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真柏の実生のアレコレ 1

 今回は真柏の実生の情報が少ない理由を、経験と推察を交えて書いていこうと思います。
 盆栽をやっている方には、真柏は結構身近な樹種だと思っています。多くの店舗に流通しており、比較的丈夫で育て易く、増やすことも容易。
 そんな真柏ですが、実生に関する情報だけは、全くと言っていいほど聞きません。本でもインターネットでも人でも……。
 なぜ、ここまで真柏の実生について情報が少ないのか。真柏の実生を経験された方から聞いた話と、実際自分で真柏の実生を行っている中で見えてきた理由を以下に挙げていきます。


オスの木が少ない

 理由の一つとして、オスメス両方の木が必要なのに対して、オスの木がメスの木に比べて圧倒的に少ない、販売されていませんでした。園芸店、ホームセンター、ネットオークション、ネット販売店、盆栽園etc……。盆栽を売っているところでオスの木を見かけるのは、本当に稀です。


欠点があるので増やされない

 前述のオスの木が少ないことと関連してくるのですが、オスの木の欠点として花の痕が残ります。なので葉の美しさが損なわれ、盆栽として見る観点ではマイナスともいえます。
 逆にメスの木には花の痕が残らず、葉の美しさを損なうことはありません。そういった点から、もし同じ性質の良さであったとしても、メスの木が増やされていると考えられます。


時間がかかる

 生産をする方にとって、難点となって真柏の実生に手を出せないのが、この理由だと思います。とにかく時間がかかります。
 受粉してから実が熟すまでに、19ヶ月から20ヶ月かかります。そして、種の発芽に最速で2年、遅い個体は4年かかる場合があります。
 つまり、受粉から発芽までの期間が、最速で4年、遅ければ6年かかることもあるのです。
 しかも、種からですので、性質が必ずしも親の木と同じになるとは限りません。生産を行う方も生活がありますので、そこまで待つことは難しいのではないでしょうか。


減っている可能性も

 増やされないのであれば、環境や病害虫の影響、盆栽の引継ぎがうまく出来ずに枯死となって減っていく一方ですし、さらに盆栽の技術の一つである接ぎ木という方法を使って、オスの木からメスの葉性の良い木にすっかり変わってしまう場合もありますので、思ったよりもオスの木は減っているのかもしれません。


 以上が真柏の実生の情報が出てこない理由と考えています。
 もしも真柏の実生を行いたいとなっても、もしかしたら全くオスの木がないということが、将来的にあるのかもしれません。


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