ロケットリーグが日本で流行らない理由
1.公式が日本で情報を発信せず、流行らせるつもりがない
日本ではロケットリーグの存在を知らないプレイヤーが大多数だ。
存在を知っているプレイヤーでも遊んだことはなくどんなゲームかは知らないということが多い。
ロケットリーグは無料(※ここ超大事)かつクロスプレイに対応していてPS4,PC(Steam),Xbox One,Nintendo Switch間でオンライン対戦ができるということが知られていない。(これらの情報を知らない人がかなりの数いて、ここが正直かなりデカいと思う)
ロケットリーグは日本で本格的な広告活動を一切していない。
人口が少ないし地理的な距離も遠いし『なんか遠くで遊んでいる人もいるな〜』くらいのノリなのだ。
実際広告を流してもユーザーが増える見込みはないし、全世界的に流行しているのなら会社の規模的にもっと人口が多いリージョンでの広告を行う――というのは正道だから仕方ないといえば仕方ないのだが……。
2.ゲーム自体が難しい
理由を皆が考えた時に、おそらく一番最初に思いつく理由がこれ、「ゲームの難易度が高い」という点。
ロケットリーグ自体が難しい。
一番楽しい部分である空を飛ぶ部分にしても、誰でもすぐに飛べるというわけではなく初心者は最初まともに車を制御できない。
コツなんてものもほとんどなく、基本的に実戦やトレーニングで時間をかけてテクニックを練習するのが一番手っ取り早い。
エアドリブルのめちゃくちゃわかりにくい解説動画とか見て、初心者が簡単にできないからって皆辞めていく。(ゲームの操作が多彩かつあまりにも難しすぎて他ゲー以上にテクニック動画を挙げる人の言語能力が追いついていない節がある。ぶっちゃけ、投稿しない方が良いんじゃないかってくらい説明が下手な動画が多い)
基本的に、かなり練習時間をかけられるプレイヤーじゃないと上手くなるのに時間がかかってしまう。
ここまでは海外も日本も条件自体は同じなのだが……。
3.日本ではゲーマーの総人口自体が少ないせいでライト層を取り込めないと一定のムーブメントが起こせない。
他のe-sports系のゲームの全てが日本で流行らない一番の理由が確実にこれだろう。日本の人口規模で一つのタイトルにプロゲーマーが集まっても小さくまとまって終わってしまう。
全体人口の多い海外ではガチ勢が集まってある程度の規模のコミュニティを構築してそこから大きなムーブメントが起こせるが、日本では人口割合的に活性化できるほどのプレイヤーが集まらない。しかし、娯楽の種類自体はめちゃくちゃ多いので少ない人口をタイトルごとに奪い合うことになる。
ロケットリーグを流行らせたい人はプロシーンから界隈を活性化させるという考え方自体を捨てないと駄目だろう。
残酷だが、日本ではどれだけプロシーンが注目されたところで実際にゲームを遊ぶプレイヤーはほとんど集まらない。プロシーンからカジュアル層にプレイヤーが流れてくるのではなく、カジュアル層のブームがあってこそのプロなのだ。
日本のプロが勝ち上がって数億円稼いで地上波でニュースになるレベルにまで行けば流行る可能性はあるが、現状プロシーンが盛り上がっているのは遠い遠い海の向こう側だ。結局他所の世界だ。日本のチームが世界大会で優勝できるようなものでもないだろう。
だから結局、日本でゲームが流行るためにはいかにカジュアル層を取り込んでアプローチできるかが重要になってくる。
ロケットリーグというゲームはカジュアル層を取り込んだとしてもカジュアルなままずっと遊べるわけではなく、行き着く先が上達(=難しいゲーム操作)しかない。
正直、日本で流行っている他のゲームと比べるとカジュアル要素が薄すぎる。
4.見ていて何が面白いのかがわかりづらい
ロケットリーグは見ていて何が面白いのかわかりづらい。
やはり、最近はYouTubeなどを見てそのゲームに興味を持つという人が多い。
動画映えするゲームというのは、一目でそのゲームの魅力が何も知らない視聴者に対して部分的でも伝わるものだ。
しかし、何も知らないプレイヤーにとって、ロケットリーグというゲームはただ同じ性能のマリオカートでサッカーをしているだけ、適当に動かして簡単そうに飛んでいるだけのように見える。
(例えばこういう動画を見たとして、ロケットリーグを一度でも遊んだプレイヤーとそうでないプレイヤーの認識は全く違うものになる。遊んだことがないプレイヤーからすればなんか適当にボールをつつきながら空を飛んでいるという感じになるだろうし。一度でも操作したことがあるプレイヤーなら冷や汗が出る。そのくらい経験者と未経験者でゲームへの認識が違ってくる)
だから、皆がやっていない現環境ではロケットリーグを一度もやったことのない新規層の獲得が難しくなっている。
自分も知り合いに勧める時、『騙されたと思って一度やってみて欲しい』と頼まないとなかなか遊んでくれなかったことを思い出した。
5.運要素がほとんどなく、競技性が高すぎ
やはりこれ、「競技性が高すぎる」という点。
競技性が高いというのは、運要素が少なく(せいぜい野良の味方運。それすらも固定をすれば完全になくなる)、強い人が勝ち続けることができるということだ。麻雀や中国におけるKOF97みたいな運ゲーではないので、とりあえず皆で遊ぼうというゲームの候補としてロケットリーグは原則採用されない。
加えて、このゲームには特に個性的すぎる(同時に理不尽さを感じるような)キャラゲー要素もない。
ロケットリーグというゲームはプロやガチ勢同士の試合では実力を正確に反映してくれる。
練習に時間を割けるようなガチプレイヤーからすればまさに天国のようなゲームなのだが、ゲームをやり込むという経験がないようなカジュアルなプレイヤーからしたら、どこかの段階で自由に車を動かせず自分の実力不足が原因で勝てないのだという苦しみに嫌でも直面してしまう。
このゲームは運が悪かったと言い訳できるシーンがほとんどない。
リプレイカメラが流れる関係で自分のミスには基本的に言い訳ができないし、そういったミスの対策が地道な練習しかない。
海外と違って、淘汰されて尚人口を確保できるわけでもない(カジュアル層を取り込めないと流行らない)ので日本では流行りようがない。
例えば現在日本で流行っているバトロワFPSなど、(スマーフやチーターがおらず同じレート帯ならば)ある程度運が結構絡んでくることから、ゲームが全く上手くない人でも、一勝や一キルだけならワンチャンあったり、勝つことができたりする。負けた時の言い訳だっていくらでもできる。
逆に言えばそういった理不尽な要素(安置運やアイテム運、襲いかかってくる漁夫など)は本気でゲームを遊びたい人からすればイライラする要素となるだろうが、無いならないで初心者にとってワンチャンもないし言い訳もできなくなる(「単に練習不足のお前が下手だ」とゲーム側が言ってくる)のでプレイヤーが居つかなくなる。
ロケットリーグでは上級者と試合して運勝ちなんてものは基本絶対にない。
競技性が高すぎてゲームの完成度が高すぎるため、初心者がとっつきにくい。これが流行らない原因の1つとなっている節がある。
6.ゲーム実況動画を作りにくい
続いては、「肉声での実況動画が作りにくい」という点。
先ほども言及したが、日本のゲームの流行にはYouTubeなどの実況動画の影響が非常に大きい。
ロケットリーグというゲームは下手でも適当にトークしつつ配信者の魅力を出してカジュアルに遊ぶというスタイルが結構難しい。
ガチでやったらやったで話す余裕がなくなるし、わかりづらい複雑なプレイをすればするほど視聴者の共感も薄れていく。
APEXのようにベラベラとしゃべりながらプレイするのも難しいし、試合中以外でしゃべる場もないし神エイムだとか連キルだとか遊んだことがないプレイヤーでもすごいと思える要素がない。(ジャンルが独特すぎて難易度が認知されておらず、スーパープレイが簡単そうに見えたり、立ち回りの凄さを認識できない)
しゃべったとしても、基本的には試合状況の報告が基本だろう、ゲームを経験している層ならまだしも、ゲームを知らない視聴者からすればずっと続けていてもあまり面白くない。
ハプニングが起こるのは最初のうちだけで、ゲームの難易度調整や特徴的な新マップの追加などもあるわけではなく話題がつきやすいし、雑談要素の多い動画も出せないので、ネタがつきやすくなってしまう。(とはいえ、全体人数が増えればネタが尽きるということはなさそうではある。自分ですら人気のユーザーが集まりさえすれば盛り上がりそうな企画はかなりの数思いつく。どちらかというと流行っていないから流行っていないということなのかもしれない)
現状、有名な実況者は実況動画を作りにくいゲームなんてもちろん実況しようとは思わない。だから、勢いが足りていないロケットリーグというゲームへの露出が減ってしまい、人気も出ない。
一時期このゲームを実況している人気実況者はいたが、その悉くがいなくなってしまった。
ロケットリーグは、ユーザー層が少なすぎて現状では上達していないプレイヤーが上達しないままだらだら遊び続けることに真新しさがないし。
遊んだことのない人には面白さを傍目で中々理解してもらえない。
結論
海外では上手いプレイヤーが集まれば大きな流れを作れる。
日本では上手いプレイヤーが集まっても規模が小さすぎて村ゲーの住民になってしまうのだ。
このゲームを遊んで魅了された人は皆思っているだろう。『ロケットリーグが日本で流行ってくれればなあ……』と、しかしこういった理由で今後も流行らないんじゃないだろうか。唯一プレイヤーを増やせる可能性があるとすれば無料&クロスプレイの認知度を情報を発信する側が上げること(記事冒頭でも紹介した通り、これを知らない人がかなりの数いる)くらいだろう。
あとはいっそ一時期話題になった壺おじやTrialsのように苦行バカゲーとして売り出してサッカーの魅力を理解してもらうとかだろうか?
現実は非常である。
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