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水面の高さの濃い空気

 昨日はバイオリンのレッスンの帰りに、曇り空の河川敷を散歩した。
 川でも釣りをしてみたいという野望があるため、いつもは遠目に眺めるだけの川縁に降りることを試みた。かつてであれば河川敷のグランドは平日であってもスポーツチームで溢れていた。今ではその気配もなく、ただ整地された区切りが広がるばかり。その空間を通り抜け河原へ降り立つ。水の音もなく、全てがやけに遠かった。

 確かに県境にあたる川であるため河面も河原も広いが、思ったほどの艶はない。ここいらは汽水域となるくらいに河口に近いため仕方のないことなのだろうが、砂利だらけで大きな岩もない。2年前の台風で主だったもの流されてしまったのだろう。護岸はしっかりされているが変かには乏しい。

 素顔で深呼吸する。おかしな緊張感ばかりで何の気配もない。においもない、河原はこんなものだったろうか。海岸は潮のにおいがしたのに。

 もっと水辺に起伏があればテナガエビも狙えただろうが、ここいらではそれも難しそうだ。覗き込んでも空が反射するばかりでなにも見えない。

 それでも思ったよりも澱んではいなかった。遠目から見慣れていただけの場所に実際に立ったのは新鮮な体験でもある。次の連休には新しい釣竿を持って来てみよう。



今日の英語:River beach

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