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抱樸(ほうぼく):ひとりぼっちにさせない温かい居場所

相談支援専門員で独立を目指す、ソーシャルワーカーのAoです。
この間、抱樸(ほうぼく)の理事長奥田さんの講演を聞く機会があり、とっても興味深い講演でしたので、自分なりに抱樸について調べて記事にしてみました。

抱樸(ほうぼく)という名前を聞くと、一見ちょっと古風で堅苦しい印象を受けるかもしれませんが、実はとても柔らかくて温かい場所なんです。
福岡県の北九州市を拠点に、地域の人々が“ひとりぼっちにならない”社会を目指して日々活動している認定NPO法人。それが抱樸です。


この団体は、困りごとを抱えた人々に「はい、ここにおいで」と差し伸べる手を持ち、決して見捨てず、最後まで伴走する姿勢を大切にしています。街で出会ったホームレスの方や、頼る人がいない高齢者、生活に困った若者、障がいを持つ人たち、家族に問題を抱えた子どもたちなど、社会からちょっとだけ「こぼれ落ちた」人々に手を差し伸べ、「居場所」と「生きるチャンス」を提供するのが、彼らの使命。


「ひとりにしない、断らない、つながり続ける」

抱樸が掲げる理念は「ひとりにしない」「断らない」「つながり続ける」というシンプルだけど奥深い言葉。この言葉には、どんなに厳しい状況にいる人でも、決して見捨てないという覚悟が詰まっています。

例えば、ホームレス支援の炊き出し活動。普通の炊き出し活動と何が違うのか? 抱樸の場合、ただ食事を提供するだけでなく、食べに来た人としっかり向き合い、話を聞き、どこかに住むところはないか、仕事を見つける手助けはできないかと、まるでおせっかいなお隣さんのようにサポートを続けているんです。「食べたらおしまい」ではなく、むしろそこが新しいつながりの始まりになるんですね。


誰もが「自分の場所」を持てるように

抱樸が運営する施設の中には、「抱樸館北九州」というちょっとユニークな複合型施設があります。ここでは、なんと24時間体制でスタッフが常駐し、デイサービスや食事を提供するレストラン、さらに住まいのスペースまでそろっているんです。まるで小さな街のように、あらゆる人が「ただいま」と言える場所をつくり上げているんです。さらに、「プラザ抱樸」という見守り付き住宅を提供しており、一人で生活するのが心配な人でも安心して住める環境が整えられています。

「居場所づくり」のための工夫はこれだけではありません。困窮している人がアパートを借りるとき、身元保証人がいないと契約ができずに行き場を失ってしまうケースがあります。そんな時、抱樸が身元保証人を引き受けてくれることもあります。まさに「断らない」という理念を体現していますね。

「仕事がしたい」気持ちを叶える

また、ただ生活を支えるだけではありません。困っている人が「仕事をしたい」と願った時、その夢を実現できるように抱樸は就労支援にも力を入れています。中間市や北九州市の委託を受けた就労準備支援や、厚生労働省の技能講習など、様々なプログラムを通じて働くチャンスを提供しているんです。しかも、就労だけでなく無料で職業紹介も行っているというから驚きです。

社会の「こぼれ落ちそうな人」を包み込む

抱樸のすごいところは、「誰かに頼られたら最後まで見届ける」というスタンスです。例えば、刑務所を出所したばかりの人、家族と離れてひとりになった子どもたち、障がいを持つ人たちなど、さまざまな理由で社会から孤立しそうな人たちに対して、彼らは「包み込むように」関わり続けます。

主な受賞歴

  • 2020年

    • 第24回地球倫理推進賞

    • 文部科学大臣賞

  • 2021年

    • 北九州SDGs未来都市アワード(市民部門)大賞

  • 2022年

    • 第81回西日本文化賞(社会文化部門)

  • 2023年

    • 令和5年北九州市表彰(周年表彰)

これらの受賞歴は、抱樸の取り組みが社会的に高く評価されていることを示しています。特に地域社会に根差した活動が、共生社会の実現に向けて大きな影響を与えていると評価されています。

見学してみたいと思うのはなぜ?

抱樸の活動を知ると、やっぱり「一度見てみたい」と思いませんか?どんなに言葉で説明しても、実際の現場を見たときに感じる「温かさ」や「人と人とのつながり」は、きっと言葉以上の感動を与えてくれるはず。私たちも普段の生活の中で、つい「困っている人のことは見て見ぬふりをしてしまう」ことがありますよね。でも、抱樸のスタッフたちは「見ないふり」をせずに、むしろどんな困難にも正面から向き合い続けているんです。

いつか、北九州の抱樸の施設を訪れて、彼らがどのように人々と関わっているのか、ぜひその目で見てみたいものですね。そのとき、きっと「ただ支援する」だけではない、“人と人との絆”がどれほど大きな力になるのかを実感できるはずです。

抱樸は、多くの困難を抱える人々にとっての「希望の光」として評価されていますが、その一方で、すべての活動が支持されているわけではありません。たとえば、「支援を受ける側の自立を妨げてしまうのではないか」「行政の役割をNPOが肩代わりしている」といった批判の声も存在します。また、支援対象が多岐にわたるため、一部の支援が行き届かないと感じる人もいるようです。それでも抱樸は、批判をも真正面から受け止めながら、「ひとりにしない」という信念を貫き続けています。どんな意見も、活動をより良いものにするための糧として、これからも試行錯誤しながら歩み続けるのだと思います。

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