てのひらに開いて無限を泳ぐ
時に泡沫、百年の毒、最高の娯楽にして千年の叡智。
外出自粛が呼び掛けられるこの頃、自宅にいてもすることが無いという嘆きを聞く。すると私は反射的に『本読めばいいじゃん?』と思ってしまう。
本屋に行かなくてもコンビニでも雑誌は売っているし、スマホや専用タブレットで漫画は読める。古本屋に文庫や新書がいくらでもあるのだから、適当なのを買って読めばいいじゃないか。ドラマのコミカライズでも映画の原作小説でも、何から始めたっていい、読書感想文もレポートも提出不要、途中で投げ出したって誰も責めない問題もない。本を読めばいいじゃん?
と言うのだが、賛同は少ない。学生の頃は周囲が私以上の読書家ばかりだったから寂しい限りだ。
トキソプラズマという寄生虫がいる。これに寄生されると最終宿主である猫に惹き付けられ、好意的な行動をとるようになるという。
本や活字でも、寄生されると文字に対して中毒を引き起こす寄生虫がいるのではないか。本を愛し本が増えることに喜びを感じる、そんな人間は銀色の紙魚に感染しているのではないだろうか。
私の部屋には未だ読んでいない本がたくさんあり、もう一度読みたい本が山ほどある。いつか読んでみたい本は数えきれず。明日はカウチポテトならぬベッドブックでむさぼろう。
今日の英語:Silverfish