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BMCで解き明かすボトムからの組織の動かし方

草間隆人
BMIA認定コンサルタント/株式会社日立製作所)

2024年3月3日「SFプロトタイピングとスペキュラティブ・ビジネスモデル〜ビジネスモデルオリンピア2024」が開催されました。(主催:一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会(BMIA))
※本記事は、イベント内での筆者イノベーションピッチに加筆修正したものです。

みなさん、おはようございます。草間と申します。今日は「ボトムからの組織の動かし方」というお話をします。私は、日立グループに勤めてまして、ボトムからイノベーティブな組織文化をつくるとか、挑戦する文化みたいな、ある種、いい意味で社内公認のテロを行っている人間です。具体的にどんなことをやっているのか、そこでなにが起きてるのか、構造を含めてご紹介したいなと思ってます。


社内に同志がいる、はず

「いまのままじゃいけないよね」「やっぱりなにか動きたい」っていう人って、社内にもいるんです。でも、同調圧力で、シャッターを下ろしてる人ばっかりなんですよね。「やっぱり大企業は変われない」「日本じゃ無理なのか」みたいな雰囲気は、今日ここにいらっしゃるみなさんも感じられてることかと思います。

私は、この恨みにも似たようなエネルギーをポジティブに変えたいなと思って、「この指とまれ」と小さいところから変化を起こしていって、大きな波をつくっていくような挑戦をしています。

めざすはWILLの再発見

私の活動をビジネスモデル・キャンバスで表現したのがこちらです。

顧客セグメントは悩めるビジネスパーソンです。そういった方々に対して「仲間って実はいるんだよ」であったり、「実は方法があるんだよ」っていうことを体験いただく場をつくっています。

そして、体験してみて「これ、自分がやりたかったことかもしれない」「これをやりたい」という自分のWillを再発見できるコミュニティをつくっています。社内SNSを使って参加してもらい、また、1回の参加だけで即座に変わるわけではないので、繰り返し参加してもらう関係を構築しています。

私はFORTHの認定ファシリテーターですし、FORTHメソッドを使ったり、BMIAのように外部のいろんなところの刺激を受けて、ターゲットとなる人が思わず参加したくなるイベント企画をしています。心理的安全性を徹底的に壊す方法をみんなで考えようとか、ちょっと天邪鬼心をくすぐって参加していただくようにしてます。

コスト構造は、全部ボランティアベースでやっているので、自分自身の時間とお金です。ここまでのビジネスモデルを振り返ると、レベニュー・ストリーム(収益)はありません。

こうしてみると、私は”聖人”、もしくは”変人”に思われるかもしれません。が、もちろん、そうではありません。

収益は経験値と刺激

活動してみると、「この活動、おもしろかったのでやめないでください」とか、「こんなことやりませんか」みたいな声をいただく。これが本当に本当に非常に自分にとって刺激になります。

あともうひとつ。私も、基礎講座[註1]、応用講座[註2]も受けてますけど、1回受講したからといって、すぐに業務に活用するのはやっぱりなかなか難しいんですよね。私にとっては、こういう場をつくって、自身の経験値を高めることに最も活用しているといえます。これが実はビジネスモデルの私のなかで第一弾ですね。

第一弾のBMC(ビジネスモデル・キャンバス)

自分の原体験や社内の声に基づく企画で自己強化ループを回す

ここからビジネスモデルを発展させています。こういう活動を継続していると仲間の声ももらえるし、社内の自己ブランディングができたり、経験値もどんどん高まっていきます。
最初はFORTHが、BMCが、みたいな感じで、方法論を中心に企画を立てていましたが、これが自分のものになってくるみたいな感覚があって、そうなってくると自分の原体験や社内の声に基づいて企画ができるようになります。

第二弾のBMC(ビジネスモデル・キャンバス)

すると、より周りの人に刺さって、参加者が所属している組織によりフィットしたイベントができるようになり、自己強化ループがぐるぐるぐるぐる回っていきます。これが第二弾です。これを進めていくと、最近おもしろい変化が起きました。

このコミュニティのなかから、きなまりさんみたいに、自主的に、たとえば女性問題をみんなで考えてみたいとかっていう新しいコミュニティが生まれてくる。私が背中を押したわけでは全然ないんですけど、結果、なにかやりたいと思っている主体的な人は、なにかのコミュニティ入るといいよ、みたいな構図になっていく。

第三弾のBMC(ビジネスモデル・キャンバス)

こんな感じで、社内でどんどんコミュニティが生まれてくると、シャッターを下ろしてた人が、ちょっとずつ上げてくるんすよね。

最近は、人事系の人に「ちょっと話聞かせてくれませんか」とか言えるようになったりしてます。とはいえ、こっちがフルオープンでも、向こうはシャッター下ろしてたりもするんですが、少しずつ接点が出てきたり、いろいろと相談してもらえる関係ができつつあります。こっちはどんどんシャッター開けに行く、こういうループを回していくという変化が起きていて、これが第三弾かなと思っています。

おもしろいことに、結果、日立グループ内でも「草間さんちょっと登壇してくれませんか」と言われたり、日立グループ外で記事をつくってくれたり、最後にちょっと宣伝ですが、来週の火曜日(3/5)には、ビザスクで登壇もします。午後4時から5時15分、ぜひググって参加申込お願いします。

Q&A

山本:ありがとうございます。みなさん、いますぐググってくださいね。
おこがましいようですが、6年前の私を思い出しました。草間さんの方法論から原体験、そして経験の蓄積っていう自己強化ループがすばらしいですね。しかもグループのなかでどんどん飛び火しているというところがまたすごい。結果に結びついてますね。
さて、質問が来てます。「1人目の仲間はどうやって見つけましたか」

草間:あぁ……、いい質問ですね。まずは身近です。私の場合は、たまたま最初に活動を始めたときの上司がすごく理解のある方だったので、話を聞いてもらいました。相談に乗ってくれそうな、聞いてくれそうな人を探しました。

山本:やっぱり自分の身近ですよね。もうひとつ、質問です。
「こういった活動が、必要であることは間違いない。が、このことが、会社のなにに貢献しているかを見える化できないと、活動の継続やカルチャー化が難しいんじゃないかなと思ってしまいます。見える化するにはどうすればいいですか

草間:まだやろうと思ってやりきれてないところはあるんですけど、数字というよりはこの熱量を(このコミュニティすごい盛り上がるんですよ)、どう伝えるか、だと思います。社内SNSとか、伝える方法もいろいろあるので、そこは去年ぐらいから意識的にやっています。悩まれてる方は、ぜひとも挑戦して発信し続けていただけたらと思います。

山本:発信し続けるのを諦めない。飽きずに、粘り強くってことだと思いますね。最後にもうひとつだけ。
「草間さんのようにパワフルになりたいんです。秘訣はなんですか」

草間:行動することと挑戦を楽しむことですかね。なんて、きれいごとを言ってますけど、私の活動も最初は参加者が2人とか、もう寂しいぐらいな感じでしたが、やりました。その経験から、しかけの重要性を学んだので、なにごとも失敗と思わずに楽しむっていうことが大事かなと個人的には思ってます。


Q&A聞き手 山本伸/写真 小山龍介/編集 片岡峰子

[註1]BMIA認定ビジネスモデル・コンサルタント養成講座(基礎)
[註2]BMIA認定ビジネスモデル・コンサルタント養成講座(応用)


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