#05 搬送
入院先の総合病院には、奇遇にも仕事で何回も行ったことがあったので
所在地や入口などをある程度知っていました。
元消防士でいたるところを救急車や消防車で駆け巡っていた、
つまり道に詳しい父が運転してくれていたのですが、
そんな父を道中に「通り過ぎてない?」と疑う始末。
猜疑心が生まれるほどの痛み。
病院の敷地内に入ると「もうわかるから」と車から降りて、
苦しみながら休日・夜間出入口に駆け込む。
車に乗ったまま、道案内したほうが早いのに。
判断力が奪われるほどの痛み。
受付に到着、痛みはMAX。
床に膝をつき長椅子に上半身を預け、
体はひたすらあらゆる方向にひねり続けている。
苦悶の表情を浮かべながら「痛い」と喚き続ける。
そんな私に「問診票書けますか?」と事務的に聞いてくる、受付事務A。
…書けるわけなかろうが!
はじめて生まれた殺意を飲み込み、
「聞かれたら答えるんで書いてください」と言い放つ。
結局、付き添っていた母が書いてくれた。
人格が変わるほどの痛み。
そんな一悶着、いや、三悶着?がありましたが、
ベッドに乗せられて病院内の救命救急センター(救急患者を処置するところ?)に運ばれて行きました…。