セブンの宅配に学ぶDXの始め方〜セブンイレブン、やっぱり頭ひとつ抜け出ている!

代表理事の山本伸です。

BMIAの講座で取り上げている「コンビニ」ですが、もはや一括りにしてしまうと解像度が低すぎて、実用的ではありません。

最近は、自身の講座や勤務先のトレーニングにおいて、コンビニ各社のBMCを描かせてみることで、それぞれに異なる戦略が明確になり、議論がとても白熱します。

この1年は、コロナ禍で需要が急増した「宅配」に着目して、コンビニをウォッチしていました。

ちょうど、昨年9月から何度かメディアで報道された「セブンイレブンの宅配」の記事*をネタに、BMCを描いて納得。

見事にスタートしつつあるセブンイレブンの宅配事業から、DXのコツを3つ発見できたので共有します。

【ほとんどのDXは単なるデジタル化】
2020年は「リモート」「オンライン」と共に「DX」というバズワードが生まれました。

しかしながら、ほとんどの取り組みは単なる「デジタル化」であり、紙やFAXからの移行、メールからチャットツールの導入、程度の変化に留まっているのではないでしょうか。

セブンイレブンの宅配事業の記事から、ビジネスモデルキャンバスを描いてみると、新たな価値提案を生み出す仕掛けがいくつも見えてきます。

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CS「在宅勤務中に食事を作る時間も、買いに行く時間もない」というジョブ & フリクションを捉え、
KP「セイノーHDと連携」して、CH「ジーニー」という配送子会社で運用。

その結果、CR「モバイルアプリからのオーダー」により、VP「オーダーから30分で届く」顧客体験を届けています。

収益は、R$「1,000円以上から、配送料は330円」をいただくモデル。
これを実現するのがC$「ラストワンマイルDXプラットフォーム」

コンビニに限らず各社がなかなか手をつけてこなかった難題に、しっかり取り組んでいました。

最初は2017年に北海道から「ネットコンビニ」の取り組みを開始。

徐々に対応店舗と地域を広げていき、現在は北海道120店、広島151店、東京79店、等々計350店でサービスを展開。

リアルタイムで店舗在庫と連携し、店舗から半径500m圏内でのニーズ取り込みに成功したわけです。

実は、ローソンが先行してUberEatsと組み宅配を始めていました(一番人気は”からあげクン”だったとか・・・)。

しかしながら、セブンは店舗数というリソースを最大限に活用すべく、POSのDXに取り組んだわけですね。

かつ、個人配送ではなく、セイノーの子会社という「信用」をしっかりと担保しました。

現在はまだセブン全体の10%程度の店舗で運用が始まったばかり。

また、配送は車に限らず、自転車やドローンなども検討しているとのこと。

まとめると・・・「空いててよかった」から「すぐきて助かる!」へのビジネスモデルイノベーションが、セブン流DX。

その肝が3つ・・・

・顧客のジョブをしっかりと認知
・リソースを進化させるべく、デジタル化と共にオペレーションの最適化
・少しずつ実施店舗を増やしながらの「実験&スケールアップ」

セブンの宅配はValue Proposition Designのお手本ですね。

BMCを描くことで見えてくる本質、我々も自社やクライアントの事業構造のDXに、取り入れていくべきでしょう。

それでは。


参考)
1.セブンが宅配に本格参入する理由は?
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63649000Z00C20A9I10000/
2.セブン「ネットコンビニ」拡大 驚異のスピード配送が生む新市場
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00425/00006/


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