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当時の自分を成仏させる

実は、家族全員がインフルエンザAに罹患し、ちょっとたいへんなことになっている。妻がまずかかり、その後、息子、私と娘という順番でかかったようで、今年は実家に帰らず静かに自宅で過ごすことが決定した。そんななかでも、京都芸術大学修士の学生の論文指導が、今日も5時間ほど入っていて、朦朧としながらも指導を続けている。こうなったら根性しかない。

今回のインフルは、悪夢を伴うことでなかなかつらい。午前3時くらいに、夢の中で永遠ループみたいな状態になって目が覚め、眠ってもまたそこからリスタートみたいな感じで、一向に立ち上がらないOS状態になっている。面白いのがこの悪夢がなかなかリアルで、おとといは、なぜかフィットネス業界の重鎮である古屋武範さんがでてきて、フィットネス業界を活性化するための講演会を企画するという話になった。

古屋さんがその専門的見地から、矢継ぎ早に講演候補者を提案し、少しでもこちらが躊躇しようものなら、すぐに別提案が飛んでくるという、たぶん上弦の月くらいの戦闘力で襲われた。これは別ロジックで回避しなければと、なぜか「伊集院光くらいがフィットネスやる流れにしないと業界が沈む」的な話をして、輪廻を断ち切った。伊集院さんには感謝しかない。

さきほどは、たまたま中居正広の記事だとか、男性の性加害被害の記事を読んだからなのか、私が、実際には加害者ではないのに男性に対するいじめ的な性加害者という設定で、とにかく謝り倒すことになった。しかし、加害者設定にもかかわらず、被害者の気持ちがとにかく痛いほどよく分かる。そのうち、その被害者も自分自身だということに気づいて、その悪夢は終わった。ちなみに読んだ記事は、先輩四人から部活のノリで性加害を受けたケースで、読んでいて本当につらいものだった。

そこで思い出したのが、小学生の頃、友達からいじめられていて、とくに流行していたプロレスの技をかけられたりして、本当に嫌だったことだ。幸いにも、性的なものにはならなかったので、なんというか、PTSDを発症するようなことはなかったのだが、でももしそうした方向に行っていたらと想像するだけで、おぞましい気持ちになる。

このとき、自分を救ったのは、ちょっとした行動だった。図工の時間に、画用紙を床において絵を描いていたら、遠くから件のいじめっこがやってくる。そのいじめっこが自分の画用紙を踏むことが、なぜか事前にわかり、そのときにとにかく、そのいじめっこにつかみかかるべきだという直感が降りてきた。案の定、彼は画用紙を踏み、そこから教室の端から端まで転げる勢いで掴みかかった。こいつは抵抗する、ということがインプットされたのか、それからあからさまないじめはなくなった。

このとき、なぜ画用紙を踏むことがわかったのか、なぜそこで、普段なら絶対にしないような抵抗をしたのか、それはわからない。しかし、すごく身近な守護霊的なものに守られているという物語で納得するようにした。事前にこうした状況をセッティングしてくれたのだ。

そして、今回、インフルの悪夢の中で謝っていたのは、そのできごとの前、いじめられていた自分に対して、当時のいじめっこに代わって謝罪していたのだろうという物語が新たに加わった。どうせ当時のいじめっこはいじめをした認識さえもない。まったくやり取りのなくなった彼らの謝罪を待つのは無意味だ。病気になって、弱っている子ども時代の自分が自分の中にまだいたことに気づいた。その当時の自分を、しずかに成仏させたい。インフルでぼんやりとする頭で、そんなことを思いながら論文指導をしている。

小山龍介
BMIA総合研究所 所長
日本ビジネスモデル学会 BMAジャーナル編集長
名古屋商科大学ビジネススクール 教授
京都芸術大学 非常勤講師

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