木管楽器のリードのつくられ方

木管楽器をやってる多くの方が、ひょっとしたらここまでみてないかも知れませんね。

私は、基本構造から材質、動やったらそう動くのか、という「本質」をある程度知らないと気がすまない(というか不安でしかたない)性格で、サックスをやるにしろ「教えることができるぐらいまで勉強したらマスターしたと同じこと(by 林修先生)」ぐらいには知識は理解しておく必要がある、と思ってます。

・・というわけで、サックスのリードってどうつくられてるんだろうって調べたらこんな動画を見つけました。
これ、ダダリオウッドウインズの宣伝動画でもあったりするんですが(笑

これを調べていて、ちょっと勘違いしていたことがあります。
実は、「ケーン」というのは植物名ではなく、木性草本(茎が固くなる草)の総称だそうで、藤、竹、シュロ、サトウキビとかがこれに当たります。
もちろん葦も含まれます。
で、木管に使われるのは「アルンド・ドナックス(セイヨウダンチク)」という品種の葦。どこでも育つには育ちますが、湿地を好み、一番適した地は南フランスといわれています。
(まぁ湿地といってもピンキリなのですが・・・日本だと沼地っぽいところってイメージがありますが、ヨーロッパはちょっと足場が弱い畑程度の湿地のようですね)
最初これって1年草かと思っていたら、なんと耐寒多年草だそうで。
育つのに数年かかるのは納得ですね。
あと、木管楽器のリードに使うものは、管理農地で、特別な管理のもと栽培されてるそうです(当然そのノウハウは企業秘密でしょう)。
その独特さから、「ミュージック・ケーン」とまで言われるそうです。

収穫できるまでに成長したら、秋~冬にかけて?刈り取りが行われて、余計な皮や枝、枯れた葉などが取り除かれ、1本の長い棒になった状態で屋内、屋外での乾燥工程に入ります。
乾燥はだいたい2年以上だそうです。昔はもうちょっと長かった(7年とかいう話も)そうですが・・・

乾燥されたあと、節を取り除いて短いパイプになり、スプリット(分割)されてリードメイカー(リードメイキングマシン)に投入されるようです。
ダダリオでは映像を見る限りパイプの段階でアメリカのダダリオの工場に入るようです。
パイプの段階で肉厚や大きさは分かるので、そこでそれぞれの楽器用として仕分けられて工場に向かう、といった感じでしょうか。

で、日本へは他のサイトで調べたところ一応節を取り除く前の段階から輸入は可能だそうです。

リードメイカーは昔は手作業で一部機械でやってたところを全面的に機械化したものだそうです。たしかに手作業だと時間もかかりますし、流れ作業になっちゃうとばらつきがでても「まぁいっか(^^)」で流しちゃいそうです。

クラリネットやオーボエやら、サクソフォンだけでも数種類あります。
そしてそれらの楽器専用の工程にながされて、リードが出来上がるというわけです。


ここで、すこしダダリオウッドウインズさんについて。
ダダリオ、といえばエレキギターの弦が有名ですが、木管楽器業界では実は昔ながらの方だと「え?」って方もちらほら。
というのも、昔からダダリオがやってたわけじゃないんです。
ダダリオがベースにしているのは、RICO社。
ここはもともとアメリカで設立され、複数の投資会社を経て、2004年にダダリオが買収します(ブランド名と会社名はそのまま残し子会社化)。
そして2014年、満を持して今の社名に変えているわけです。
当然ながら、ブランド力を維持するために、製品ブランドとしてRICOの名前は残っています。
RICOはジャズやポップス用のリードとしては昔からメジャーブランド。
それをダダリオが受け継ぎ、さらにブラッシュアップしています。
ちなみに、ダダリオさんのリードは、従来の南フランスと、アルゼンチンに広大なリード畑を持っているそうです。
何故アルゼンチンって?
実は南フランスとは四季が逆。
ですから、シームレスにケーンの生産が可能になるそうです。

確かに。

リードには、必ずばらつきがあります。
それはリードメイカーの製造誤差も当然ありますが、ケーンという植物、生物の産物を使用する以上ばらつきは仕方がないと言えます。
ただ、それをできる限り減らそうとする企業努力。
そして、そのばらつきを越えて、ばらつきのない演奏ができるプロの方、本当に尊敬できますね。

いい演奏は、そういう方々の努力のもとに支えられているのです。

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