小石を積んで丘となす

 私は500円玉貯金をしている。日々の買い物で500円玉が手元に入ると、毎晩財布から専用の貯金箱に移している。貯金箱といっても空缶からの転用だ。コーヒーやビールなど飲料の缶の飲み口の部分にペンチで切れ込みを入れたもの。現行の缶の飽和が近付くと、気に入った柄の缶を取っておいて使っている。
 現在のペースは350mlの缶であれば10ヶ月ほどで飽和する。詳細な金額は覚えていないが、確か190gのコーヒー缶でおおよそ70,000円になったはずだ。入れているものが液体ではないので容量で単純に倍にはできないが、現時点で350mlの缶が3個とそれ以下の容量缶で7個を溜めている。
 500円玉貯金を始めたきっかけは覚えていない。ただ私は浪費に罪悪感を持つ傾向があるので、買い物をしたその数%を貯金にすることで罪悪感を中和しようとしているのだと思う。これまで溜めた缶を開封したのは何時だったか。何度か開封しているが記憶がない。一度はイタリア旅行の準備だったのは覚えているが。かつては利子を考えれば銀行に入金した方が“お得”であった時代もあるが、今ではそこまで手間をかける価値もないほど金融も落ちぶれてしまった。またこの缶を喜びのために開封する日は来るのだろうか。
 塵も積もれば山となるが、我が家の床は山になるほど耐えられるかは不明である。


今日の英語:Save money

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?