「ハイブリッド・イノベーション』出版記念パーティー@駐日オランダ王国大使館
BMIA理事 西村祐哉
日時: 2023年10月13日 (金) 17:00〜19:00
会場: 駐日オランダ王国大使館
クラウドファンディングによる出版プロジェクトを経て、今秋のハイス・ファン・ウルフェン (Gijs van Wulfen)の来日にあわせ、無事に支援者のみなさまのお手元に書籍『ハイブリッド・イノベーション』をお届けすることができました。
(一般向けには2023年12月8日に販売開始! 2023年11月12日現在、Amazon等でも予約販売受付中です)。https://www.amazon.co.jp//dp/4909125469
ご支援いただいたかたがたに、書籍が届きその内容に関する感想や喜びのコメントがSNSなどにあがりはじめたこの日、駐日オランダ王国大使館にて『ハイブリッド・イノベーション』出版を記念したパーティーを開催しました。
当日ご来訪いただいた多くのかたがた、あらためてご来訪ありがとうございました。さらっと『駐日オランダ王国大使館にて』とか書いてしまっていますが、いわゆる“大使館” という場所で開催されるパーティーって、なかなか敷居が高いというかレアな体験ですよね。
これもひとえに、本書の原著『ONLINE INNOVATION』の主著者であるハイス・ファン・ウルフェンのプレゼンスによるものにほかありません。
それに加え、ハイスと長年にわたる知己をもつオランダ王国大使館 イノベーション・科学技術部参事官のエリック・ファン・コーイ (Eric van Kooij)氏から、今回の出版をぜひ大使館でも盛り上げたいとたいへんありがたいバックアップをいただき、このようにすばらしい場所での出版記念パーティを開催することができました。あらためて、エリック参事官はじめ駐日オランダ王国大使館関係各位に御礼申し上げます。
現代の蘭学
企業の会議室やカンファレンスホールとはまた違った、華やかでエレガントな雰囲気のなか、依田真美常務理事の司会と、BMIA賛助会員企業である日本電気株式会社(NEC) のメンバーであり、FORTHイノベーション・メソッド公認ファシリテーターでもある関谷かや人氏の通訳で始まった出版記念パーティー。
まずはエリック参事官より、本書の出版への祝辞と来訪者への謝辞が述べられました。
冒頭、エリック参事官とハイスとの長きにわたる友情とその縁にまつわる秘話が語られました。
なんと、お二人は大学時代の同期でありバンド仲間! 当時の写真も飛び出し、まさに人に歴史あり。友情は時を越え、オランダと日本という場所を越えても続いているのですね。
オランダと日本の間に存在する縁についての話が続きます。
江戸時代、われわれ日本人と日本という国は鎖国時代にはありながらも、オランダとはそのつながりを保ち続け、さまざまな事物について学びを得るとともにその関係性を培い、深めてきました。その関係性と学びは“蘭学” という形で日本における多くの新価値創出や社会の変容にも大きな影響をもたらし続けてきた経緯があります。
そのような歴史性を振り返ると、近年ハイスがもたらし続けてくれているイノベーションにまつわる多くの実践知と学びはまさしく現代の蘭学といっても過言ではないのかもしれません。
今回のメインテーマは、 “WA”nnovation
そしてこの日の主役の出番がやってきます。
大使館というエレガントな空間にあってもその存在感をまったく損なうことのない “INNOVATION RockStar” ハイス・ファン・ウルフェンのon Stageです。
いつも強烈なインパクトをもたらす彼のステージ衣装。
2023年モデルは、黄金。輝かしい……。
ちなみに、この前日に村田製作所さまでのKeynoteで“京都遠征” もあり、私はこちらにも同行したのですが、その帰路京都の女子高生から「なにやってるひとなんですか?」という無邪気な、そして当然すぎる問いかけをされて、こともなげに「I’m a RockStar!!」とこたえて一緒に記念撮影していた姿は今回のハイス来日の裏ハイライトであったといっても過言ではありません。
“I”nnovation → “We”nnovation ときたイノベーションの進化譜に新たなコンセプトが登場しました。
そのコンセプトを紐解く今回のKeynote。「和」を思わせる雅なオープニング画面が切り替わり、そこにあらわれたのはなんと、まさかの3匹のカエル。
困惑を一気に取り込みながら、イノベーションに取り組みそれを完遂するために必要なものごとを寓話仕立ての熱演で一気に会場を引き込みます。
Invention(発明) は世界トップクラスでありながらInnovationは世界13位に沈む日本がイノベーティブな国として再起するためにはどうすればよいのか、そして、どのようにしてイノベーションを起こしそれを拡げつないでゆくのか、超えるべき障壁とその克服のために何をすればいいのか、組織の変革はどのようにしてもたらされるのか……。いつもの熱い、でもとても優しいハイス節で語られました。
そのための新たなコアとなるコンセプトこそが“WA”nnovation でありその“WA” はハーモニクス(調和)であり輪である。“I” (自分、自分ひとり)で取り組むのではなく“We” (仲間)だけで取り組むのでもない。時間をかけてじっくりと全体を巻き込みながら進めてゆこう。それが日本と日本人に合ったやりかたではないか、という問いかけはまさに六回の、いずれも深く長い来日と、日本と日本人への愛情に満ちたハイスだからこその至言だったのではないでしょうか。
パネルディスカッション
CrossTalkハイスからのキーノートに続き、ここからは同じくBMIAのシニアアドバイザーでもあり日本におけるイノベーション創出のオーソリティでもある多摩大学大学院の紺野登教授とエリック参事官、そしてハイスによるパネルディスカッションです。対談逐語訳、モデレーター山本伸BMIA常務理事が務めました。
ハイスと紺野先生は、2019年に開催されたNEC iEXPOでの対談依頼のクロストークがおこなわれました。日本とオランダ、そして世界を知る三人による現代の蘭学といえるすばらしい学びだったのではないでしょうか。
Cheers!
Receptionキーノート、パネルディスカッションのあまりの白熱ぶりに時間は押してしまいましたが、ここで軽い食事と飲みものが供され『ハイブリッド・イノベーション』の出版を祝う乾杯がおこなわれました。
乾杯の発声は、本書の翻訳出版プロジェクトの発起人、三宅泰世常務理事が務めました。“INNOVATION EXPEDITION” “THE INNOVATION MAZE” に続く、Innovation Trilogy(三部作)ともいえる、第三の書の出版を考えながらも、近年のコロナ禍にあり急遽出版された『ONLINE INNOVATION』を日本にもたらすべき理由も明かされました。
参加者が思い思いにハイスとの記念撮影や会話、再会をよろこびあうひとときを経て、パーティは終盤へ。あっという間の時間でした。
“WA”nnovation!
クロージングは第三の発起人、ということで私が務めさせていただきました。
今回のハイスの来日二日め、FORTHイノベーション・メソッドの公認ファシリテータートレーニングの開催のために逗子へと向かう湘南新宿ラインの車中で、おもむろにハイスから問われたことを思い出します。
「“WA”nnovationを今回のメインテーマとするうえで、そのメッセージをみんなで共有することができ、そしてそのエネルギーを高めあうことができるセレブレーションをしたい。Yuya、どんなのがいいと思う?」
この問いがすべての始まりでした。おいおい、いきなり無茶な難題きたよ……と思うとともに、そんな難題を自分に共有して一緒に考えてくれと言ってくれたことがとても嬉しい瞬間でした。
“WA”nnovation の“WA” はハーモニクス、“調和” でありそれをもたらすのは “輪” つまり仲間によってもたらされるものだよね。そして日本語でいう“輪” には“Circle” の意味もある。輪をつくるのはどうだろう、みんなで手をつなぐんだ。それならコンセプトを体現できるし、参加してくれたみんなで体感することもできる。セレモニーとしては悪くないんじゃないかな?
そんなことを話したことを覚えています。そしてハイスもそのコンセプトを気に入ってくれて、今回の締めは“WA”nnovationで。ハイス、エリック参事官、紺野先生、会場の参加者全員が手をつないで “WA” を形成し、“WA”nnovation!! の声をあげ、パーティはお開きとなりました。
写真:小山龍介
西村祐哉
株式会社NTTデータ エグゼクティブ・イノベーション・アクセラレーター/ビジネスデザイナー
FORTHイノベーション・メソッド公認マスター・ファシリテーター(LIVE/ONLINE)
NTTデータ, ライブドアを経て起業。スタートアップ経営者として立ち上げとターンアラウンドを担当。
その後コンサルティングファームでの戦略・ビジネス・IT各領域のコンサルティングおよびプロジェクトマネジメントに従事。
2011年からの10年間、日本電気株式会社(NEC) にてプラットフォーム系領域のサービスビジネスの立ち上げ・運営や主にEMEA領域を中心とした海外スマートシティ系事業開発を担当。
CSIS(Center for Strategic & International Studies; 戦略国際問題研究所, WashingtonDC) 客員研究員を経て共創を基軸とした新事業創出・ビジネスデザイン・社内事業部の伴走支援部門を部門長として立ち上げ、運営する。
Gijs van Wulfen氏とともにNECに世界ナンバーワンのFORTHイノベーション・メソッド公認ファシリテーターの陣容を形成。社内外に”イノベーションのおこしかた” を展開した。
その後2021年4月より株式会社NTTデータに”帰還”。
まちづくりやスマートシティといった、都市空間におけるDXや経年的なライフスタイルの変遷に寄り添う価値提供の創出に関する新規事業開発を担当。
それと並行して、イノベーションの民主化を目的とした、共創型新事業創出やビジコンやステージゲート等の制度設計、新規事業人材の育成や教育などを包括的に取り扱う、イノベーションエコシステムの創出と定着の伴走組織の部門長としても活動している。
ひとのいとなみと空間との関係性に着目した都市構想の検討と実現支援者としての顔と、イノベーションの仕組みの形成者という2つの顔をもつ、”憑依型アクセラレーター”。