ビジネスモデル④基金運用方式によって、人材の長期的育成を図る#3-23
伝統産業承継基金
もう1つの方式として、人材育成に焦点を当てた基金がある。伝統産業などに代表される、衰退期にある産業において、人材育成に対して投資を単独でできずに技術が継承されず、さらに衰退していくというサイクルに入っている産業が多い。ここで、業界団体や地銀等で基金を設立し、業界全体で人材育成を進めてゆくという枠組みである。 この基金によって給付対象者は、自身が研鑽する段階において生活費の補填を受け取り、現役として活躍する段階に入れば収入のうち数十%を返済するという形式である。この形式が従来の奨学金と違うところは、貸付ではなく成功報酬である点である。ある産業において、成功するのは先導する企業のみの場合も多く、それ以外の企業や個人は食べていくのが精一杯の状況にある。投資の世界でも「せんみつ(1000試して3つだけ当たる)」と言われる通り、給付を受けた全てのものが一律で十分な収入が得られるとは考え難い。そこで、収入に応じた成果報酬形式を採用することで、投資回収を確保しながらも、給付者の負担を軽減するのである。
(次回へ続く)
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