藤商事
ここ最近の相場の流れがグロースからバリューに向う際に目に付いた銘柄、藤商事に注目してみる。
コロナ禍でのパチンコ業界は厳しく、藤商事もその例からは漏れない。業界的に一見とても買えないというこのタイミングで「とある魔術の禁書目録」が念願のヒット機種になろうとしている。
しかしながら、そんな誰も買えないからこそ敢えて注目したい。ヒット兆候のある「とある魔術の禁書目録」は今期の発売予定台数2万台をクリアし、増産が1000台程追加される事となった。2万台というのは業界サイトP-ワールドの設置台数ランキングにも上がってこない程の台数ではあるが、おそらく藤商事は市場での適正台数を見極めている最中であると思われる。
今のところ、この機種の評判はホール、ユーザー共にかなり良い。ホールでは高稼働を今のところは維持しているし、自分も実際に打ってみたところ出来はかなり良いと思った。パチンコ中古機相場では11/24の時点で販売価格を上回る70万円以上、ランキングでも現在ヒット機種の「大工の源さん超韋駄天」に続き2位につけている。P-ワールドの注目機種ランキングでは1位と今後楽しみな位置に着けている。今の業界の現状でパチンコ、パチスロ共に規制が変わり各社なかなかヒットが出せていない現状で、この「とある魔術の禁書目録」が、藤商事の苦境を救うかもしれないと思えた。
今この業界は様々な変化の最中で、特に今後近年大きく動く問題に「パチンコ旧規則機の撤去問題」がある。今もなお設置されている問題機種200万台を来年2021年11月末までに順次撤去しなくてはいけない。撤去するからには新しく機械を買わなくてはいけない訳で2021年はメーカーにとって大きな需要が半強制的に生まれるチャンスでもある。
パチンコ業界はシェア争いが少し特殊で、ホールの中の島(場所)を取り合うという図式がある。例えばAという機種の島があったとして、その機種から新しい機種に入れ替える場合、機械や設置設備の関係上同じメーカーの機種を選ぶ事が多い。つまりメーカーはホールの島を取れれば次の機種も島で取れる可能性が高くストックのような状況になる。強い機種を作れれば島を他社から奪えて次の新機種が売れやすい下地が作れる。業界的な撤去問題で強制的に空いた島に、ホールは当然ながら稼げる機種を置きたい。今のこの時期にヒット作を作れた事が大きな優位性になりうるのではないか。
藤商事の今期の生産台数予想は6.5万台、上半期は低調で売れたのが1.6万台。今期からカウントされる「とある魔術の禁書目録」が今のところ2.1万台売れているので、残り2.8万台を他の新機種や「とある」の増産と別スペックバージョンで売れればとりあえずの目標はクリア。それ以降どれだけ伸ばせるかが今後の焦点になる。
藤商事は自社工場を持っていて一日に4000台の生産が可能だそうなので、需要さえあれば機械を売り捌く状況は整っていると言える。後は旧規則機撤去で空く隙間にどれだけの需要で滑り込み、ホール内の島を奪えるかの勝負になると思われる。
今のところはまだヒットの”兆し”ではあるが、「とある魔術の禁書目録」が更に追加増産がかかるのか。別スペックの検定動向。ホールでの稼働状況等を今後も追って見る価値はあるのではないか。