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第18回渋谷音楽祭2023~SHIBUYA MUSIC SCRAMBLE~ 公園通りレコード インストアライブ LINE CUBE SHIBUYA 2023.10.21.

6人のヴォーカリストが山弦とハウス・バンドをバックに、自身の代表曲とコラボを披露する。前半はwith山弦でアコースティック、後半はバンド・サウンドという構成で、それぞれの編成に合わせたかのような絶妙の選曲。音楽自体の魅力はもちろん、”音楽を好きであることの素敵さ”も感じさせてくれた2時間半だった。

渋谷音楽祭『公園通りレコード インストアライブ』

with山弦のパートは、大貫妙子の「あなたを思うと」に槇原敬之「島育ち」と、山弦のインストに歌詞をのせた曲。そして渡辺美里の「10years」に根本要の「木蘭の涙」という、いわゆるコラボと代表曲のコントラストが見事な構成に引き込まれた。個人的には根本要による爆笑MC後の「木蘭の涙」が、初めて聴いた人にどう伝わったのかに興味があるけれど。

バンド・パートはSETA+槇原敬之、ゆいにしお+根本要の、若手とベテランのコラボがハイライト。渋谷の街で季節ごとの名曲をカヴァーするSETAのフリーライヴ “ うたのカレンダー “ を何度も観に行っているからか、彼女の登場シーンは身内の晴れ舞台のようで嬉しくて、槇原敬之と「遠く遠く」を堂々とセッションする彼女の姿は感動的だった。ゆいにしおは、亀田誠治が ”彼女は最初からシティ・ポップを血肉化している” と言っていたように、根本要とのスタレビ「今夜だけきっと」が実にはまっていた。そして渡辺美里+根本要による「東京ブギウギ」でバンド・パートはピークに。現在放送中の朝ドラに引っかければ旬の曲でもある。実にかっこいいロック・ヴァージョンになっていて聴き応えがあった。

ライヴを締めくくったのは「夢で逢えたら」のど真ん中直球カヴァーを全員でセッション。ヴォーカリスト各々が歌とセリフを分けあったのだが、ター坊がソロをとったシーンに何故かグッときた。一瞬ではあったが、あのシーンがこの日を象徴していたように感じられたのかもしれない。理由はわからないけれど。

ここ数年、特にこれといった理由はなく、あくまでも自然にそうなっているのだが、過去に縁がなかったアーティストやバンド、ミュージシャンのライヴに足を運ぶ機会が多くなった。音楽に好き嫌いやこだわりは当然あるが、だからといって何に対しても耳を塞ぐことはないスタンスでいたから、これまで生きてきた時代の中で自分の意思とは関係なくふれてきたものであっても、それらは自然と身体に入っている。でも、決して耳を塞ぐことはなかったとはいえ、全く聴いてこなかったと言っていいスタレビや美里、マッキーなどの曲を通して ”音楽を好きでよかった自分” を確かめる日が来るなんて思いもしなかった。音楽の素晴らしさを知ることの素晴らしさ。音楽を好きでいて本当によかった。そんな当たり前のことを思わせてくれた夜だった。

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