日記 創作について
月並みだけど、純粋な創作とは何なのかということを最近よく考えている。
俺が創作をはじめてから数年間、具体的に言うと17歳から20歳にかけては、純粋な創作とは「周りの目や評価を気にせず、自分の想いを表現すること」だと俺は思っていた。商業化された創作はいわば紛い物であり、自分の書きたいことだけを書いていないそれは創作としての価値が一段劣る。そういう風に考えていた。それだから俺がその頃よく読んでいたのは俗に言う「純文学」のジャンルだったし、自分が書く小説もそれに寄っていた、ように思う。20歳のときに書いた長編小説『夜が明けるまで』は、個人的にはその極致だと思っている。ただ自分の思想をぶつけただけの小説。
しかし、創作の技術を深めるために色々な作品に触れる中で、心境の変化が起こった。むしろ、商業作品こそ純粋な創作なのではないか? 自分の思想を表現するための創作はいわば「手段としての創作」であり、創作そのものを蔑ろにしてしまっているのではないか? 作者と切り離され、それ自身の面白さを追求したような作品こそ、最終目的であるところの純粋な創作なのではないか?
もちろん「手段としての創作」と「目的としての創作」の境界は曖昧にあるだろうし、そもそもそんな二分法で雑に区分できるものでもないのだろうことは分かっている。これはむしろ心持ちの問題なのだ。俺が取り組むべき創作とは何か。俺はどんな小説を書きたいのか。そういう自分の創作の根底にある価値観みたいなものを、今一度相対化して考え直してみようと思った。
というわけで今日、長編のライトノベルのプロットを途中まで作った。どこまでちゃんとできるかは分からないけど、このプロットを使って商業作品としてのラノベの舞台に飛び込んでみようと思う。読者の興味を惹き、エンタメとして消費できるような小説。自分の内側ばかりに目を向けて自己完結に陥ることなく、最後まで読者の方を向いた作品。完全にそういう意識を持って小説を書くのはたぶん初めてだし、ほとんど誰の目にもとまらないかもしれないけど、無事ちゃんと一つの作品を完結させることができたならば、自分の中でひとつ大きな壁を破って成長することができると思う。そう、スキルアップとしてのチャレンジ。
現時点ではただの思いつきだし、発表媒体とかスケジュールは何も考えてないけど、これが妄想で終わらないように頑張って行こうと思う。