プロサッカークラブが創る日用品ブランドが目指すもの。
少し...というか中々に時間がたってしまいましたが、横浜FCとFANCL LABの共同開発でハンドソープを創りました。
どんな想いで創ったのか、目指す姿はどんなところか、各所の調整に時間がかかってしまい遅くなりましたが改めて書いておきたいと思います。
プロダクト名は『ASSIST LIFE produced by YOKOHAMA FC』
既存商品にラベルを張り替えたコラボパッケージではなく、処方やテクスチャー、泡の感触や洗い流しの切れ、香りの方向性と、すべて一からオリジナルで処方開発したアイテムです。
ファン・サポーターの皆さんとスタジアムや練習場でふれ合うこともできず、物理的な距離が離れてしまった2020年。
プロサッカークラブでありながら、サッカーができないという事態に直面したこの時期は、自分たちは世の中に何ができるだろうかと改めて考え直すきっかけにもなりました。
その中で、スタジアムや練習場で会えないなら逆にクラブから皆さんの日常にお邪魔してみることはできないだろうかという発想でこの企画は生まれました。
危機感の中で生まれたチャレンジ
2020年3月、新型コロナウイルス感染症拡大によってJリーグは先の見えない長い中断期間に入りました。
世界が急激に変わり日常からサッカーが消え、プロサッカークラブと選手がサッカーをすることを禁じられた期間。
この時にまず感じたのは、サッカーができない、試合が開催できないことで、自分たちが社会に対して何も生み出せていないのに給料をもらってしまっているという焦りに似た感覚と、そう感じる中で更に追い打ちをかけるリアルに迫るクラブ存続の危機。
試合ができず、来場者数も制限され確実に落ちる入場料収入や既に買っていただいていたシーズンシートの返金、企業の業績悪化によるスポンサー収入の減少とクラブの提供価値の低下によるスポンサーやファンクラブから返金を求める声など、どこのクラブでも容易に最悪の事態が想像できました。
そうした時期に、想定し得るリスクを認識しながらもクラブが存続するためのアイディアを事業部スタッフで出し合いました。
このハンドソープはその中で提案したものの一つで、チャレンジ領域ですが以下を実現させるものです。
・試合日以外の日常生活で、サポーターが意識せずともクラブの存在を感じられるファンコミュニケーションツールをつくりたい。
・普段の生活で使うものを、クラブのモノに寄せてもらうことで生まれるクラブとファンのより深い繋がりをつくりたい。
理想はクラブの収益を支える第4の柱となることですが、現時点ではアフターコロナを見据えたクラブとファンのコミュニケーションツールとして機能するようなアイテムになってほしいと期待しています。
打ち手を考えるとき、コスト削減や今すぐ収益に繋がる施策に走りがちですが、そうした中でも未来を見据えた新しいチャレンジを承認してもらえるのはこのクラブの強みだと思います。(もちろんコスト削減の取り組み、即時収益を生む努力もクラブ全体では多々行いました。)
なぜプロサッカークラブがハンドソープなのか
「Jリーグのクラブがなぜ日用品なの?」
と、疑問に思われる方も多いと思います。
さらに、市場が成熟したレッドオーシャンになぜ飛び込み日用品を提供するのか。
コロナ禍でクラブと関わるステークホルダーを俯瞰で見たときに、様々な売上をつくる柱が軒並み落ち込むと予想される中、可能性を感じられたのが「衣・食・住」をマーケットとして捉えてみたらどうなるかということ。また、在宅ワークが増え、家で過ごす時間が多くなることから衣食住にまつわるあらゆるヘルスケア要素には嫌でも意識が向かう部分だと考えました。
そこで抑えておきたいのが
①プロサッカークラブの存在意義とストーリー性
→Jクラブの社会性の高さを活かすこと
②新規参入する上で、アイテムの機能・品質を担保するブランド力
→信頼性を担保すること
1.プロサッカークラブの存在意義とストーリー
プロサッカークラブはフットボールを通じて、人々の日常に夢や希望、感動をお届けできる存在。そう信じる社会性の高い価値を前提に、コロナ禍でノンフットボールの領域でも日常にちょっとでも彩りを与える、幸せのきっかけになれないかと考え注目したのが、今の社会情勢に欠かせない習慣のひとつである「手洗いの習慣」です。
社会性、公共性の高いプロサッカークラブが、感染予防のひとつとして手洗い習慣を啓発することで、予防の模範的な存在として認知され、人々の日常に少しずつ溶け込みともにこの時代を乗り越えていくというストーリーを目指しています。
No.4 高橋秀人選手とフリ丸。クラブハウスやスタジアムのトイレにも設置し使用しています。
2.アイテムの機能・品質を担保するブランド力
どれだけ応援するクラブが推すものであっても、普段使うもので最低限のクオリティや、使うに値する機能性を備えたものであるかという視点は欠かせません。そこで、同じ横浜の株式会社FANCLのOEM事業を担うFANCL LABに商品開発をサポートして頂きました。
この市場にどう挑戦するか
サッカークラブで日用品ブランドを立ち上げて、この事業で収益を上げていこうというのはハードルが高いです。
市場を牽引する絶対的なリーダー企業が存在し、成熟した日用品市場にアイテムを投じる選択をしたのは、コロナ禍におけるストーリーとJクラブのファン・サポーターの熱量に一般企業と差別化できる可能性があると感じたからです。
この飽和状態の市場で他と差別化するポイントは、モノづくりの企業という同じ土俵ではなく、スポーツチームの特性を活かしクラブを支持する熱量の高いファン・サポーターを起点に評判形成ができ、かつ社会にとって今必要とされるストーリーを打ち出し新しい習慣が根付くサポートをすることだと思います。
これからのこと
現在は横浜FCのホームゲーム時にスタジアムでの販売とららぽーと横浜にあるsoccer junky ショップ with 横浜FCで取り扱いをしています。
そしてECサイトでも(実は)ようやく販売が可能になりました↓↓
オンラインでご購入の際は、送料がかかるのでその他グッズアイテムと一緒にご購入いただくか、あと少しで送料無料(3,980円(税込)以上で無料)になるのに、、、という時のプラス一品としてぜひご検討ください(笑)
例えばこんな感じで↑笑
既にご購入いただいた皆さんありがとうございます。
ご自宅でじっくり使ってもらって、使ってみた感想やデザインされたボトルの写真などSNSにぜひ投稿してクチコミしてもらえると喜びます。(予算は無いのでプロモーションは使ってもらった皆さんのクチコミだけが頼りです)
使用後はサステナブルな取り組みへ
こちらもようやくリリースできましたが、今後はこんな活動に取り組みます。
使用後、ASSIST LIFEの容器は捨てずに空き容器をスタジアムに持参してください。
スタジアムで回収してリサイクルし環境保全活動に努めます。
ASSIST LIFEだけでなく、横浜FCもサステナブルなブランドとして社会から必要とされることを目指し、ASSIST LIFEハンドソープとあわせてみなさんが家庭で現在使っている日用品(プラ製品のみ)の空きボトル・詰め替えパウチの回収もスタジアムで受け付け開始します。
スタジアムへ持参して頂いた空き容器はリサイクルされ、回収対象の容器1つにつきポイントが付与され横浜FCのアカデミーの強化・育成費用としてクラブに還元されます。
この取り組みは、新しくパートナーシップを結んだ米・テラサイクル社の容器回収・再利用プログラムを活用しますが、この背景には、⼤量⽣産された製品と排出される廃棄物があふれ地球を健全な状態で次世代に引き継ぐことができない状況に陥っているという現実に⽬を向けて、廃棄物を減らして、有⽤な資源として活⽤することを実現するなど、エコの活動を考えるきっかけにできればという想いがあります。
テラサイクル社について↓↓
社会貢献への可能性
また、このASSIST LIFEハンドソープを活用して地域の小学校を訪問して手あらい授業もはじめました。
この活動は、ホームタウンチームが小学校にかけあって実現してくれました。ここから横浜市内の小学校、保育園などに広がって子どもたちに手あらいの習慣が定着し、さらに横浜FCに興味を持ってくれた子ども達がスタジアムに足を運ぶきっかけになる大切な施策だと思ってます。
ASSIST LIFEの想い
ASSIST LIFEは日常が急激に変わる世の中で、改めて気付いたことを軸に方向性を検討しコンセプトとしました。
人々が誰もが持つゴール。
大きな夢、自分なりの目標、「今日も家族が元気に過ごせますように」、そんな日々のあたりまえの願いだってかけがえのないゴールです。
この変わりゆく世界の中でも、あなたがそのゴールに向かえるように、チャンスの瞬間に思いっきり勝負ができるように。
いつも応援してくれているファン・サポーターのみなさんの目指すゴールを、日常といういちばん近くから、最高のアシストを送りたい。
そういう想いからこのプロダクトを『ASSIST LIFE』と名付けました。
以下はASSIST LIFEのコンセプトです。
(ホームページから)
そして今後、様々なプロダクトを創り継続していくにはまずこのASSIST LIFE第一弾をそれなりにクラブ内でも認められる存在にしなければいけません。が、既に苦戦していますw
今回は開発の背景から書かせてもらいました。
人々の生活をASSISTするといいつつ、この企画のゴールはみなさんのASSISTに物凄く助けられています。
想いがあふれる一方で、まず、モノをつくって、売る。顧客満足を高めて、繰り返し買ってもらって売上、利益をあげる。
このマーケティングの基本活動がいかに難しいを痛感しているところでもあります。
顧客のみなさん、有識者のみなさん、色々と突っ込みどころがあると思いますのでぜひ色々忌憚なきご意見をくださいませ。
よろしくお願いします。