石破政権の未来を予見する
どのような政権運営になるのかまだ不透明の中、未来を予見するのはなかなかたいへんだが、今手元にある感触のみで、まずは書いてみたいと思う。
まず、解散時期について、当初はすこし先にすることを考えていたようだったが、周りからの説得もあり10/27(日)投開票で進めることになった。こうしたところが、よくも悪くも自由民主党の力学であり、頑固そうな石破であっても受け入れざるをえなかったか、もしくは本人の意思なのか。いずれにしても、これは長期政権になるためのポジティブなシグナルだろう。党内の意見を吸い上げながらの政権運営となり、ときおりガス抜きをしながら進めていくことになるだろう。
石破政権の柔軟性についてもっとも関心を払っているのが、財界だろう。金融所得課税や法人税の強化を言っていた石破が、そのままこれを強行するのか。この可能性は低いように思う。地方からの支持を重視した石破が、その目配せとして都市部の富裕層への負担増を主張したという、いわば選挙対策的な意味合いが強いのではないか、と思う。流石にこれを強行しては持たない。一部への、ということであっても、今このタイミングでの増税は、流石に筋が悪い。
一方で、それでは地方の石破の名がすたるわけで、地方への経済的な支援が積極的に行われるのではないか。まずは能登の復興対策には、かなり力を入れてくるだろうと思われる。公約の防災省に向けて、新たな組織を作っていくのかも興味深い。政策の優先順位をあげたとしても、誰も正面からは反対できないし、政権の実績にもなる。石破政権を長期政権にしていくためにも、この分野での実績が欠かせないように思う。
もうひとつの目玉は防衛関連だが、すでに岸田首相によって道筋ができている部分もあるので、ここでさらにアクセルを踏んでも、政権の特色とまでは言えない。外交での成果ということも、たとえば拉致被害者問題などが急に進展することも考えづらく、点数が得られない。論文投稿したように、地位協定見直し、核持ち込み検討、そしてアジア版NATOなど、正直どこまでのことを国民が求めているのか見えないような気がする。
最初の話に戻るが、立憲民主党の野田代表との論戦は、やればやるほど立憲民主党のイメージ刷新につながる可能性があり、選挙だけを考えれば避けたい。プラグマティックな判断を石破総裁がしたということは、(一部には短期政権と見ている向きがあるが)それなりに長期的に政権を担う可能性があるのではないかと思う。
小山龍介
BMIA総合研究所 所長
名古屋商科大学ビジネススクール 教授
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小山龍介のビジネスモデルノート
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