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2019シーズン振り返りと2020シーズンのこれから。

2019.11.24、13年ぶりとなる悲願のJ1昇格が決まりました。
自身としては、5月に株式会社サイバー・バズから横浜FCにジョブチェンジし初年度にとても良い経験をさせてもらいました。

ここまではこれまでチームが積み重ねてきた結果。2020シーズンは自分にとっても初めてのフルシーズンを迎えるので、さらに挑戦する年にしていきます。

来シーズンからはマーケティングのtoCに関わる領域すべてが管轄になるので想像力を働かせて、理想と現実を見極めながら推進しないとなと気を引き締めています。

個人的な備忘録も含め、クラブに入ってから何をやったのか、来年何をしていくのかを言語化しておきます。

▷まずクラブの現状把握

2019年のミッションは「集客」と「デジタルの推進」というマーケに関する改革。ただ、集客をやろうとするとオフラインも含めて事業全般を動かす必要があります。

そのため、取り急ぎ関わるであろう人たちから現状をヒアリングし、まずはみんなが迷っていてかつすぐに手を打てるSNSなどWEB周りの改善、それぞれの戦略立案とイベント等含めたマーケティングカレンダーをつくりました。(イベント関連のカレンダーはあまり、というかほとんど機能させることができなかったので要改善)

▷会議体の変更

マーケティング会議のアジェンダ設定とファシリテーションをしながら、「決める会議」に変更したいと思い、無理矢理にでも企画を進めることをしてきました。その結果、課題として浮き彫りになったのは、その後の社内への共有フローと意思統一、そして誰がやるか問題。提案した人が全部やるといった状況はどこのクラブでも一定数あると思うけど、これは期初に計画と役割分担を明確化していないことによって発生すると思われる。(来季は期初の計画・役割分担と、チャットツールの導入などで情報共有のスピード感の無さを解消したい。)

▷透明性

クラブに入ってすぐ起きたタヴァレス監督解任、夏の天皇杯でのトラブルへの対応。

どういう考えでの判断なのか、事象として何が起こって、何が原因だったのか、それに対してどう対応し目に見える変化として何をするのかをファクトベースで整理し開示しました。

「そこまでやる必要あるのか?」という声もあったけど、この辺を曖昧にしないでクラブとして対外的に発表することで、応援してくれるサポーターに対しての透明性を表しました。なんでもかんでも発表する必要は無いけど、バランスを見て必要と判断したものは公開しても良いのかなと思います。

▷情報のリーチ拡大(PR TIMES、スポナビとの連携)

プレスリリースを配信するPR TIMESのスポーツクラブ版であるSPORTS TIMESと提携。
ここに配信することで一次メディア(ライターがリリースをネタに記事を書くメディア)が記事にしてくれることもあるし、提携する二次メディア(Yahoo!とかlivedoorとかSmart Newsとか、ライターのいないポータルサイトやキュレーションメディア)にリリース転載されるので、認知の幅を広げる武器となります。

12月からYahoo!と連携するスポナビ(スポーツナビ)とも同様の座組みで取り組みをスタートしました。

▷JリーグIDを増やす

チケット購入をJリーグチケット経由にすること、イベントや招待などの申し込みをJリーグID経由にすることでID登録者を増やしました。
単純に導線を変えただけですが、シーズン終了時には約2倍に増加。それでもJ2で2番目、J1では下から3番目くらいなのでまだまだ足りない。

JリーグID登録者が増えることで、Jリーグの共通基盤にクラブのデータが溜まるので、どんな人がチケットを買ったり、グッズを買っているのか等がわかるようになり、一人ひとりにあわせたコミュニケーションが可能になります。
※今はまだ母数が必要なフェーズなので、来年も今年の2〜3倍まで持っていきたい。どう運用するかと新規客がスタジアムに来た時に楽しめるコンテンツの充実は2020シーズンの注力課題としてセット。

▷サポーターとの距離をつめる

試合当日の勝ち負けだけではなく、ノンフットボールの情報も大切なので、コミュニケーションを取るときにサポーターのニーズに応じたコンテンツや参加型のコンテンツを意識的に増やしました。

TwitterとInstagramのゴール速報

即時性の高いTwitterとInstagram storiesでライブ感のあるリアルタイム速報を。

・#〇〇選手権 → モーメント投稿

試合の無い日のUGCの創出と、コミュニケーションのため。

※UGCに関しては過去の記事で書きました。

・毎試合のモチベーション動画

チケットの販促素材としたいとも思っていたけど、試合へのワクワク感を高める共感コンテンツとして。

・雨の日対策

三ツ沢は屋根が無いので、雨でも少しでも楽しんでもらうように。

・ピッチから見たサポーターの表情

熱狂するコンテンツと、普通は見れない視点での動画を提供。

・選手のリアルな表情

サポーターが知らないチームや選手の裏側。

・#くだサイン

試合直後のサインの希少性を活かした参加型のキャンペーンで情報拡散。

・サポーターインタビュー

参加型のインタビューコンテンツ。選手がヒーローインタビューで使ったボードをそのまま使用しているので同じ気分を味わえる。

思いがけないものや、自分たちの目線からは見えないものが見える時などに驚きや嬉しさを感じると思うので、普段はチーム関係者しか見れないピッチからの視点や選手の表情などを意識的に投稿。

サポーターが発信したり、出演する参加型のコンテンツも増やしました。

また、「横浜FCは、○○してます。」という投稿から、「みなさん、〇○ ですね、〇〇ですよ!」と”主語”を変えたコンテンツを発信することでエンゲージメントを高めました。

▷#フリマガ

企業発信の告知や広告は、見ても刺さりにくい、忘れられやすい。というのを前提として、熱量の高いファンのクチコミをキュレーションし、よりリアルな感情とともに1週間を振り返るコンテンツ。

このフリマガが思いがけずサポーターのみなさんとのコミュニケーションツールになって、ホームやアウェイのスタジアムでも「 #フリマガ 見てます」と声をかけてくれる方も多く、個人的にはやってみてとても良かったコンテンツのひとつです。

▷クリエイティブの制作

・後半戦ポスター

・後半戦スタジアム動画

・毎節のモチベーション動画

クラブから伝えたいものは何か、そこにどんなストーリーやメッセージを乗せるのか。
トップチームをフットボールの世界に孤立させない、サポーターと一体となることを意識したクリエイティブを一貫して目指しました。

目指すのは横浜FCというクラブが「横浜に無いと困る!」という状況をつくること。そのためには、フットボールの面では横浜F・マリノスより強くなることも必要だし、今後さらにノンフットボールの面での独自性もそれとは違ったものを打ち出す必要が出てきます。

▷2020シーズンへ これから

今年はとにかく自分で手を動かしていたけど、来年は”考える時間”と”マネジメント”もより重要になってくるのでチームで成果を出せるようにしていきたい。

長期的な視点で戦略を考えて、2020シーズンの戦術に落とし込む。個人的に肝になるのは「チーム基盤の強化と仕組みづくり」になります。

[集客]
◇JリーグID
◇シーズンシート

[体験価値]
◇スタジアムの空間・イベント設計
◇グッズの商品戦略(組織や会議体も含めて)

[B to C]
◇to C企業とのパートナーシップ

来季はこの5つの軸に体重をかけてやっていきたいと思います。

▷JリーグID

目的としては顧客の顔が見える状態にして、どんな人に対してどんな施策を打つのが適切かを把握し検証するため。施策インパクトのために一定のボリュームは必要なのでまずは数をしっかりと増やすこと。

今シーズンは6月頃から、顧客接点の導線を変えたことをきっかけにJリーグIDの数は急増しました。

2020シーズンはチケット導線もJチケにかなり寄せているので、CRMとしてうまく活用していきたい。

▷シーズンシート

2020シーズンシート&クラブメンバーの申し込み受付をスタート。
申し込みサイトもリニューアルしました。視覚的に見て応援するイメージが沸くデザインと、複雑だった各カテゴリーがわかりやすくなる導線に変更。

クラブに入った当初、試合直前の駆け込みのチケット購入が多く、各試合の来場予測をしてもほぼ見立てが立てられず、着券率が80%近いシーズンシートホルダーの数が増えないことには、招待施策に頼ることから脱却できないなと感じていました。

現状は満員の10%ほどしかいないロイヤルカスタマーを最低でも30%〜40%に増やす必要があります。(12月時点で、2019シーズンと比べて2020シーズンシートの申し込みは既に約2.5倍に増えました)

この集客の見立てがたつかどうかは、スタジアムイベントや場外のスペースを拡大して利用できるかどうかなどにも繋がってきます。

また、来シーズンはスタジアムは埋まるけどアウェイサポーターの割合が多くなるという状況も予想されるので、横浜FCサポーターでいかに先行して席を埋めてもらうか、僕らの自力が問われることにもなります。

※上記の理由から着券率の見えない招待施策はしない予定なので、どうかチケットは早めのご購入をw
また、三ツ沢の規模で長くJ1で試合を続けるには将来的にダイナミックプライシングの導入も必要になってくると思います。

▷スタジアムの空間・イベント設計

JリーグIDを増やすのも、シーズンシートを検討してもらうのにもまずは一度スタジアムに来てもらう必要があります。そしてその時の満足度でリピートするかどうかはほぼ決まるので、試合結果だけでなく、スタジアム自体(空間や企画)が楽しめるものでなければいけません。

カスタマージャーニーを作って、それに応じた空間の設計、イベントコンセプト、スタッフの対応も改善していく必要があるのでそこも準備を進めています。

▷グッズの商品戦略

グッズの位置付けは売上ももちろんだけど、顧客ロイヤリティを高めることを目的にしていきます。

理想の状態は、街に横浜FCのものを何かしら身に付けて生活する人が増えること。

サッカー観戦に必要なベーシックアイテムを軸にしつつ、デイリーユースのグッズも年間のマーケ施策にあわせた商品計画を作って、適切なタイミングで販売プロモーションを行っていく必要があります。

基本的なモノづくりのサイクル(ニーズの把握→企画・商品設計→生産→プロモーション→販売→リピート)を当たり前に回せる仕組みにしていく。

▷to C 企業とのパートナーシップ

これからは看板やユニフォームに広告を露出し、企業がCSRやコーポレート予算としてスポンサーを考える時代はどんどん変わり、クラブを使ってどんな価値を提供して企業の課題を解決できるかというパートナーシップの提案が必須になってきます。

※複業セールスの取り組みをHALF TIMEで記事にしてもらっています。

2020年、考えること、やることが多くて不安もあるけど、整えてうまく回るようなサイクルをつくること、よりチーム力を発揮した仕事ができるように頑張ります。

チームの目標はJ1に定着することだけど、事業として個人としてもJ1に定着だけじゃなく、上位の仕事をできるようにしていきたい。

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松本 雄一
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