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読書記録 | スターリングのSF短編小説に肌感覚が合うかどうか
古本屋さんで探索をしていると、思いがけないコースで思いがけない一冊に対面することがある。
ブルース・スターリングの作品集「蝉の女王」もその例に漏れない経験であった。
実はこの本を目にした当初は、別の気になるSF小説2冊があったのでそのままにしておいたのだが、後ほど古本市場を調べると、かなり高めで売買されていることが分かり、他のコレクターさんの手に渡っていないことを願いつつ、その翌日初版本で市場価格よりずっと安価で入手したものである。
何でもこの短編集は、日本しかない組合せがされているようで、その上絶版ときているから、購入してから半年程経った今も取引価格が全く変動していない。
ジャンルはカバー画から想像つくとおり、サイバーパンク要素が含まれるSFであるようだ。
「ようだ」と表したのは、やっとこのお盆休みに一編通読したからである。
レビューによると、冒頭の「巣」という作品に賛辞が多かったので、ひと先ず思い立って読んだのが当作であるが、何でも作者の〈工作者〉シリーズに繋がる作品として評価が高いようである。
スターリングの「巣」を読んだ感触として、40年ほど以前の小説ではあるが、内容は先進的なのでエリスンの「少年と犬」のような容易に世界観を想像できるようなものではなかったので、正直今ひとつピンとくるものが掴めなかった。
私からすると、目を通した文では分かるが直接想像を促すには、もう少しSFの修練を重ねる必要があった。
ただ無造作に衣服を噛みちぎり貪る異星人たちの行動が何とも奇怪千万な印象があった。
きっと、より空想力があればピタリとくるものがあるはずなので、いつかまた再読するであろう。