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野上英文x小山龍介「コンサルに活かす戦略的ビジネス文章ークライアントを説得しプロジェクトを前進させる文章力」ーBMIAリスキリング・セッション(5)

野上英文x小山龍介「コンサルに活かす戦略的ビジネス文章ークライアントを説得しプロジェクトを前進させる文章力」ーBMIAリスキリング・セッション(4)の続きです


バズらないのはあなたのせいじゃない

小山 ここから、ものすごい重要というか、お金になる話です。

野上 私はみなさんのように、シビアにこれ(文章)で案件を取る出自じゃないので、どこまでお役に立つのかわからないところもあるんですけども、少し考えて持ってきました。

営業レターやブログ、せっかく書いたのに期待したほどリアクションが多くない、ということがありますか?
他社を見て、CMバンバン打ってたり、有名人が出てたらそりゃ注目されるよねとか、「この同業者、自分と言ってることほとんど変わらないのになんでこんな人気なんだろうな」(もはや嫉妬ですね)、などなどあると思います。

安心してください。バズらないのはあなたのせいではないんです。あなたのせいではないシリーズみたいですが(笑)

小山 はい。気が休まりますね。自分のせいじゃない。

野上 本当にそうなんですよ。
では、ここからちょっと私のフィールドに引き寄せてお話ししますね。私はNewsPicks+dというメディアの統括編集長をやってまして、そこで取り上げたニュースで、非常に読まれたものがあります。広島のオタフクソースさんのニュースです[図22]。


野上 この見出しは私がつけました。結果、100万PVを超えて読まれました(数字はまだ更新中です)。ヤフトピにも取り上げられました。が、実はこの一五分前に、オタフクの違う記事を、よく似た見出しをつけて出してるんです[図23]。

[図23]

左側が100万PV超、右側がその一五分前に出したよく似た記事です。内容は違うんですけども関連記事です。左側がコメント477、右側はコメント1。もうぜんぜん違うじゃないですか。PV数もコメント数も全然違うんですよ。

このことからもわかるように、バズるかバズらないかって、コントロール不可能です。既存客のエンゲージメントを高めるのは別ですけども、新規で、不特定多数に営業をかけて、それが引っかかってくるかどうか、打率はそんなに高くないとみなさんにも諦めがあるんじゃないでしょうか。(最近、野球でたとえるとあんまよくないらしいですね、おっさんくさいって(笑))

ねらって打つ

野上 発信においても同じです。自分のことをプロというのは口幅ったいですけども、発信を日々やっている人間でも試行錯誤してるんだっていうのを知ってください。ただ、そのうえで、ねらってます。

イチローも大谷もねらって打ってるじゃないですか。ねらって打って、ホームランが出るときとそうじゃないときがある。さっきの100万PVもねらってるんです。ねらったうえで当たって100万PV、ねらったけど当たらなかったのが右側の記事なんですよね。

なので今日は、ねらいどころの打ち方、かまえ方みたいなところを発信術の観点でお伝えします。引き続き、もうひとつ、自分の事例でお伝えします。

芦屋市で全国最年少市長が誕生したニュース、この高島さん、実は留学中の知り合いなんです。それで、ボストンで話を聞かせてもらって記事を書きました。日曜日に市長選があったんですけども、右側が神戸新聞の記事です[図24 右側]。

[図24]

野上 午後八時に開票が始まって、すぐ神戸新聞が当確を打ちました。そのあと僕がこの記事[図24 左側]を出したんです。そうしたら、めちゃくちゃ読まれた。実は、この記事は焼き直しなんです。二〇二二年五月にこの記事を出してたんですよ[図25 左側]。

[図25]

野上 写真を変えて、高島崚輔っていう名前と、全国最年少市長誕生へっていうのを入れただけなんです。結果、「いいね」が34に対して290(あの時点で、です)、PV(ページビュー:何回クリックされたか)一年前が287だったのが、一〇〇倍になってます。

この違いはなんなのか。答えは簡単で、タイムリーに読みたい記事が出てるから、です。先ほど申しました、当確が打たれてその一時間四五分後に僕はこの記事を出している。焼き直しなんだけど、高島峻輔っていうまだ全国的には聞いたことない人が多い候補者(芦屋の人は知ってたと思いますけど)、全国最年少市長になるらしい、と、みんなの関心が高まってるときに、実は彼はハーバード大卒でこんな人なんですよっていう記事を出した。みんながこの人はどんな人なんだろうと、読みたがって、ページをクリックしたっていうことです。

Time is Like  ときはいいね!なり

野上 読み手の心をつかむ法則の一は、Time is Like。ときは「金」ではなくて、ときは「いいね!」なり。ただし、実際に、案件獲得とか、課金していただけるとか、サブスクしていただけるというのは別問題です。それは、みなさんのマーケティングとか戦略とかに関連してくる話ですね。

まず、いわゆる「キャッチする」「目に留まるかどうか」でいちばん大事なのはTime is Like、ときは「いいね!」なり。概念だけ先にお伝えしますね。

小山 本当に読みたいタイミングってありますよね。季節もそうだし、音楽もそうですよね。リリースタイミングがちょっとずれると、ヒットソングでなくなったり、リバイバルが出たり、そういう、人の心の、気持ちの変化みたいなことを読み解きながら、いいタイミングでパシッといい記事を出していくっていうのが重要なんですよね。

野上 営業をかけるにしろ、ブログを発信するにしろ、時流とかタイミングとかを強く意識していただきたい。一〇〇倍違うっていうことなんです。

小山 たとえば台風が来ていて「大丈夫ですか」っていうメッセージも、送るタイミングによって、この人本当に心配してくれてるなと思われるか、そうでないか。翌々日になって「そういえば」みたいに言われても、気にかけてもらっている気がしないですもんね。

関心は二回訪れる

小山 早く出すには大変ですけれども、ちょっと待って出すのはコントロール可能ですよね。コントロール可能なだけに、慌てて出すんじゃなくて、ちょっと溜めておいて、いいタイミングで出す。いいさじ加減でできそうですよね。

野上 そうですね。人の関心って、二回訪れるっていわれていて、本当に話題になってるときが一回目、二回目はちょっと落ち着いたときなんです。平日でバーッと話題になったニュースが、土日にちょっと切り口変えたり、内容を深く入れたりすると、もう一回読まれたします。

みなさんのお仕事上でも、いわゆる緩急つけるといいますか、タイミングは少なくとも二回はあると思います。

小山 すごく重要だと思います。ふつうにビジネスやっていてPRのためにブログを書いていても、速報って当然できないわけですよね。すごいニュースが入ってきても急に書くわけにいかないし、速報書いたところでたぶん他の記事にちょっと情報加えるぐらいで、特別ないい記事は書けないとすると、ちょっと溜めて、土日にそういう記事を出せば、かなり読まれる確率は高まるっていうとこですかね。

なんで私の話を聞いてくれるの?

野上 ところで、なんでみなさんいま、私の話を聞いてくれてるんでしょうか。会場の方も熱心にメモを取って聞いてくださってるので私も乗って喋ってるんですが。

小山 野上さん、それ多いですね(笑)。すごいおもしろいですよ。会場の人からもコメントいただきましょうか。

会場 基本的に伝え方って、むずかしいなっていうのは常々思っています。簡潔によりよく伝わってそれが双方の利益に結びつけばいいのかなって思いながら聞いてました。

小山 課題に感じていることはありますか。

会場 意図と違った捉え方をされたりすることがよくありますよね。そういうふうにこの文言を取ったのか、とか、この全体の脈絡で自分が考えてたのとちょっと違った解釈をされたことがあります。

小山 誤解されるっていうのは、たしかにありますね。とくにTwitterなんか、なんていうんですかね、ある種、悪意を持って読まれることを前提にしないといけないぐらいで。誤解、誤読問題ありますよね。

野上 いかに齟齬なく(書きたいことと読み手が読みたいことをベン図で合わせていくみたいな)が、いちばん最後のアンサーじゃないかなと思いますね。

野上 こうやってね、私の話を聞いてくださってるじゃないですか、みなさん。これ、本当にすごく大事な話で、たとえば、もし、ここにフワちゃんが座ってたら、多分聞かないですよね、文章術の話。

小山 却って聞きたいかも(笑)いや、文章下手だろうなという人がここで偉そうに文章について喋ってても、たぶん聞こうとしませんよね。

野上 私のプロフィール、NewsPicks上の表示は、JobPicks編集長/文章術講師。文章術の専門家だから今日も呼ばれているし、みなさんこうやって聞いてくださってるんですよね、おそらく。

私、ダイビングもやってまして、この写真は私なんですよ、左側のね[図26]。いま、会社員です。アメリカではhideって言われたんで、Hide Noga という名前で出しています。

[図26]

野上 この肩書きと、ダイバーの格好して「文章術です」って、みなさん話聞きますか?

小山 聞かないですね(笑)。

野上 絶対的に嫌ですよね。でも同一人物なんですよ。
ひとつ事例をご紹介します。22、23歳の女性の方で、新卒一年目でフリーランスになった方をJobPicksで取り上げたことがあるんです。

企画を立てて、だれか取材をしようってなったときに、「新卒一年目フリーランス」と名乗ってた彼女を見つけて、「これってなんか最近の働き方っぽい。ちょっと取材したいね」っていうことになって、インタビューさせてもらったんです。

なんで僕らがこの彼女を認識したのかっていうと、顔を出していて、わかりやすいキャッチコピーがついてるからです。読み手の心をつかむ法則二として、めちゃくちゃ当たり前のことですが、Who are you? だれやねんお前、っていう話です。

NewsPicks上のアイコンを見ていても、似顔絵風のものだとか、ちょっとぼやけた解像度の悪い写真だとか、背中を向けたアイコンもあります。「個人事業主」だけ書いてある人もいます。何者かわからないんですよね。

会社の都合で、なかなか(情報を)出せないケースもあるかもしれないですけど、もし個人ベースでお仕事される機会があるのであれば、もしくは会社員の方でも、自分がいったい何者なのかをちゃんと示すってことが、発信においてはめちゃくちゃ大事です。

肩書=その場にあった実績+どう見られたいか?

野上 どういう肩書をつけるかは変幻自在なんですよ。私の略歴が[図27 左側]から取った肩書きとしてはこういうもの[図27 右側]があります。いま使っているのは「JobPicks編集長/文章術講師」、本も出しているので「著者」。朝日新聞記者ってことを言いたくて仕方ないとしたら「元朝日新聞記者」って入れた方がいいですよね。もしくはメディア関係のところで話をするときには、やっぱり「朝日新聞」って入れたほうがわかりやすい。もしくは、今日リスナーさんいらっしゃったことがわかって嬉しかったんですけど、ポッドキャスターだ、MCだ、パーソナリティだって書いたらいいんです。MBA持ってんだって言いたければ入れたらいいですよね。

[図27]

野上 おそらく二つが限度ですが、組み合わせは無限です。私も日常的にいろんな肩書きを見てますけども、二つぐらいが目安で、実績と、自分がどう見られたいのかっていうのをよく考えて、試行錯誤して、もしくはだれかに見てもらうといいと思います。

今回は、私は一応メディアでずっとやってきまして編集長もやってますよって、ある程度クレディビリティ(信頼性)を高めるために編集長の肩書きを持ってきました。加えて、(今日は)文章の話を二時間以上するので、「文章術講師」も入れました。

だけどこれがポッドキャスターの集まりだったら、僕はニュースコネクトっていう番組で、水曜担当してますって言ったほうがいいでしょう。

ときと場合によって違うので、一辺倒ではなくて、その場にあった実績と、自分がどう見られたいのかっていうことを組み合わせて出すことっていうのが、実は入口ですごく大事です。

小山 だいたい会社に勤められてる方は会社名、所属をいうことが多いですよね。それはある種、信頼性を担保することであるんだけれども、もうひとつの「どう見られたいか」、これが空欄の人がけっこう多くて、たとえばデジタルマーケティングの専門家だって思われたいのか、それともヒューマンリソースマネジメント、リーダーシップのことについてすごい詳しいですよと言いたいのか。どう見られたいかっていうところについては、意外と無頓着というか、発信できてないケースが多いかなと思います。

野上 そうですね。最近、人の肩書きや経歴に関するアドバイスをしたんですが、あるワインの商社に勤めていらっしゃるソムリエの方のプロフィールを見て、「ここをもっと強調した方がいいですよ」とアドバイスしたんです。肩書だけじゃなくて略歴にも同じことが言えるんですよね。その人、実は五〇回以上フランスに行ってるんですけど、それを全然書いてないんですよ。五〇回以上フランスに行ってるなんて、僕らからしたらすごいですよね。年間何千回もテイスティングするって言ってたので、その数字を入れないのももったいない。でも、自分ではそれが価値だと認識できないケースもあると思います。

会社員の方であっても、仕事を進めていくうえで、自分が何者であるかを相手にちゃんと認識されたほうがスムーズに進みますよね。この商談で、自分はなんの専門家で見られたほうがいいのか考えてみる。たとえば、それを肩書きに入れたり、プレゼンテーションの冒頭の自己紹介で入れるとか、すごくいいかなと思います。

なんでこの文章を読まなきゃならないの?

これに関連して、みなさんからいただいた自己PRいきますね。ちょっと読んでみてください[図28][図29]。

[図28]
[図29]

小山 一般的な自己紹介という感じがします。

野上 すごく大事なことなので、厳しめのフィードバックになるかもしれません。みっつめの気をつけていただきたいことをお伝えします。これは、発信においてってことです。みなさんが和やかな宴席の場で自己紹介する分にはいちいちそんなこと考えなくていいですけど。

小山 雰囲気はそんな感じの文章ですよね。ウェルカムな雰囲気の場で、こういうことやってるんですって、音声として聞こえてきそうな文章ですね。

野上 読み手の心をつかむ法則三は、Why should I reat it? なんで俺がそれを読まないといけないんだ。

小山 おぉ……

野上 けっこう、みんなシビアなんですよ、実は。つまり、読んでそのあと、どうすんの、ってことです。

あらゆる情報、伝えている内容が、こちら側(読み手側)に引っかかってこないと、退屈しちゃうんですよね。自分の言いたいこととか、自分を正しく伝えることって大事なんですけども、やっぱりボールは向こう、コミュニケーションの成否は相手が決めるんです。なので、なぜ相手がこれを読まないといけないのか、話を聞かないといけないのかっていうことを考えていただきたいと思います。

法則をまとめると、「Time is Like!」「 Who are you?」「 Why should I read it?」、「ときはいいね!なり」「何者か認識できる」「読むメリットは何だろうか」。ちょっと世知辛いですけどね。
実際問題、どうでしょうか? みなさんも、好きなYouTube番組や、好きな連載とか、テレビ番組とかあると思いますが、それらはたぶん、このみっつがちゃんと揃った状態で、みなさんのところに届いているんだと思います。なので、大事な商談とか、社内のコミュニケーションを円滑にしたいというときに意識していただければいいかなと思います。

謙遜しすぎは失礼?!

小山 さっきのふたつの文章[図28][図29]、もう一度見せていただいていいですか。たしかにこの人がなんのプロで、どういう立場で自己紹介してるかが、わからないですよね。たぶん謙遜してるところもあるんだと思うんです。似たような職種の人たちもいっぱいいるし、自分の仕事はそこまでたいしたことないんですよ、みたいな。

小山 ところが、学芸員のキャリアデザインについて論文作成までしてる人だから、「博物館のプロ」みたいに言ってもいいんだけども、自分の肩書きとかポジションをはっきりさせないがゆえに、全体として、なんでこの文章読む必要があるのかって思わせてしまう。

やっぱり日本人は(っていうとちょっと大きな主語になっちゃいますけれども)、けっこう自分を謙遜して言っちゃう人が多いと思うんですね。いやいや自分なんてたいしたことないと。でもそれをやってしまうと、実は相手にも失礼で、じゃあなんでお前の話聞かなきゃいけないんだってことになってしまう。
やっぱりそこは胸を張って、「私はこういう仕事をやっていてこれについてはプロです」と。自分の肩書きをはっきりさせることは、相手にとってもすごくメリットで、失礼にもならない。そのうえでちゃんと伝えたいことが伝わる。自意識のもっていき方っていうか、すごく重要だなといまの話を聞いてて思いました。

野上 本当にそう思います。
私自身も、この業界でたかだか二〇年やったぐらいで文章語るな、っていう業界の暗黙のプレッシャーがあります。

小山 わかります、そうですよね。

野上 まるで、寿司職人の世界なんですよね。本のあとがきにちょっと書いたんですけど、「飯炊き三年、握り八年」、握り一生、みたいなことを言う人もいるらしいんですが。新聞記者の世界でも、文章術の本を出すのは、キャリア四〇年とか、そういう人たちです。なので私のこの本を、たぶん上の人はやや冷ややかに笑っててもおかしくないと思うんですよ。

それでもこの本を出したのは、日本国内のビジネススクールに単科生で受けにいったときに、めちゃくちゃありがたがられたんですね。一目置いてもらったんです、文章術に関して。みなさんが書いたレポートをちょっと直したりとか、こういうふうに書いたら? みたいなアドバイスが、僕の業界内ではめちゃくちゃ当たり前でふつうのことが、一歩外に出ると、途端に需要があった。社会人に対しても同じような課題感があって、それに対して感謝される機会があったんです。

書く力を教える、トレーニングする機会が少ないという日本の社会課題に対して、MBA的なフレームワークの考え方で体系立てて伝える本はまだだれも書いていない、わずか二〇年の若輩者だけど、本を出そうと決めた。僕も謙遜してたんです、そう見えないかもしれないですけど(笑)。

小山 いや、実はちょっと謙遜気味だなと思ってました。すごくいいお話をされてるのに。

野上 この一冊を出したことで、今日もこういう機会をいただいて、みなさんにも来ていただいてるのは、自分自身が「文章術に関して本出しましたよ、私は文章術についてひとつ考え持ってますよ、みなさんもしよければ聞いてもらえますか」という、Who are you?、Why should I read it? 、何者かを明示したうえで読むメリットも提示してるからこそなんだと思います。

小山 私も広告代理店に勤めているときに、マーケティングのことを偉そうに言えるかっていうと、もうプロがいっぱいいるからそんなのとんでもないと思っていました。でも、一歩外に出ると「そんなことは初耳だ。有益な情報ありがとう」と言われる。そういうギャップがあるわけですよね。業界内で謙遜するのはいいとしても、一歩外に出たときには、きちっと名乗り、メリットを伝える。ある種プロとしての基本だし、重要なことだなって思いますね。

野上 いま会社員の方でも、ぜひ機会を見つけて、やっていただければと。私もこれ会社員時代に書いてますんで。

小山 書こうとしたときにまた自分なりの自覚が出てくるというか、

野上 そうですね。いい加減なものは書けないですよ。この本を書くにあたって、改めて文章術に向き合いましたし、アメリカで出てる文章術系のベストセラーの本は全部読んで、そのエッセンスも入れました。

いま連載もやってまして、かなりばくっとしたテーマで、世の中全部を書いてるっていう感じなんですけども、よければまた覗いていただければうれしいです。

小山 この肩書き、新聞記者であり、MBAってはっきりとスタンスを示してるからこそじゃあ読んでみようって思いますよね。メリットが見えます。本当に重要ですね。そこが定まると、自ずと文章も、北極星が見えてくる。肩書も、仮見出しをつけるのと同じですね。

野上 大事な前提です。ただし、いまはもう新聞記者ではないので、僕がずっとこの「新聞記者×MBA」を使い続けるかどうかは別なので、これも仮見出しというか、いったん置いてみる感じですね。

小山 新聞記者の方が「自分は新聞記者です」っていうのも、ちょっと恥ずかしいみたいな

野上 ありますね(笑)。

(6)に続く


野上英文
JobPicks編集長/ジャーナリスト

2003年から朝日新聞社で大阪社会部、経済部、国際報道部、ハーバード大学客員研究員、ジャカルタ支局長など20年近く記者・編集者を務めた。40歳を機にマサチューセッツ工科大(MIT)経営大学院に私費留学してMBA修了。2023年からNewsPicks for Businessに参画し、同4月にJobPicks編集長就任。NewsPicks+d統括編集者も兼務してメディアの事業戦略と成長を担う。NewsPicksトピックで連載コラムの執筆、News Connectパーソナリティなどを務めるほか、ビジネス文章術やZ世代の働き方などで講演多数。大阪地検特捜部による証拠改ざん事件の調査報道で新聞協会賞受賞。著書に『朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』(BOW BOOKS)、共著に『ルポ タックスヘイブン』『ルポ 橋下徹』『プロメテウスの罠4』『証拠改竄』ほか。

朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』(BOW BOOKS)

小山龍介
一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会(BMIA)代表理事
株式会社ブルームコンセプト 代表取締役 CEO, Bloom Concept, Inc.
名古屋商科大学大学院ビジネススクール 准教授 Associate Professor, NUCB Business School
FORTHイノベーション・メソッド公認ファシリテーター

京都大学文学部哲学科美学美術史卒業。大手広告代理店勤務を経て、サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。卒業後は、大手企業のキャンペーンサイトを統括、2006年からは松竹株式会社新規事業プロデューサーとして歌舞伎をテーマに新規事業を立ち上げた。2010年、株式会社ブルームコンセプトを設立し、現職。翻訳を手がけた『ビジネスモデル・ジェネレーション』に基づくビジネスモデル構築ワークショップを実施、多くの企業で新商品、新規事業を考えるためのフレームワークとして採用されている。インプロヴィゼーション(即興劇)と組み合わせたコンセプト開発メソッドの普及にも取り組んでいる。
ビジネス、哲学、芸術など人間の幅を感じさせる、エネルギーあふれる講演会、自分自身の知性を呼び覚ます開発型体験セミナーは好評を博す。そのテーマは創造的思考法(小山式)、時間管理術、勉強術、整理術と多岐に渡り、大手企業の企業内研修としても継続的に取り入れられている。

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