息子の習慣性脱臼 その1

息子が中学部の夏休み、朝起きてくると、なんだか姿勢がおかしかった。
痛がるわけでもなく、子どもの頃から、つま先歩きや斜めにものを見るなどおかしな動作をすることがあったので( 自閉症にありがちなことです)、あまり気にしていなかったのだけど、2日後の登校日に先生から連絡がある。
「左肩、脱臼しています。すぐ病院へ行ってください。」

えっ⁈…脱臼???⁈
慌てて整形外科へ息子を連れていく。

問診では、いつ、どんな状況で脱臼したかを聞かれるのだけど、
「朝、起きたらこの状態でした」
「脱臼したのは多分2日前だけど気づかなくて、学校から連絡があって…」
喋らない障がい児が怪我をしてから2日間受診もせず放置、怪我した状況の説明が曖昧…これって完全に虐待疑われるパターンだなと思い、どんより感満載。
整復してもらう際は痛がって、罠にかかった小鹿みたいに「ヒーッ!!ヒーッ!!」と悲鳴を上げるのでいたたまれない。

これ以降、頻繁に脱臼を繰り返すようになり、多いときは週に数回。
大体、就寝中に抜けるようで、朝起きたら肩が不自然に下がっていて気付く。
元々関節が緩いのか、脱臼すると腕は上がらなくなるけれど、痛がる様子はない。
ただ、そのままにはしておけないので、その都度学校に通院で遅刻すると連絡して整形外科へ走る。
午前中の整形外科はリハビリに通う高齢者も多く1~2時間待ちが普通。
毎日、脱臼への不安と対応で日常が完全に崩壊した。
よかった点は、毎週のように整形に通うことで、息子はレントゲン撮影の際、母が一緒にいなくても大丈夫になり、母はイレギュラーに対応する柔軟性とたくましさを身につけた。

脱臼が頻繁に起こると、段々感覚がマヒしてきて、命にかかわることはないから通院は放課後でもいいやん!ってのが本音だったけど、そんなことしたらますます虐待だと思われそうで、意地でも登校前に通院していた。
ただ、仕事にもしわ寄せするし、息子を連れていると周囲の患者さんにも気を遣うし、母の疲弊ぶりを見て、ドクターがあることを教えてくれた。
「素人整復は怪我のリスクがあるので絶対おすすめしませんが、休日や夜など、すぐ病院へ行けない時に、応急処置として試しても危険がない方法があります」

…つづく

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