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仲井戸"CHABO”麗市 Music From CHABO BAND 2024 Experience EX THEATER ROPPONGI 2024.11.23.

花や草木のセットでステージが華やかな雰囲気になっていた。バンドの音だけで魅了させてくれた素晴らしい大阪のライヴとの対比もあり、開演前は否が応でも期待が高まった。

神野美伽さんからのお花!

大音量の「アー・ユー・エクスペリエンスト?」で一気に気分があがる。チャボのライヴは決して本人やバンドの演奏だけで組まれているわけではないことを理解しているので、既に開演である。いきなり " 俺を体験済みか? " とチャボがジミヘンのギターをバックに語りかけてきたようで強烈。" もちろんだ! " と、僕は心の中で答えた。

「ガルシアの風」のリーディングに続き、" We Are CHABO BAND!" と誇らしげに宣言し、バンドをひとりずつ呼び込んでのインストから「ホームタウン」。機械的な照明が不要に思えるほどの鮮烈な三つの色彩。大阪公演でも感じたが、完璧なオープニングだ。

We Are CHABO BAND!

” ジェファーソン・エアプレインに飛び乗って ”
「ホームタウン」は冒頭でこう歌われる。自分の中にある言葉でチャボは自身のホームタウンを表現する。決して60年代にこだわっているからではなく、チャボにとって必然的な言葉であるからこそ…そのことを僕らは理解できるから、誰もがチャボのホームタウンをイメージでき共感もできてしまうから素晴らしい。ちなみにこの一行。初めて聴いたときから、日本語のロックでいちばんかっこいいフレーズだと僕は今でも思い続けている。

RCサクセションの「お墓」を演奏し、MCで清志郎が夢に出てきたことにふれ、そのまま「リトル・ウィング」に続いた流れも、チャボがのせた日本語詞もあって感動ポイントになっていた。変に意識させずにRCサクセションと忌野清志郎とのExperienceを提示し、結果的に観客にその感じ方や味わい方を委ねることになっていたのもよかったと思う。あの場にいた人たちが、それぞれ思い想ったものが会場内に溢れ、感動的な空間を作っていたのではないか。

前半からライヴのタイトル、Experienceに相応しい内容だったが、中盤からは12月に発表されるニュー・アルバムからの曲を交えてのプログラム。特にアコースティックなパートでの「ユー・ガッタ・ムーヴ」と「新宿Swamp」は、このバンドの音楽的な豊かさを堪能できて聴き応えがあった。ここで聴けたものに限らず、ロックン・ロールやブルースでぶっ飛んでくぜ! だけではない仲井戸麗市の魅力は、もっと見せびらかし、ひけらかすべきだ。

ライヴ本編を締めたのは「My R&R」。この曲でチャボは " My " だけでなく、必ず " Your " とも言ってくれる。Your R&R…おまえのロックン・ロールは何だ? 僕はそれをチャボから学んだんだ。1981年12月24日、日本武道館。「チャンスは今夜」を歌い終えたチャボが叫んだ " ロックン・ロール!" が、この日の「My R&R」を歌うチャボの姿と重なった。

1981年12月24日、日本武道館  " ロックン・ロール!"

仲井戸麗市のExperienceを存分に浴びた一夜だった。チャボの中にしかないはずのものが普遍的な音楽となり、僕たちが共有できることは奇跡かもしれない。でも、ロックン・ロールがあったから、チャボも僕たちもここにいるのだ。それは奇跡と呼べる必然であり、必然と呼べる奇跡なのかもしれない。

P.S.
それにしてもこのバンドのライヴが一年に一度しかないのは犯罪的である。心からそう思う。チャボも " 1年に一度しかライヴをしないのはバンドとしてどうなの? " とか、" ツアーに出たいぜ " とか、しきりにCHABO BANDへの強い思いを素直に出していた。本当にバンドをやりたいのだ、チャボは。CHABO BANDで動きたいのだ。そんなチャボの発言をステージで聞いていた3人のメンバーはどう思っていたのだろうか?


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