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天と海と都市の青

 先日の遠出に自信をつけ、また自転車で遠出することにした。今回の目的地はまたも工場地帯彼方の公園。何度か家族と共に訪れたことはあるが、一度ひとりでここでぼんやりしたいと思っていたのだ。

 途中までは先日の公園へのルートと同じであるため迷うことはない。が、その先が自信がない。工場地帯であるためこれといった目印が無いのだ。工場、倉庫、駐車場、空地。交差点に店舗どころか自動販売機があることさえ稀で、果たして自分が正しい方角に進んでいるのか分からなくなる。

 それでもスマートフォンの地図と倉庫に描かれたロゴを見比べながら走り続ける。指ぬき手袋をしてきて正解だ。
 スマートフォンを見るために一々カバンから取り出すのは面倒臭い。自転車にスマートフォンを固定するためのパーツを買おうか。しかし自転車に乗っていて地図が必要になるシーンは少ないし、何より道を模索する楽しみが減る。

 晴れている日に来て正解だった。公園からの景色は上も下もその境目も青い。ここから水平線は見えないが、人間の営みせ気だるげに沈んでいる。

 今日は休日、やはり人出は多い。公園のための駐車場も全て埋まっていた。 旧来ここは乾いた遠くの公園であったのに、車が収まりきれないほど人がおしよせているとは。あの世界の末端のような静寂が戻る日は来るのだろうか。

 水分補給に缶コーヒー。缶コーヒーとドリップコーヒーは別物ではあるが、広い屋外での缶コーヒーは体によく浸透する。

 船が少ない。息を潜めて、世界は小さく回っている。このままひとつひとつの音がよく聞こえるような、誠実な世界にならないだろうか。

 地の果てに公園はまだある。よく晴れた静かな日を選んでまた来よう。


今日の英語:Park

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