CHABOのKing Biscuit Time DJ 南青山MANDALA 2024.07.11.
1曲目に2015年の渋谷公会堂でのチャボのライヴから「やせっぽちのブルース」が大音量でかかる。聴き終えたお客さんの熱が会場を満たしたところで、チャボが " 今日はライヴ特集にしようと思ってる " とたたみかけたので、オープニングから一気に盛りあがった。
チャボが初めて買ったライヴ盤というチャーリー・クリスチャンは、トークと2曲ほどのさわりだけだったが、基本的には、いわゆるライヴ盤からチョイスした曲をかけてくれた。これまでに比べてマニアックなバンドやアーティストは少なかったし、加えて事前に生おハガキコーナー用のシートが配られたおかげで、曲の合間で質問に回答するなどトークの機会も増えていたので、一体感があった。
ただ、直接チャボと繋がることができるこの企画はファンにとって嬉しいことだけれど、その場だけで通り過ぎてしまう軽めで楽しいQ&Aになることが多いのは否めない。でも、質問内容によっては、新たな情報が得られたりするのはもちろん、良い意味で長く後を引くような重要発言が出たりするので、決して気軽とは限らない。チャボだけではないが、今の時代、ミュージシャンのインタヴューを読む機会がほぼなくなっているから、いかに言葉を残していくかが本当に大事だと僕は思っているので、こうした場も重要なのである。たとえば、教えてくれた新作のレコーディング状況も、この場がなければ、今はファンも知ることができないのであるから。
久しぶりにチャボのビートルズを浴びて感動した夜でもあった。中でも、ビートルズの写真集に載った武道館客席に自分(チャボ)が写っているのではないか…の検証は、とても愉快で会場全体で盛りあがりながらも、そんな合間から沁みだしてくる何かしらの切なさも相まって、僕にとっては感動的な時間になっていた。
まだ横浜のサムズアップでDJが開催されていて、たまたま来日40周年と重なったときのこと。ビートルズを語りながら思いや想いが溢れてきたのだろう。途中で言葉に詰まるチャボを見たことがある。そのことをここに文章で伝えることは難しい。ただ、あの場にいた人たちは理解した…理解できたはずだと思っている。その理由は、チャボにとってのビートルズと呼べる何かは、僕たちそれぞれの中にも絶対に存在しているからだ。チャボの思いを知るには、自分の中のそれを感じるだけでじゅうぶんだっただろう。こんなことを思い出したので、MANDALAでもチャボが「ビートル一人一人達の再来日」を朗読したときに、" あっ、チャボは泣くんじゃないか " と思ったくらいだ。でも泣きそうになったのは僕だ。日本公演のオープニング・ナンバー、1966年6月30日のジョン・レノンの歌声と、1991年にエリック・クラプトンのバンドをバックにしたジョージ・ハリスンの「サムシング」は、” チャボのビートルズ ” が僕の中でパンパンに膨らんだ時間だった。
PLAY LIST
やせっぽちのブルース / 仲井戸"CHABO"麗市
Memphis / Johnny Rivers
Statesboro Blues / The Allman Brothers Band
Try a Little Tenderness / Otis Redding
Many Rivers to Cross / Jimmy Cliff
Sunny Afternoon / The Kinks
Kind Woman / Poco
Rock and Roll Music / The Beatles
Strange Weather / Marianne Faithfull
Jersey Girl / Bruce Springsteen
Something / George Harrison
「ジャージー・ガール」はトム・ウェイツのオリジナルもいいけれど、スプリングスティーンのライヴ・ヴァージョンが最高だと僕も思う。