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世界の背骨と臓物

 暦に暗示をかけられているのか、もう春が近いような気分になる。

 しかし木々の芽はまだ麗しく堅く閉ざし、芳香の漂う空にはまだ遠い。
 焦って春になる必要はない。まだこの冷たく透明な空気、肢体のあらわな木々の姿を堪能したい。

 ここなら静かだ。

 これほど世界は混乱しているのに更なる混乱と憎悪を呼び込む行為。人間に本当の春は来るのか。
 それでも呼吸し続ける、稀釈された硝煙と放射能を溶けた冷気を。



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