研究を始めたら恋人が消滅したお話②
そんなこんなで恋人は消えました。
しかし正確にはまだ完全消滅していません。
私たちはまだ別れていないのです。
私の中で恋人は消えました。でも「恋人契約」を解消してはないのです。
なぜ別れていないかのお話の前に、「研究と俺どっちが大事なの?」についてもう少し。
天秤の両翼
研究を始める前の私は、普通の大学生でした。
単位は取れればOKで、毎日バイト三昧。コロナ禍真っ只中というご時世とも相まって、ほとんどをバイト先か家で過ごしていました。
朝はゆっくり起き、朝ごはんを食べつつオンライン授業を受けて、午後からはバイトする。
本当に「バ畜」だったなぁと思う。(最多で平均労働時間6.5時間の16連勤をしたことあるくらい。)
恋人とは、この生活をしていたときに出会いました。お互いバイト掛け持ちで、まぁでもそれ以外に特にやることないし、物理的にすれ違うこともあんまりなかったので、仲良く家で暮らしていました。
今の生活は、
朝9:30には大学へ行き、そのまま21:00まで帰ってこない、なんてこともザラで。
明日発表あるからやばい!って言って夜中まで議論することもあるし、いろんな相談事で2人きりで話すこともある。
そして、やってることが違ってくるから、だんだん話も噛み合わない。
方やバイト、方や勉強。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、お互いがお互いと話すのを億劫に感じ初めているのには気付いていました。
恋人が時折、昔のような生活がいい、と漏らしていても、私はそれには賛同できなかった。
何かを聞いても、「わからない」と言われることに対して我慢できなくなってきた。
一緒にいる時間を増やしたい、と言われても、これ以上時間を割けなくなってきた。
こういうすれ違いが、ヒビが、重なって重なって。
「仁はさ、俺のことなんてどうでもいいんだよね」
「研究の邪魔したくないからいいよ」
「こんなことで口論したくない」
「研究と俺だったら、研究の方が大事でしょ」
これが、「研究と俺どっちが大事なの」のお話。
なぜ別れていないか?
大きく理由はつあります。
家が同じ
嫌いになったわけではないので情がある
家が同じ、は仕方ないことなので、一旦スルーします。
同棲を始めるという決断をした自分たちを恨むとしましょう。
問題は2つ目。
「嫌いになったわけじゃない」「情がある」
相手に嫌われたくないし、悪者にもなりたくない、という最悪の利己主義的性格が見え見えなのが本当によくない。
もちろん決定打としての「嫌いポイント」はないので、いざ別れたとなるとしばらくは失恋の痛みに苛まれるでしょう。(4日くらいは流石に落ち込む自信ある)
でも、どうせすぐ立ち直るのもわかっています。
それなのに、「振る側」よりも深い傷を負うであろう「振られる側」に、「まだ好きなんなら望みはあるかも」とわずかな希望を抱かせるのが最低最悪。人間失格。嗚呼、諸行無常。
ここまでわかってるのに、正当な理由を伝えられないまま別れるのは不可能です。
嫌いポイントがあればスルリと別れられるだろうに、それがないから困る。
そしてないのであれば、感情と実生活を比較考慮して、感情を無下にするしかない。
まだ私には双方の感情を無下にするだけの勇気と覚悟がないのです。
そして、この期に及んで「嫌われたくない」という身勝手な感情が、「恋人関係を解消する」という決断をさらに遠ざけてしまうのです。
つまり私は骨なしチキンってこと。