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ソーシャルワーカーが起こした事件ってあるの?

こんにちは、相談支援専門員で独立を目指す
ソーシャルワーカーの「Ao」です。
今日は、なんか「ふっ」と気になった。SWってなにか事件を起こしたことあるのだろうか?と思いう疑問。
とりあえず、調べたことを書いてみようと思います。


医療ソーシャルワーカーによる犯罪行為とその影響

2016年8月、兵庫県の病院に勤務する医療ソーシャルワーカー(MSW)が、患者の預金を無断で引き出し、窃盗容疑で逮捕されるというショッキングな事件が発生しました。ソーシャルワーカーは、患者の生活や権利を守ることを使命とする専門職であり、こうした犯罪行為はその職業倫理に真っ向から反する行為です。この事件に限らず、認知症の患者の現金を着服するなど、患者や利用者の弱い立場を悪用する類似の事件が報道されており、社会的な波紋を広げています。

https://www.hyogo-msw.jp/pdf/20160829a.pdf


これらの事件が与える影響は深刻です。ソーシャルワーカーは、医療や福祉の現場で患者やクライアントの信頼を得て初めて支援が成り立つ職種であり、一部の不正行為が明らかになることで、専門職全体の信頼性が大きく損なわれる危険性があります。そのため、日本医療社会福祉協会や兵庫県医療社会事業協会などの関連団体は、再発防止に向けた取り組みとして、倫理教育の強化や監査体制の見直しを進めています。


事件の背景にある要因

こうした犯罪が発生する背景には、いくつかの要因が指摘されています。まず、医療ソーシャルワーカーの多忙さや業務の複雑化です。SWは多くのクライアントを担当し、医療や福祉、法的な調整を行う中でストレスや疲弊を感じることが少なくありません。こうした業務過多の状態は、倫理観や職業的判断力を曇らせるリスクを生み出し、結果的に不正行為に至る可能性を高めることがあります。

また、業務において金銭や財産に関与する機会が多いことも、一因として考えられます。特に、高齢者や障害を持つ患者の家族が近くにいない場合、医療ソーシャルワーカーがその生活支援や金銭管理の一部を代行する場面もあり、こうした状況では適切な監査やチェック体制が欠如すると、不正行為を防ぐことが困難になります。

再発防止への取り組みと倫理教育の重要性

日本国内の医療ソーシャルワーカーの倫理教育は、これまでにも重視されてきましたが、こうした事件を受けて、より一層の強化が求められています。例えば、日本医療社会福祉協会では、定期的な倫理研修の実施や、倫理的ジレンマに対応するための指針を策定するなど、ソーシャルワーカーが自己の行動を客観的に評価し、常に高い倫理観を保持できるよう支援しています。

さらに、監査体制の強化も進められています。各医療機関や福祉施設では、金銭の取り扱いにおけるダブルチェックの徹底や、財産管理業務を行う職員同士の相互チェックを導入するなど、不正行為を未然に防ぐ体制作りを強化しています。

ソーシャルワーカーの役割再考:専門職としての価値と信頼性の回復

一方で、こうしたネガティブな事件を通じて、ソーシャルワーカーの重要性が再認識される側面もあります。例えば、2015年に発生した川崎市の中学生殺害事件では、学校や家庭で支援を受けられなかった少年たちの支援体制が問われました。この事件を機に、スクールソーシャルワーカー(SSW)の必要性が改めて見直され、教育現場でのソーシャルワーカーの役割が重要視されるようになりました。

また、刑事事件においても、ソーシャルワーカーが弁護士と協働することで、被告人の社会復帰や環境調整に貢献する事例が増えています。例えば、犯罪を犯した被告人が家庭や地域社会でどのような支援を受けるべきかをソーシャルワーカーが調整し、適切な支援環境が整備されることで、再犯の防止や社会復帰の促進に大きく寄与しています。このように、ソーシャルワーカーの専門性と倫理観が、社会の安全と個人の権利擁護にとって極めて重要であることを示す事例も数多く存在します。


まとめ

医療ソーシャルワーカーによる犯罪行為は、社会的な信頼を大きく損なうものであり、倫理教育のさらなる強化や、監査体制の見直しが急務です。しかし、こうした事件を契機に、ソーシャルワーカーの役割や専門性が再評価され、社会の中で彼らが果たすべき役割が再確認されることも重要です。ソーシャルワーカーは、単なる支援者ではなく、社会の一員として、個々の人権を擁護し、社会の安全を守るための重要な存在です。倫理観と専門性を常に磨き、信頼を取り戻し、より良い支援を提供できるよう努めることが求められています。

このような視点から、ソーシャルワーカーは自身の行動を見直し、常に高い倫理意識を持ち続けることが、クライアントに対する責任を果たすための第一歩となります。事件を防ぐだけでなく、社会全体の信頼を築くための不断の努力が求められているのです。


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