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断捨離をするお話


深夜23時23分、断捨離をすることにした。

手始めは冬服だった。

この冬1回も登場しなかった服たちを、スッパリと手放すのだ。
そう決めてクローゼットとチェストを開け、軽く掃除機をかけたカーペットの上に冬服たちを並べていく。

別段意識したことはなかったが、私は服が好きなんだと思う。
床に並んだ服の量がそれを物語ってる気がした。

総数は、アウター4着、カーディガン5着、セーター3着、パーカー2着、あとはインナーにしている黒いハイネックのセーターが3着と、色違いのが2着。パンツはというと、ショートパンツ2着、ロングスカート2着、コーデュロイのが1着、真っ赤なチノパンが1着。

多すぎる。

これにまだ春・秋服と夏服があるのだ。
身体がいくつあるつもりなんだろう。

私は物持ちがいい。
正しくは、少しくらい傷んでも気にせず身につけている。

実は大量の服たちの8割は、少なくとも5年以上前に買ったものたちだ。

高校生のとき、母に買ってもらった服たちだ。


私は、断捨離をする。


買った場所も、買った日すら覚えている、白いカーディガン。さすがに毛玉の処理が限界である。
ボタンが透明で可愛いんだけど。

ショッキングピンクの、オーバーサイズのカーディガン。これをかわいいと言ってくれた人は、もう隣にいない。

ラフに着られるものが欲しくて買った空色のパーカーは、なぜか背中が痒くなる。

部活に打ち込んでいたころ、太ももは見事に育っていた。年頃の女の子はみんな気にするであろうそれを隠してくれていたショートパンツ。今履くと、ベルトがまったく意味をなさない。

初めてのクリスマスデートにドキドキして、わざわざ買ったベージュのニットワンピ。
今年は1回も着なかったな。

1番の古株、高校生になる直前の春に買ってもらった、青のカーディガン。
毛玉も増えたし、昔みたいにふわふわじゃない。
でもこれは保留で。

床が見えてくるのと同時に、私の横の袋はカラフルに膨らんだ。

クローゼットを漁っているうちに、追加で2着見つけた。
黒のチノパン、UNIQLO産である。
私にはちょっと大きいそれを、部屋着の上から履いてみた。

さすがに二枚重ねはゴワゴワして動きづらいね。
丸めて袋に入れた。


実際には、あともう何枚かさよならする服を選んだ。

重労働である。




深夜2時7分、断捨離をした。
服と一緒に思い出も断捨離した。

少なくともクローゼットはすっきりした。


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