読書記録 | ダフネ・デュ・モーリアの「鳥」に見る読者に考えさせる結末のあり方
今夏は何となく短編小説の読書を充実させたい。ふと思い立って、久しぶりに本棚からデュ・モーリアの作品集を引っ張り出したのが昨夜のこと。
この「鳥」という作品集の表題作しか読んでいないのであるが、流石ヒッチコックによって映画化しただけあり、じわじわと終わりが真に迫るようなとても素晴らしい作品であった。
この作品を一層引き立てているのが、ラストへの送り方ではないかと個人的にそう思うところである。
敢えて最後を中途でブツ斬ることで、読者にこれから起こるであろう鳥の未知の驚異を、自由に想像させるのである。
ホラーでもなく、ミステリーでもなく、大衆小説でもない。
デュ・モーリアの文学を敢えて喩えるなら、深層心理小説とでも言ったところであろうか。
同氏の小説作品で言えば、未だに本棚に並んだままの「レベッカ」も気になるところである。
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