バリュー・プロポジション・キャンバスについて
ビジネスモデルイノベーション協会でビジネスモデル・キャンバスと共にお伝えしているバリュー・プロポジション・キャンバスについてご紹介します。
バリュー・プロポジション・キャンバスは、ビジネスモデル・キャンバスの9つのブロックの中のバリュー・プロポジションとカスタマーセグメントを抜き出したツールです。
使い方は、こちらの動画を見て頂くと概要がつかめるかと思います。
バリュー・プロポジションキャンバス解説動画(日本語字幕付き)
ビジネスモデル・キャンバスが事業の価値創造を目的としている事に対してバリュー・プロポジション・キャンバスは、顧客の価値創造にフォーカスをします。
BMIAでは、BMIA認定コンサルタント養成講座(基礎)の中で使い方の入り口を、BMIA認定コンサルタント養成講座(応用2)で詳しく使い方をお伝えしています。
実は、このバリュー・プロポジション・キャンバスは、受講者の方々が混乱しやすいツールなんです。ビジネスモデル・キャンバスは、比較的理解できた、腹落ちしたと言って頂きやすいのですが、バリュー・プロポジション・キャンバスではなかなかそういったお声は頂きにくいのです(特に基礎講座だけのときは)。
多分なんですけど・・・
日本人特有の現象なのではと思っています。
このツールは顧客のインサイトを発見して、そこに価値を提供する事を目的としているわけですが、日本人は、「和」や「空気を読む」とか「相手の気持ちになって考える」という文化が根付いているので、顧客の本当のニーズが分かると勘違いしているのだと思います。わからないと自分は、人の気持ちのわからない冷たい人間であると思ってしまったりします。
他人の気持ちなんてわかるわけがない
他人の気持ちが完全にわかるなんてのは、むしろ傲慢な考えだなと思います。ヨーロッパやアメリカでは、様々な人種や文化が入り交っているのでわからないのが当たり前と思ってるわけです。この「相手の気持ちなんてわかるわけない」という前提に立たないとこのツールを使いこなすことは難しくなります。
それを踏まえた上で、このツールを使うのに、最も重要なのは「ジョブ」の定義となります。ジョブ理論の「ジョブ」です。ミルクシェイクを雇うという例の「ジョブ」です。ミルクシェイクを雇う?これもなかなか聞きなれない言葉なので、ちょっと混乱しますね。
(ジョブ理論 クレイトン・クリステンセン著)
「Job-to-be-done」
顧客は、ミルクシェイクにどんな仕事をしてほしくて、雇ったのかと考えます。
それを知るためには観察をします。ミルクシェイクを購入する顧客をじっと観察します。すると、ミルクシェイクはほとんどが朝売れていき、車で来る顧客が多く、ミルクシェイクを単品で購入していくのです。その顧客にミルクシェイクを購入しなければ何を購入するかと聞くとドーナツやバナナなどが挙げられました。
ミルクシェイクを購入する顧客は、朝の車での通勤時間を楽しむためにミルクシェイクを雇っていました。これが分かると、ミルクシェイクを雇う顧客のニーズを最大化する改良を行うことがビジネスの成功に結び付くわけです。
BMIA認定コンサルタント養成講座(応用2)では、実際に街へ出て観察をするところから価値創造のワークショップを行います。顧客は、自分の課題やニーズを言語化出来ていません。その振る舞いから読み取っていきます。
そして立てた仮説に対してプロトタイプを作り、顧客のフィードバックをもらう、改良する、考え直す、初期に頻繁にお金をかけずに失敗する、そして学習します。間違っている事を前提ですばやく行います。相手の気持ちがわからないと言ってショックを受けている時間は1秒も必要はありません。
バリュープロポジション・キャンバスは
価値創造のパターンを理解し
仲間の経験とスキルを活用し
うまくいかないアイデアに時間を浪費せずに
顧客の望むものをデザインしテストして届けるツールです。
(改変引用:バリュー・プロポジション・デザイン 翔泳社
アレックス・オスターワルダー、イブ・ピニュール共著)
バリュー・プロポジション・キャンバスの使い方を学んでみたい方は、こちらの講座をご利用ください。
【オンラインセミナー】BMIA認定コンサルタント養成講座(基礎)
※時期により開催がない場合もありますので、あらかじめご了承下さい。
文責 理事 國井 誠