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〈場〉を通じた次世代リーダー育成
とある企業の次世代リーダー育成研修の、中間発表が昨日あった。最終発表では、自社のビジネスモデル上の課題を指摘し、その改善提案をする。中間発表ではその進捗を報告し、フィードバックをもらう。
その中間発表に合わせて、幹部講話が実施された。経営幹部がやってきて、自分のキャリアやリーダーの心得について話すのだが、これがとても興味深い。昨日の幹部講話の中で、次世代リーダー候補者に対して、「みなさんくらいの年齢だったら、組織をこうしたいという主体性をもつべき」ということを話されていた。今では本社の幹部、子会社の社長を務める人の言葉だから、これは重い。
次世代リーダー育成という研修ではさすがにそれほどいないが、組織に対して不満ばかりを言って、「こうするといいんじゃない」というといろいろなできない理由を列挙し、最後には、「それは経営陣の仕事で、なんで私に言うのか」と逆ギレしたりする人が、たまにいる。こういう人に「主体性」という話をしても、ほとんど伝わらない。「無能な管理者」に人生を委ねてしまっている彼には、まさか自分がそうした事態を引き起こした原因であるとは、思いも寄らないからだ。
幹部まで上り詰めるひとは、まったくそうではない。自分と管理者をそんなふうに対立させたりしない。会社という〈場〉を共有する共存者として、むしろその「無能な」管理者と自分を運命共同体と見る。
そのことがわかる逸話がある。その幹部は、2年ごろにいろいろな部署に異動になったというが(あとから見れば、それ自体が育成目的だったことがわかるキャリアパスだが)、あたらしい部署に2ヶ月もいると「もう長い間いるんですか」と声をかけられたそうだ。それほど、短時間のうちに馴染んでいたというのだ。
2ヶ月といえば、以前いた部署との違いに戸惑っているような時期だ。そんな時期でも、その〈場〉をすっかり受け入れきっているそのありかたに、その幹部の活躍の秘密を垣間見た気がした。
もちろんその先には、組織を変えていくために、その馴染んだ〈場〉を変革するというステップがある。しかしそれよりももっと手前に、まずは現状を、違和感も含め体全体で受け止めることが重要だ。そうして〈場〉の構成要素の一部になったうえで、内部から変革の動きを起こしていく。たとえば、石破総理は首相の器でないと感じているが、結局、党内野党のまま、自分の考えを広げていくアクションに乏しかったからだ。「ねばねば」構文は、野党精神の、悪しき発露だろう。
昨日は改めて、そうしたスタンス開発の重要性を実感した。
小山龍介
BMIA総合研究所 所長
名古屋商科大学ビジネススクール 教授
京都芸術大学 非常勤講師
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小山龍介のビジネスモデルノート
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