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FORTHイノベーション・メソッド公認ファシリテーター養成講座(第4期、第5期)

2022年10月12日〜17日(第4期)& 21日〜26日(第5期)
講師:ハイス・ファン・ウルフェン、山本伸、西村祐哉
会場:湘南OVA
文責:山本伸


スピード・量・質、すべてが整った最高のメソッド

FORTHマップ

FORTH とは新しい商品やサービス、ビジネスモデルを生み出すイノベーション手法。構造化されたロードマップに従い、15週間で新しいコンセプトが生み出され、ブラッシュアップされる再現性の高いプログラムです。

この公認ファシリテーター養成講座では新商品やサービス、ビジネスモデルを社内やクライアント先で生み出す効率的な手法を習得します。

国内では過去に全3回(加えて、企業内研修で1回、オンライン開催1回)の講座をBMIA主催で開催、40名以上の認定ファシリテーターが多様な業界で活躍しています。

またEU諸国、アジア、アフリカ、中東、オーストラリアそしてメキシコや米国などグローバルでは500名以上が認定され、ビジネスに加えて教育、NPOや国連のプロジェクトで活用され、特筆すべき成果が次々と生まれているメソッドです。

さまざまなイノベーションの手法が数あるなかで、FORTHは組織の力学までもを考慮している点がユニークであり「スピード・量・質、すべてが整った最高のメソッド」(今回の参加者談)と評価されています。

COVID-19により分断された組織や、リモートワークの困難さを克服するため、2020年6月には100%オンライン版のFORTHメソッドが開発されました。
オンラインによるイノベーション実践のためのツール、ノウハウ、マインドセットが開発者Wulfen氏から直接、無償で公開されています。

3年ぶり・5度目の来日、FORTH開発者ハイス・ファン・ウルフェン氏

ハイスさんはイノベーションコンサルタント、スタートアップのスペシャリストとして、LinkedIn でトップソートリーダーの 150 人に選出されています。Innovation Excellence では、インターナショナルトップブロガーとして第二位に選ばれました(ちなみに第一位は元アメリカ大統領オバマ氏)。

また、彼は世界中のさまざまな製造・サービス業、NPO 組織で、講演・ 研修、ワークショップのファシリテーターを担当、数々のイノベーションを成功に導いています。 その経験の中で生み出され改良されてきたのが、今回のワークショップで紹介する「FORTHイノベーション・ メソッド」です。

デザイン思考や最新マーケティング手法を組み込んだ著者独自のイノベーションメソッドは、クリエイティブなビジネス思考のベストプラクティスになっています。

FORTHメソッドは、特に大きな組織内でのゼロイチに有用であり、彼自身、3Mやフィリップ・モリスなどグローバル企業内のイノベーション・プロジェクトにも関与し、大きな賞賛を得ています。

『スタート・イノベーション』出版直後のハイスさんからのメッセージ


イノベーションを前進させるFORTHの5つのステップ

FORTHメソッドは2006年に、ハイスさんが「Nieuwe Producten Bedenken」(オランダ語)として、初めて公開しました。現在、この本の第三版が発売されており、英語では「The Innovation Expedition」(日本版『スタート・イノベーション!』)として、各国のAmazonにてベストセラーとなっています。

『スタート・イノベーション!』(ビー・エヌ・エヌ新社、2015年)

公認ファシリテーターは日本以外にもオランダ、ベルギー、ドイツ、英国、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ルーマニア、トルコ、スペイン、メキシコ、アメリカ、カナダ、ケニア、スーダン、インド、UAE、中国、インドネシア、オーストラリア等々世界中に広がっています。

FORTHメソッドは150以上の会社・組織にて導入されそれ以上の数のプロジェクトが完遂されており、高い評価を受けています。最近の研究によると、FORTHメソッドは従来のStage-gateプロセスに比べイノベーションの効率性を2倍に引き上げる効果を上げていることが示唆されました。


全員がそこにいるのに、PCの画面を目の前にした状況で、どうする?

3年ぶりの来日、4回目・5回目の本講座には、超巨大グローバル企業の日本法人勤務の方から独立系コンサルタント、中小企業診断士、等々、毎度のことながら定員を上回る申込をいただきました。

どなたの応募動機からも、熱い意思と覚悟、決意が伝わってきて選考は困難を極めました。なぜなら、こんなにも真剣な想いが寄せられたから・・・

市場に目を向けられていない、顧客の声の活用法がわからない。事業創出は多くが自己流で「型」がなく、再現性がない。横断的な視点が不足しており、組織に壁がある。これらの課題には、実績が証明されたFORTHが持つ特徴や再現性が、組織への実装のしやすさにおいて最適だと考えており、組織への啓蒙と文化として導入を進めたいと考えています。文化としての導入にはスピードと成果が重要です、このメソッドを推進することで、組織の文化として迅速に実装できると考えています。昨今の社会情勢や顧客の変化により店舗も含めた弊社全体で「変化しなければ」といった危機感が役割や世代関係なく、非常に高まっています。役割や世代、店舗や本部を飛び越えて、社会課題に向き合い解決することができる、イノベーティブな環境づくりや、よりクリエイティブな会社の実現を目指したいのです。

C社(日用品・消費財メーカー)

官公庁領域の事業部門にて、事業開発活動の加速推進チームのリーダーとして活動しており、複数の事業開発プロジェクトのアクセラレータ・ファシリテータを担当しています。当部門には新規事業開発の経験者が少なく、新規事業開発に割り当てられる工数も限られているため、メソッドが明確で、実践しやすい事業検討プロセス、より効果的なファシリテーション力を必要としています。社内のFORTH公認ファシリテーターから本講座の紹介を受け、FORTHの考え方やメソッドを部門に展開していきたいと考えています。本講座での学びを強みとして、部門の事業開発力の向上につなげていきたいです。

N社(ICT総合メーカー)

業務でファシリテーターをする機会が多いのですが、チームビルディングやアイデア創出に強い課題を感じています。社内はデザイン思考など知らないメンバーが多く、年齢層も高いため、会話量も多くなくアイデアに偏りがあってイノベーションを起こせる環境づくりができていません。書籍などを参考にしさまざまなノウハウを試してみてはいますが、正解がわからず手探りの状態です。実際に実践しながらプロの方からファシリテーションを学べる機会は少ないので、今回はぜひ参加させていただきたいです。

C社(日用品・消費財メーカー)

理事の間でも議論が二転三転しつつ、受講者を最終決定し、参加者Facebookグループにご招待しました。
すると、さっそく次々と、大きな期待や選抜された喜びの声が寄せられ、満を持して10月の初日を迎えたのです。

一方で運営側の西村理事、片岡事務局長そして私(山本)は、いくつもの壁や困難に見舞われておりました。

  • 対面で行うための基本的環境整備(感染対策の徹底はもちろんのこと)

  • オンラインツールのテンプレート準備(地道な翻訳作業)

  • 付箋や模造紙は、どれくらい必要なのか(オンラインツールを使うというものの)

オンラインファーストに慣れてきたなかで、今回の「対面型」講座をどこまで準備すればよいのか、戸惑いもありました。

結局、来日前の1ヶ月間、頻繁にハイスさんとZoomを介して話し合いを重ね、講座当日のランチ(午後から開始の直前)まで、これまでの運営との違いや「オンライン」と対面のバランス、個々のメニューの目的や意図、等々……、微調整を重ねていきました。

結果、どのような流れになったか。ようやく受講が叶った小山龍介代表理事の記事をご覧ください。

6日間はまさに探検の旅だった

そもそも本講座は5泊6日と拘束時間が長く、受講料も100万円を超える高額なもの。社会人にとって非常にハードルが高いものですよね。
それでも参加を切望するという方々は、少なくとも以下のひとつ以上に「YES」とうなずいています。

  • 企業が保守的で、イノベーションがなかなか進まないと悩んでいる

  • 社内のイノベーション・プロジェクトが失敗続きで、成功事例がない

  • 経営に行き詰まりを感じており、効果的な新規事業開発が進められていない

  • クライアント企業の新規事業を手伝っているが、既存事業と異なるアプローチが必要だが、決定的な手法がないと感じている

  • イノベーション手法を学んで、人生の新しい可能性を切り拓きたい

このような問題意識を強く持った多様なイノベーターたちが、寝食を共にしながら6日間を過ごし、得られたものとは? 彼女・彼ら自身に何が起こったのでしょうか?

運営側としては、前回までよりも更にきめ細かく、場合によっては進行中でもハイスさんと激しく議論をしながら「BetterではなくBest」を提供したい、共創したい想いで全力を降り注いでおりました。
おそらく参加者の皆さんも、しばしば不安や壁にぶつかったことが、振り返りコメントからも明らかです。

  • どこまで準備されていて、どこから実践するか手探りだった(逆にリアルで良い面もあったが・・・)。

  • 何を省略していて、本来どんなことをしているのかわかりづらいところがあった。

  • ファシリテーターのスキルに依存する部分もあるので、どのぐらいMiroを使えると望ましいのか事前に知りたかった。

  • 進め方やフレームワークなど自由度がある箇所では、どれくらい幅を持たせてもよいのか。

  • ロールプレイ上の役割として、ファシリテーターとして、あるいはフィードバック役として非常に忙しく、それぞれの役割に集中しきれないときがあった。

  • 時間の関係で実践が難しい部分は、ロールプレイの様子を動画などで確認できるとうれしい。

講座を最後まで完遂した新公認ファシリテーターの皆さん、大きな変化と自信を持ち帰ることができたようです。

GroupAのみなさん


GroupBのみなさん、ゲストもご一緒に


終了後の振り返りから、いくつか抜粋してご紹介します。

  • ハイスの情熱とクオリティに、とにかく感銘を受けました。そしてこのメソッドが好きになりました。

  • 参加する前と後で手法への理解、自分の意識、モチベーションが、大きく変わりました。

  • 最初は不安も多かったですが、想像よりもはるかに楽しい学びの多いプログラムでした。

  • タイムスケジュールに無駄がなく、ストーリーがあるので記憶に残る。 とても感動的でした。

  • なぜ私はもっと早くこのトレーニングに参加しなかったのか、それが悔やまれる。

  • メソッドへの理解が深まることで、実際の仕事に生かすことの期待しかないです。

  • インプットが多いもののロールプレイ、休憩がちょうどよく、ノンストレスでできた。

  • 今までで一番濃密で学びの多い研修でした。実践して行く自信が持てました

  • 過去にここまで濃密なトレーニングに参加したことがありません。

  • フィードバックに重点が置かれており、みんなで学びを深められた。

  • スピード、量、質も担保された最高のメソッドだと思う。


新たな手法「ハイブリッド・イノベーション」が標準化されていく

「この6日間はスタートにすぎなく、ここから交流し、学び合う場がとても重要になるのだろうと実感しました。そのサポートに力を入れていただけることを期待しています。」

参加者のお一人より

という声にお応えして、ハイスさんのもうひとつの著作『イノベーションの迷路』(サウザンブックス、2021年)に続いてのクラウドファンディングを立ち上げることにしました。

実は、完全オンライン版FORTHメソッドが生まれた背景には、各国の認定ファシリテーターによる、オンライン化のための多様なツールや、それらを用いたオンライン会議、そして大小さまざまなオンライン探索プロジェクトの試行錯誤がありました。

その集大成が、昨年、書籍になっていたのです。

Online Innovation: Tools, Techniques, Methods and Rules to Innovate Online, BIS Publishers (2022/2/15)

ハイスさん以下、イギリス・イタリア・オランダ・ドイツの公認ファシリテーターによる共創の成果物です。

この翻訳出版をめざし、2023年初よりクラファンを開始します。

本書は、沈黙で顔出しをしないオンライン会議にウンザリな新規事業開発リーダーに向けた「バイブル」となるでしょう。
出社状況も戻りつつある今後の複雑な条件でも、ワクワク楽しく生産的なコミュニケーションを可能にする「ハイブリッド・イノベーション」の多様なHowをお届けします。

もちろん、本講座で実践した「ハイブリッド・イノベーション」プロジェクトの詳細なノウハウも含まれています。

最後に、今回の新ファシリテーターを加え、国内認定者は70名(NECさんには20名超、NTTデータさんには12名!)を超えました。世界の中でも、一国のファシリテーター数は日本がダントツでトップとなりました。

今後のニューノーマルにおける新規事業創出やイノベーションプロジェクトを日本から、そしてグローバルにもますます活発化させていく2023年が楽しみです。

※「ハイブリッド・イノベーション」出版に関する情報は、BMIA facebookページなどでお知らせしてまいります。

※翻訳プロジェクト第一弾のワークショップ記事もまもなく公開します。

BMIA常務理事 山本伸
シミックホールディングス株式会社CEO Office "We"nnovation Facilitator
多摩大学大学院MBA客員教授
名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部客員准教授
FORTHイノベーション・メソッド公認マスター・ファシリテーター & Global Leadership Team
レゴ®シリアスプレイ®メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテーター

Business Model Generation(原書)著者であり、当協会のシニアアドバイザーでもあるアレックス・オスターワルダー氏、イヴ・ピニュール両氏、各々の日本初講演をプロデュース。ビジネスモデルキャンバスの本流を知る伝道師であり、医療・ヘルスケア分野における“異業種共創型“イノベーションの専門家。

外資3社15年勤務後、2017年にシミックホールディングス入社。時間外扱残業代無でも集まる異業種社内外1,800名をネットワーク化し、2019年に創業”奨励”賞を獲得し活動が公認化。以来、イノベーティブ人財発掘・育成及び、製薬企業のデジタルヘルス事業開発、異業種企業がヘルスケア分野に参入する際の新規事業創出の支援など。複数のプロジェクトを部門横断で推進中。2021年よりCEO OfficeとConsulting & Navigation Unitを兼務しながら、さらにグループ社員7,700名が学べるリスキリング教育プログラムを開発し、全社向け組織変革デザインを推進中。

監修した書籍「イノベーションの迷路〜ゴールに導く4つのルートと10のステップ」は、翻訳出版クラウドファンディングに成功し2021年1月に発刊。

静岡県生まれ。名古屋大学大学院工学研究科修了(博士)。スイスBasel免疫研究所Research Student、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校医学部ポスドクを経てアカデミアから企業人へ転身。外資系3社16年間で研究、技術営業、事業開発など「サイエンス」でビジネスを支援する職務に従事。バイオと医療、そしてアカデミアと産業界、双方での経験から、ヘルスケア領域には多数多層のネットワークを持つ(Facebook4,000名、LinkedIn2,000名)。

人生のミッションは「イノベーションを起こし続ける人財の発掘と組織開発」。達成したいビジョンは、“老若男女誰もが失敗を恐れず「挑戦を続ける」ことが最も賞賛される社会の実現“。ライフワークとして、大学院でのビジネスデザイン教育や、大学のビジネスデザイン、アントレプレナーシップ教育にも積極的に従事している。

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