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長期雇用を前提とした無敵の会社の事例(その2)

前回、リーダーの行動についてお話しました。
今回は、Invincible Company 「無敵の会社」に沿って、組織のデザインとイノベーションの実践についてお話していきます。

組織のデザイン
・正当性と権限:全社の経営改革を私のマーケティング部門が推進する。これは、組織の役割のど真ん中であり、私自身が部門長でもあること。事業部時代に、0から事業を立ち上げグローバルビジネスにまで育て上げた実績があること。HTMLベースのWebサイトをクラウドサービスへと移行し、全社の複数のWebサイトを統括していること。など、正当性と権限はすでに掌握してありました。

・コアビジネスとの橋渡し:そもそもが、技術志向な企業文化であるために、事業本部は、ターゲッティングやマーケティング戦略のスキルもナレッジもなく、人材も育っていない。担当させていないという状況が方方にありました。マーケティング部門が協働し、ターゲッティングから始まり、マーケティング施策、Webコンテンツ、オンラインセミナー、展示会でのリード獲得からアポ取り、営業資料の作成までをサポートしています。より、情報共有を進めながらのマーケティング・セールスの施策管理の強化は事業部側の期待でもありました。

・報酬とインセンティブ:シニア人材の報酬、インセンティブとは何でしょうか?お金でしょうか?もちろんそれはあるでしょう。ただ、待遇は人事部が決めることであって、どうしようもないことです。もっと重要なものは、役割とそして必要とされる存在で居続けるための学習の機会と時代の流れに同調した成長です。これは、長期雇用を前提とした無敵の会社の事例(その1)で述べたとおり、シニア人材に新しいクラウドサービスの講座や資格取得をお願いして、改革の先導役として活躍してもらっています。

イノベーションの実践

・イノベーションのツール:もっとも重要です。多くの人は、SFAやERPを単なる道具、ツールとしか捉えていません。それがそもそも間違いなのです。うまく伝わるか確信はありませんが、バランス・スコアカードは、戦略を真ん中に、財務会計ーマーケティングーオペレーションー人材と組織のそれぞれと、つながりを管理していきます。
たとえば、ERPのSAP S4/HANAは会計管理システムですが、世界中のベストプラクティスの結晶です。お金の流れをどの様に捉え、管理したらいいのか?まさに、お金の流れとバランス・スコアカードをかなり意識したデザインに見えます。

私が、全社を自分の影響下に入れるためにどの情報システムを握ればいいのか?と考えたときに、目をつけたのがマーケティング・セールスの管理システムです。MA-SFA-CRMです。私は創立40年を超えた大企業で始めてプロパ社員としてマーケティング部門を開設しました。そして、Saleforceを導入することでMA-SFA-CRMすなわち、マーケティングから営業管理、既存客の管理までのプラットフォームを全社に導入し、約半数の社員がライセンスを持つようにしました。バランス・スコアカードで見れば、[マーケティング・セールス]ー[オペレーション]ー[人材と組織]を型に嵌め、そして、管理統率を進めています。それだけでなく、Saleforceをプラットフォームとして新規ビジネスの構築も進めています。ビジネスは乱暴な言い方をすれば、顧客データーを握った人が勝ちます。良い商品サービスがあろうとも顧客名簿が無ければどうにもならないのです。

私は、イノベーションのツールで最強なのはSaleforceだと断言します。Salesfoceのビジネスモデル、戦略を是非分析してみてください。ものすごいことをやっています。学ぶことが無限にあります。そのイノベーションのツールでシニア人材の活躍の場を作り、そして、組織と世代を超えたつながりを出現させるのです。分断された人が、一つのプラットフォームで組織や世代を超えて情報共有し、顧客の成功のために知恵を出し合う。ビジネスをデザインし、構築していく。無敵の会社を実現するためは、イノベーションのツールの選定は欠かせない要因なのです。

・プロセス管理:ビジネスのプロセスはSaleforceに書いてあるのです。MAツールであるPardotで集客し、SaleforceのSalesCloudで営業のパイプライン管理をし、CommunityCloudで顧客とのコミュニケーションを管理し、リピートオーダーが続くようにします。そのSalesfoceに書かれているプロセスの上に、マーケティング施策を企画。実施していきます。迷うことはありません。
新しいビジネスをSalesfoceで作る場合も同じです。お客様とのやりとりのプロセスはすべてSalesfoceに構造化されています。

・スキル開発:言わずもがな、シニア社員にはSalesfoceのeラーニングTrailheadで学習してもらっています。Salesfoce導入時には、抵抗派のツートップにSalesfoceの講座の受講、資格取得をお願いし経営幹部向けのダッシュボードをたくさん作ってもらいました。Salesfoceは2019年にBIツールを提供するTableauを一兆7500億円で買収しています。早速、ある先輩社員にTableauのスキル取得をお願いしてより高度な分析をお願いしています。

この様に、長期雇用を前提にしたとき、イノベーションのためのツール、すなわち会社の情報基盤となるクラウドサービスを導入し、シニア世代からスキル取得をお願いし新たな役割を持ってもらう。時代の先ゆく仕事をしてもらう。彼らは報酬よりも、必要とされる、まだまだ成長していけるという環境の中でイキイキと生きていくわけです。その姿は中堅社員若手社員にとっても輝いて見えるものなのです。

理事 三宅泰世


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