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京都・磔磔・麗蘭LIVE2023 「Homecoming」2023.12.30.

オープニングSEの「波路はるかに」が流れ、客席後方の階段を4人がおりてくる。そしての1曲目にライヴのタイトルを冠した曲が演奏される。僕の知っている年末・京都・磔磔の麗蘭が変わらずにそこにいた。

変わらない看板が迎えてくれた


4年ぶりでも何も変わらない…変わっていない麗蘭と僕であったはず…だったが、ライヴも中盤にさしかかる頃だっただろうか。チャボの紹介から早川さんのMCがあった。

1978年に初めて磔磔に出演以来、今日がいちばん嬉しいよ

これをきっかけに、それまで当たり前のようにふれていたこの夜の特別さを僕は理解したのだ。キーボードを叩けば1~2秒で表示される " 4年ぶり " の4文字。言葉として口に出しても同じだ。僕自身も気持ち的にあっという間と感じていたから、ライヴが始まっても実際に流れたとてつもない時間を体感として受け止められていなかったようだ。磔磔で麗蘭を4年ぶりに聴くのではなく、僕たちは4年間も聴けなかったのである。

何も変わらないかのようにステージで演奏しているように見えた4人はそうではなかった。今、冷静に振り返ってみれば、前述した早川さんのMCの他にも、やたらと笑顔の麗と蘭だったし、" みんな、いい顔してるよ " とチャボが客席に呼びかけるなど、演奏以外にもメンバーの思いがあちこちに素直に出ていた。ステージから放たれるそんな思いを理解し、ココロで受け止めてしまったら、そこからは最後までただ身を任すだけである。

SOLD OUT !!


2010年代になってからだろうか。結成当初のチャボがアコギ、蘭丸がエレキというスタイルから、チャボもエレキを持つことが増え、二本のギターで引っ張るアレンジの曲が多くなった。しかもエレキは歪んでいるのだ。今ではこのスタイルこそがライヴにおける麗蘭サウンドになっている。交互にソロを廻すアレンジがデフォルトになっているのも特徴で、特にハードなロックン・ロールには引き込まれる。この日も存分に二人のエレキ・ギターが炸裂していた。麗蘭に付いている『京都・年末・磔磔』の枕詞に、今後はギターとロックン・ロールも加えたい。

今年の看板は照明により色が変化して見応えがあった


僕が常々思ってきたことのひとつに、" チャボが麗蘭で発表してきた曲は音楽へのLove Songが多い " があるが、あらためてそのことを強烈に感じた夜でもあった。麗蘭のデビュー曲は「ミュージック」である。" ミュージックは、音楽は素晴らしいということを、音楽の中で歌っている歌である " 。この、ライターの森田恭子さんによる「ミュージック」のすべてを表した文章のとおり、麗蘭はスタートからそんなバンドなのである。

俺はロックン・ロールですべてを知った
かすかな呟きだとしても音楽は素晴らしい
今夜、俺たちと一緒に口ずさもう

この夜に聴けた「R&R Hymn」「ミュージック」「Get Back」には涙が出た。特に「Get Back」だ。" 今夜いかれてる音楽へGet Back!" と、ギターを放棄し、マイクを持って客席に向かいシャウトするチャボを見たら泣くしかないではないか。

バイバイ 西暦2023年 ハロー 西暦2024年
世界中 どうぞいい年になりますように

いい音楽やライヴというものは、無意識に抑えている感情や思いを解放してくれる。例え辛さや悲しみであっても、そこで解放されたことで少しずつ癒しになり、前に進むことができる。僕にとっての年末・磔磔・麗蘭は、この要素を持つ存在だ。たった2~3時間ほどの短い時間であっても、麗蘭と一緒に過ごすと必ず新しい自分になれている。これって本当に凄い。2023年。4年ぶりにそれがあった。ありがとう麗蘭。


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