企業や製品のみがブランドではない。
どんなものでもブランドと認知されることは可能です。
典型的なのは「企業ブランド」。ここには「コーポレイト・ブランド(例:ファーストリテイリング)」「事業ブランド(例:ユニクロ)」「製品ブランド(例:エアリズム)」などが含まれます。
さらに近年では、経営者自身をブランド化するような「パーソナル・ブランド(例:柳井正氏)」も注目されていて、これを求めるのはIT系やスタートアップ系の企業経営者、またコンサルタントや個人事業家などフリーランスに近い人たちです。今後、「人生100年時代」や働き方の多様化を見据えて、会社員であっても自分のブランドを意識するようになるかもしれないですね。
パーソナル・ブランディングでも事情は同じです。新カテゴリーなどというと大げさに聞こえますが、「自分を何かの専門分野の第一人者」としてポジショニングすることと云えばわかりやすいでしょう。これを「自分の商品価値」と捉えることも多い。
親しい経営コンサルタントの例。彼はそれまで中小企業経営者の相談相手としてコンサルティングを行っていましたが、彼の専門分野は必ずしも経営ではなかったのです。しかし会社員時代、大企業に勤め、社長のスピーチライターとして活躍したキャリアがあった。当時、日本にはスピーチライターという職業はほとんど知られていなかったので、私は彼を「日本で最初のスピーチライター」と勝手に定義づけました。これは成功し後々、専門書まで彼は出した。そして、いまでは「言葉のチカラで組織の求心力を高める経営コンサルタント」として成功しています。
また、別の独立自営業者の方は「人材派遣」を仕事にしていました。これもよくある職業です。彼の独自性、専門分野は何か。私は彼の職歴を振り返りました。すると、会社員時代に企業にコンサルタントや研修講師を派遣したキャリアがあった。数百人以上のコンサルタントや研修講師を見てきていたのでした。そこで彼を「講師の目利き」としてポジショニングしました。現在、彼も研修講師派遣の専門家として成功しています。