ビジネスデザイン・プロセスの型
岡田明穂(BMIA理事)
おはようございます。岡田でございます。最近あまり露出が多くなくて誠に申し訳なくて、そろそろ忘れられるんじゃないかという危惧を持っております。今日はぜひみなさんにこんなやつがおるということをご紹介したいということで登壇させていただきました。
いま、いろんなことやってるんですけれども、もともと中小企業診断士というものをやってた人間で(いまもやってるんですが)いまは週三日(と言いながらほとんど毎日行っているんですが)、大阪にあります桃山学院大学ビジネスデザイン学部でビジネスモデルを教えています。
うちの大学の学生、1年後にさっきの工藤さんみたいになれるのかな……。どう考えてもイメージが湧かないので、いま、めっちゃプレッシャーかかってます。ただ、私は学生が大好きでね。私からすると、もう孫のようなんですよ。かわいくてかわいくてしょうがない。
なんでそういう私が学校の教壇に立ってるのか、いまだに不思議でしょうがないんですけど、私自身学べることがすごくあります。
高校出たばっかりの一年生、やっぱりまったく基礎がないんですね。そもそも人生経験がそんなにないですから。われわれ社会人だったらなんとなくわかってるようなことってたくさんありますよね。学生はそれがない。ビジネスをデザインするんだと言っても、それがどういうことか、最初から言わなくちゃいけないんですね。
たとえば、そうですね、ゼロイチって言葉、みなさん知ってますよね。知ってる方? (ほとんどの参加者挙手)、ほとんどですよね。同じ質問を教室ですると、ほとんど手が挙がりません。そうするとゼロイチってどういうことなのか、から説明しなくちゃいけないんです。ビジネスってなに?と聞くと、「儲かること」ってふつうに返ってきます。ましてや、ビジネスデザインってどういうことか、一から全部噛み砕くように説明しなくてはならないです。これがけっこう勉強になります。
自分もそうだったんですけど、わかったようでわかってないんですね。それをまったくの素人さん、というかはっきり言って子どもたちに説明するとなると、やっぱり勉強し直さないといけない。そうすると、やっぱり非常に自分が学べたなという気がします。
ところで、ビジネスモデルとビジネスモデル・デザインとビジネスデザインの違いわかりますか。なかなかむずかしいでしょう。さっき、ChatGPTに聞いてみたら、ちょっと範囲が違うらしいです。
ビジネス機会、要するにネタの探索から全部やっていくのがビジネスデザイン。ビジネスモデルは価値をいかに創造してお届けするか(『ビジネスモデル・ジェネレーション』が入ってんちゃうかなというようなやつが出てきました)。やっぱりちょっと微妙に違うんですね。範囲がちょっと広い。で、学生にはビジネスデザインのプロセスも、噛み砕くように説明しないとやっぱり混乱します。
ややこしいことに、教員がそれぞれの立場で、自分なりの解釈で言ったりします。そもそもビジネスデザインなんて学校の世界にはほとんどないわけです。いままで(学校でのメイン)は経営学の世界です。経営学の世界とビジネスデザインの末世界がいかに違うかっていうのは、日々私が感じております。
いまからお見せするのは、みなさんからしたら当たり前かもしれませんけど、学生たちに見せているものです。ちょっと復習の意味も含めて。
スタートはだれを幸せにするか。その人のどんな問題をどうやって解決するか。みなさんからしたら当たり前です。そうすると価値が生まれるんだよと。
ここでいちばん大事なのは「だれのどんな問題なのか」なのですが、ところが、たとえば社会問題をビジネスで解決しましょうと言ったら、そのまま「社会のどんな問題をどう解決する」って捉える子もけっこういるんです。教員のほうが多いかもしれません。
そうすると、めちゃくちゃずれるんです。そのビジネスはだれを幸せにしたいの、と、その社会問題で悩んでる人はだれ、だれがそもそもそのビジネス使うのといったところが通じなくなります。抜けてしまいがちなんです。「社会さん」っていうお客さんおらへんで、「地域さん」っていう人おらへんで、と言わなくちゃいけなくなってしまう。これがいまの学校教育の現場でふつうに起きている問題のひとつです。
ちなみに、学部でビジネスデザインというのは一応定義されています。ビジネスは社会に対して持続的に価値をつくり出すこと。ビジネスデザインは、チームで協力をして、新しいビジネスを構想・企画し、実現可能な仕組みとしてつくること。
仕組み、わかりますよね。これはもうビジネスモデルを完全に意識してます。なので、ここまでのところだけではビジネスできへんよね、仕組みにしなきゃね(ビジネスモデル考えなきゃね)。そして、そのビジネスモデルが機能して、具体的に出てくる結果として、地域の課題が解決されるという流れにしてます。
これだけでは上のところ(誰の、どんな課題を、どうやって解決)がちょっと粗すぎて実際にできませんので、もう少し解像度を上げて因数分解してあげると非常に学生はやりやすいです。なので、だれがどんな課題をというところを、どこでどんなときに抱えるどんな「やりたいけどできないこと」があるの? それが問題だよというふうにしております。気づく方はいらっしゃると思うんですけれども、本音の○○したいというのはジョブですよね。なんですけど、学生にはジョブと言ってもわかりません。なのでこういう書き方をして、それを解決するためにどんな商品サービスをどう創出して提供しますかという流れでガイドしてます。
そのうえで、さらに解像度を上げる、ビジネスモデルという点をもう少しやっていきましょうという流れにしてます。具体的に言うと、ビジネスモデル・キャンバスを使うと君らでもすぐできるよと、1年生には、あまり教えていなくて小山さんの8分半の動画しか見せてないです。でもやれます。
勝負になるのは、お客さんが、なにをしたくてなんで出来へんのかっていう話なので、そこからバリュー・プロポジション・キャンバスをつくるという順番を踏んでます。そして、いちばん大事なのはやっぱり自分の「こういうビジネスをやりたい」という意思だよねと。これはなかなか人生経験がないといけないので、みんな一生懸命経験しようねと言っています。そうなると、取っ掛かりとしてはやっぱりネタをどこかからか持ってこないといけない。ネタをどっから持ってきたらいいの、といったところも、こうやって一覧にしてます。
実際いろんな企業さんが来ていただいて教えていただけるんでこうやって整理しています。たとえば困りごと、これはakippaの金谷社長、いちばん上のは中野さんっていうi-plug、下はロボ団というプログラミング教室の重見社長から教えてもらっていることですね。
こうやって、一連の流れをきちんと、自分なりに抑えたうえで、いろんな知識を提供していかないと、どこのなにをやってるのかがわからない。使えない可能性が高いんです。
私はこのなかで今日(ビジネスモデルオリンピア当日)どこが増えるかなと思ったら、このネタの持ってきどころです。午後からすごく楽しみにしております。ありがとうございました。
山本:岡田理事も大学の教壇に立って4年ですね。コメントいただいています。「『顧客の幸せ』っていう言葉がうさんくさいので、どうにか言い換えたい」
岡田:それはおまかせします。私は意図的に幸せっていうのを使ってます。ハッピーともちょっと違うし。ちなみに、私はターゲットという言葉はもう死ぬまで使わない。いま、使いましたけどね(笑)。やっぱりビジネスはだれかを幸せにすること、ちょっと青臭いですけど、そこは私はこだわってるだけで皆さんに強制するわけではないので、最近の流行りのウェルビーイングとか、入れ替えていただいてもいいんじゃないでしょうか?
山本:岡田さんはFORTHイノベーションメソッドを使って大学バージョンでもやってらっしゃいます。見学OKなんですよね?
岡田:はい。ぜひ! 大阪ですけどね。
Q&A聞き手 山本伸/写真 小山龍介/編集 片岡峰子
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