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イノベーションを生み出す3つのプロセス

みなさん、こんにちは。
BMIA理事(大阪在住)の岡田です。

先日、私が担当している科目(桃山学院大学ビジネスデザイン学部にて)の春学期最終授業の終了後、一年生のA君から、次の質問を受けました。

「これまでの常識にとらわれない斬新なアイデアを生み出すには、各企業さんが今やっていることや、業界に関することは知らない方が、むしろいいのではないですか?」

その授業は、企業さんから課題をいただき(1年間で、なんと合計30社近くから)、チームでそれに対する解決策をを3週間(実質的には2週間ちょっとかと)で生み出すなかなかにハードな演習型授業で、それにあたって各社さんからは、自社が取り組んでいる内容および業界の問題等をご講義にて情報としていただいています。
なんて見事な質問!
私はほとほと感心すると共に、嬉しくもなりました。
と同時に、このピュアな視点を、これからも持ち続けて欲しいなあと強く思いました。
要は、「企業さんからのお話が必要ないのでは?」と言っているのではなく、「せっかくの貴重なお話を、どう使えばよりよきアイデアを生み出すことができるのか?」という観点からのものとも理解できました。
その時は、A君にはあえて即答せず、「すばらしい質問!これから一緒に考えていこうね」としましたが、この後の秋学期、そして2年次の授業へと続く中で、A君を含めた学生のみなさんには、その回答の一環としての意味も兼ねて、下記スライドをおりに触れ、紹介していきたいと考えています。

イノベーション3つのプロセス

このスライドは、BMIA認定コンサルタント養成講座(基礎)で登場するもの(上記は、そこに一部、岡田が追記しています)、先の質問に対する回答を表現しているものと言ってもいいほどのものです。

イノベーションに関するデータの収集・報告・利用のための国際標準指針である『オスロ・マニュアル』(OECD、2018年第4版)では、イノベーションは下記のように定義されています。

“イノベーションとは、新しい又は改善されたプロダクト又はプロセス(又はそれの組合わせ)であって、当該単位の以前のプロダクト又はプロセスとかなり異なり、かつ潜在的利用者に対して利用可能とされているもの(プロダクト)又は当該単位により利用に付されているもの(プロセス)である”

ビジネスモデル・デザインに携わる者としてはカッコ内の「又はそれの組み合わせ」という箇所には大いに興味を抱くところですが(第3版まではなかった)、それについてはまたの機会に譲るとして、「かなり異なり」というところはやはり重要ポイントでしょうし、イノベーションの定義としては他に多種あるとしても、この点に関しては共通するところではないかとも思います。

言い換えれば、現状、ないしは、これまでの構造(守破離の「守」)から逸脱し、ないしはそれを破壊し(同「破」)、新たな構造をデザインする(同「離」)ことこそが、イノベーションということかと。
それを表現しているのが、このスライドです。
となると、仮にイノベーションの対象が事業そのものであった場合(前述の授業ではソリューションとしてのビジネス自体をデザインする課題が多い)、そもそも逸脱する、ないしは破壊される前の現状の「構造」をつかまないことには、逸脱(破壊)できたかどうかもわかりませんし、効果的に再構造化するためには、現在の問題の「構造」をとらえることも必要となるでしょう。また、そこから学べることもたくさんあります。
ここに、冒頭のA君のピュアな質問に対する回答があります。だから、対象企業の事業の構造と、業界そして社会の問題の構造をサイエンス的思考で明らかにすることが必要と。
それをふまえた上で、常識にとらわれないアート的思考で想定外の要素を投げ入れることでその構造に波紋をなげかけ、デザイン的思考で新たな構造を再構造化する。その結果としての成果がイノベーション。そして、この一連のプロセスを強力にバックアップするのが、ビジネスモデルキャンバスです。

実に奥の深いスライドということを再認識すると共に、仮にもビジネスモデル・デザインに関わる者として、ましてや次代を担うZ世代に対する授業でそれを扱う者としては、こういった基本的なことを折にふれ再考する機会を得ることの大切さを、学生に教えてもらった気がしたのでした。
既にBMIA基礎講座を受講済みの方はお手元のテキストで、復習も兼ねてあらためてご確認いただいてもいいかもしれませんね。
まだ受講されていない方は、ぜひこの機会に受講をご検討ください。
お待ちしています。

それでは。

(文責:BMIA理事 岡田明穂)

PS.次回BMIA基礎講座は、2021年9月29日・30日・10月1日オンラインにて開催の予定です。
詳細は、こちらにて。

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