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痛くない死に方(一部ネタばれあり)

一部ストーリーに触れる内容がありますので、まだ、原作を読んでない!映画観てない!知りたくない!という方は読まないでくださいね。

在宅医のお話し

「けったいな町医者」に引き続き、在宅医、長尾和宏医師原作の映画でした。京都シネマでは先週上映修了だったはずが、1週間の上映延長で、駆け込みで見ることができした。

前半はこの作品で言う、痛い在宅医のエピソード。大学病院の医師から在宅医になった主人公は私生活にも問題を抱えながら、亡くなった患者とその家族を深く傷つけてしまいます。数年後、主人公は痛くない在宅医として、患者を全人的に捕らえて、痛くない死に方へ導きます。

2つのテーマ

この映画のテーマは大きく分けて2つ。1つは在宅医・現在の医療のあり方。もう1つは尊厳死・リビングウェルです。

長らく、ボディーワーカーとして緩和ケア病棟で施術していましたが、瞬時に判断を求められる急性期の医療の現場では、患者様を全人的に診る事は合理性に欠けるのかもしれません。しかし、死を目前にした終末期やそれに伴う緩和ケアでは、合理性を欠いてもその人らしさ、その人にとってハッピーな環境を重視できるよう、減速する必要があるのではないでしょうか?

それを実現できるのが病院ではホスピスだけ、なのでしょうか?この映画では自宅で亡くなることを選択した本人と家族が心と身体の痛みで疲弊していく場面があります。これがスタンダードだとしたら…尊厳死をもっと多くの人が知るべきだと思いました。

レアな在宅医

この映画の前半は痛い在宅医のストーリーと書きましたが、実は私自身この映画を観ていて、後半の痛くない在宅医のエピソードが始まるまで、前半の在宅医の行動に違和感は感じるものの、これが痛いこととは思っていませんでした。私は今、高齢者を支援する仕事をしています。最近言われる医療連携を求められる場面も多いのです。そういう環境にありながら、痛い在宅医を、良くあることだなと思いながら観ていたのです。

後半のエピソードで、目が覚めた感じです。自分の思い込みがどれだけ強いかを感じさせられました。ということはやはり、長尾和宏医師のような全人的に診察できる在宅医はレアであるということでしょうか?

在宅で看取る

2020年9月のデータでは日本の高齢化率は世界一28.7%となっています。総人口は減少傾向にあり、今後さらに高齢化率は高まります。3人に一人が高齢者となる日は目前です。病床数が追いつかず病院で亡くなることも難しくなり、できるだけ元気で在宅で、更に言えば伸びる平均寿命から高齢者には就労が求められています。元気で社会に役立つ高齢者。亡くなる直前まで社会貢献するなら、最後は自分らしく痛みなく死にたい、と、私は思います。

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