吉村萬作

村社会的なコミュニティにおいて、選択肢がないことの鬱屈感、みたいなものをこれらの小説から感じ取ってどこか「陰」のある感じを出したかった時、この二冊からかなり影響を受けたように思います。

・「これから」長濱ねる

「写真に一つの物語を持たせる」ということを、故郷長崎でのロケ写真と長濱ねるのインタビューのみで構成されたこの写真集から学び、真似してみよう!と思いました。

すべてのビジュアルページの写真が同じモデルで、同じロケ地(江ノ島)なのはこれが理由です。

Web記事

川上未映子「She is」でのインタビュー

荻野由佳×山戸結希対談
https://sheishere.jp/interview/201712-oginoyamato/3/

「選ぶこと」=「覚悟を決めること」、「自分に正直になること」なのではないか?という仮説を持っていたのですが、この二つの記事を読んで確信に変わったような気がします。

こんな風に、背中を押されるような読み物にしたいなということをずっと考えながら作りました。


こんな感じで、いろんなものを参考にしながら作りました。(書き漏れがあるかもしれませんが。)

秋に向けてまたもや雑誌を作っているのですが、その前にもかなり元ネタを探しました。

雑誌の企画書を作るに元ネタの話をよくします。すると「吉田くんは雑誌に色々込めるよね」と言われるのですがこれには理由があります。

まずは好きな映画や音楽がかなり元ネタをはっきりさせている、というのが一つ。

タランティーノもエドガー・ライトも園子温も、今回インタビューさせていただいた小林勇貴さんもかなりの「元ネタ」を映画に込めています。(それでもって元のネタをしっかり明かしてくれます。)

オアシスもミスチル、ケンドリック・ラマーもこっそり曲の中に「元ネタ」を忍ばせます。

つまり自分のルーツへの愛情に溢れた作品は、自分だけの感性で作られたものよりたくさんの人に届くような気がするのです。

ある意味ひとりよがりにならないような客観性が担保される、ということが多い気がします。


そういえば最近知ったのですが「オリジナリティは真似から始まって、そこに自然と自分の「クセ」が出る」ということをジム・ジャームッシュも言っていたらしいです。


と、いうわけで「Vol.36 選ぶ」を引き続きよろしくお願いします。
https://www.catapoke.com/viewer/?open=bb53b&lang=ja

記事を一個読むだけでも発見はあるし、なんなら写真を見るだけでも楽しいです。もちろん、通して読むとまた別の良さを見つけていただけるかと。


ついでに

モリサワフォントさんのサイトで、フォントと裏表紙の広告についてアートディレクターとしゃべってます。こちらもどうぞ。
https://font-switch.jp/post/2888




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