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CHABOのKing Biscuit Time DJ 南青山MANDALA 2024.10.10.

チャボはこういった場やライヴのMCで、何気ないことだけでなく、深いところまでも自身のプライベートを話してくれることがある。たとえば、著書『一枚のレコードから』に収録されたエッセイは、ただでさえかなり具体的な内容なのだけれど、これをさらに膨らませて僕たちに話してくれることが少なくない。だから、ファンにはよく知られたプライベートの話は多いと思う。加えて、著書ではなく、唐突にMCなどで発表される話もある。しかも、そういう話に限ってヘヴィなものだったりするのだが、話せるということはチャボの中では何らかの解決があったからなのだから、あくまでも僕はひとつの物語として受け止めてきた。前置きが長くなったが、この日、プログラムも終盤にさしかかる頃に、ファンにはお馴染みではあるけれど、そこに驚きが加わったエピソードを話してくれた。

この日はイーグルスとボズ・スキャッグスに目が行った

チャボの実家は写植をしていた。そこに住み込みで働いていた職人さんのひとりであるクボさんという人が、お昼休みにギターを弾いて「ダイアナ」や「ラヴ・ミー・テンダー」を歌っていた…が、チャボとギターの出会いというのはファンには知られている話。その、チャボの実家でギターを持ったクボさんが写っている写真数枚が、突然郵送されてきたという。しかも手紙などは添えられず、単に写真だけが送られてきたそうだ。受け取ったチャボの思いを想像するだけでグッとくるが、差出人が誰なのか、その意図は何か、詳しいことは何もわからないというミステリアスさと相まって、この話の最中は独特な空気が流れていた。封筒には住所が書かれていたので、チャボは返信を出したそうだから、後日談があればあらためて報告をしてくれるとのこと。この話を聞けただけで今夜のDJに来てよかったと思ったが、その理由は、単なる話としてでなく、僕にとってはこれもチャボの音楽だからだ。あらためて書くが、今の僕が聴いているのは仲井戸麗市の音楽ではなく、人間・仲井戸麗市なのである。

誕生日翌日らしい華やかなステージ

PLAY LIST

  1. 74 Years Young / Buddy Guy

  2. Jamaica Say You Will / Jackson Browne

  3. Impressions Of Oliver/ The Herd

  4. From The Underworld / The Herd

  5. Drive My Car / Bill Wyman

  6. I've Got A Thing About You Baby / Tony Joe White

  7. White Bird / I'ts A Beautiful Day

  8. Runaway / Del Shannon

  9. Is It Really Love At All / Eric Andersen

  10. Who's Making Love / Johnnie Taylor

  11. In My Life / The Beatles

  12. Something / 仲井戸麗市

P.S.
俺はまだ若造だ…と74歳で歌うバディ・ガイで始め、まだ25歳のジョン・レノンが若い頃の思い出を歌った曲で終わる構成。この2面性がこの夜を象徴していたのだが、74歳になったばかりのチャボは、最後に自作の「Something」(マスタリング前のニュー・アルバム音源)を加えた。こんな完璧なプログラムはあるだろうか。


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