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水面にひろがる残響

 毎回同じような写真ばかり撮っているとは自覚している。それでも慣れ親しんだ風景に新鮮な美しさを感じている。

 スマートフォンで写真を撮る時は、ひとつの構図に対して2回シャッターを切るようにしている。まず惹かれた瞬間に直感で1回、少し整えてもう1回。結局それほど代わり映えはしないのだが、それでも雲や水や木々は本の少し表情を変え、意外な効果を得ることができることがある。

 平日の午後は駅から20分も離れてしまえば誰ともすれ違わない。素顔で呼吸する。空気の味、薄荷のような甘さと冷たさ。私たちは今までこんなに美しいものを直に吸い込んでいたのか。

 黄昏の透明が肺に沁みわたる。水の気配、木々の影、静寂。

 空の結晶化が進み冬の気配を感じる。鋭いまでの冷気がそこに。


今日の英語:Sunset 

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