ビジネスモデル④基金運用方式によって、産業の長期的継続を図る#3-22
地域において、超長期の投資を促すものに基金運用方式がある。不動産においてもファンドが出てきたが、今回基金と表現したのは、その目的と回収方法に違いがあるからである。 まず目的についてだが、「基金を運用することで、産業の維持継続を図っていくこと」が挙げられる。ファンドはリターンの大きさを追求する場合が多いが、これから説明する地域開発や伝統産業の継承においては、 大きなリターンよりも続けることの方が難しい。よって、リターンの最大化ではなく、維持継続のための仕組みによって実施する必要がある。
今回は、私たちが構想する2つの基金について、お伝えしたい。
地域開発創生基金
1つ目の基金として想定しているものに、地域開発創造基金がある。地域主体型の地方創生が進む中、地方自治体・地銀や地元企業・地域市民の三位一体で、地域の独自性を生かした新しい地域開発を目的とした基金を創設する。地方銀行預金の使われ方を予め設定し、預金者それぞれが使用方法を選択でき、金銭的リターンやコミュニティリターンなど地域の関係者の預金意欲を高める仕組みを設計する。 これによって、銀行口座で眠らせている預金を有効活用することができ、それを預金者の指向によって分配方法を決めることで、民主的な地域開発が可能となる。 これに似た制度に「民間公益活動促進のための休眠預金等活用」がある。法律によって、一定期間を超え預けられ続けた金額を、公益活動のために活用する、という制度である。この制度によって、多数の活動は支援されているものの、まだまだ多くの公益活動が支援を求めている。 地域で独自に運用することができれば、地域のさまざまな活動を補助することができるのである。
(次回へ続く)