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コンセプトは問いである
コンセプトクリエイターという肩書を名乗っているが、これは自分にとっては北極星みたいなもので、今そうであるということよりも、そうでありたいという態度表明みたいなものである。コンセプトのレベルで事象を扱うことが、私にとって何よりも重要なのだ。
コンセプトレベルということは、適度に抽象的であり、現実の超具体的な作業レベルではない。一方で、世界平和や人権の尊重といったテーマや目的とも違う。目的を実現するための手段を示唆しながら、しかし具体的な手順を示すのではなく、人々をインスパイアして実現する。コンセプトレベルとは、そういうイメージだ。
ビジネスモデルというテーマが、偶然、私の手元にやってきたのが2012年。『ビジネスモデル・ジェネレーション』の翻訳をきっかけに、ビジネスをモデルとして捉えることに関心を向けてきた。モデルとして捉えるとはどういうことか。モデルもまた、適度な抽象度で、しかし人々をインスパイアさせる。私にとっては、コンセプトとビジネスモデルは、同じ地平にあって、双子星のような軌道を描いている。
NUCBでのフィールド授業で、芸術家集団きりぶえに対する提案は、コンセプトが重要だという議論になった。かっこよく言えば、コンセプチュアルアートとしての提案が求められていた。先の記事でも書いたが、具体的な手順を、まるでマニュアルのように示しても「めんどうだ」と言われてしまう。そうではなく、そこからインスパイアされ、思いも寄らないものをつくりだしてしまうような提案。現代アートのような提案だ。
あまり概念を複数、関連付けると叱られてしまうが、スペキュラティブデザインという言葉にも触れておきたい。というのも、「コンセプトとはなにか」と学生に問いかけたら、「問い」だと答えたからだ。これはなかなか秀逸な指摘である。授業では時間の関係もあって深く掘り下げられなかったが、それは一言で言えば、スペキュラティブということだ。思索のきっかけとなる問いを投げかけ、オルタナティブな答えを導き出すアプローチである。
この議論の前に、学生たちと「亀岡は、京都に対するオルタナティブである」という議論も行っていた。そのオルタナティブを生み出す問いが、亀の甲羅で渦巻いて、あの濃い霧を発生させる神話空間。それが亀岡なのだ。
来年も行きたい。
小山龍介
BMIA総合研究所 所長
名古屋商科大学ビジネススクール 教授
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小山龍介のビジネスモデルノート
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