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【投資初心者向け】日本と米国の景気を「先行指標」で考える

「先行指標」とは文字通り、景気に対して先行で動くものです。つまりは、その数字を見ると「今後景気がよくなるか悪くなるかの予想がつく」ということになります。
そこで今回は、代表的な先行指標である、「住宅着工件数」を見て日本と米国の景気を考えてみます。
これを見ることで、長期投資に向けてどういう事を考えればよいのか理解できると思いますので最後までご覧ください。

1.なぜ住宅が作られると景気がよくなるのか

日本でもアメリカでも、住宅は高価な買い物の代名詞です。従って以下のような点で住宅件数が高いと景気が良いと判断されます。
①住宅を購入できるほど収入がある人が一定数存在する
②将来にわたって収入が得られると思うから多くの人が購入する
③住宅を購入すること自体で多くの関連企業にお金が渡る


①は景気の良い人が多くいる、②は景気が良いと判断している人が多い、③は実際に景気循環をよくするお金の流れができています。結局どれも現在から未来にかけて「景気が良い」と思える状況にあるということです。

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2.日米の現状

(1)日本の着工件数
下記のデータは、日本の国土交通省の資料を抜粋して載せています。
ポイントとしては以下の通り
・昨年よりも全体で3.7%減少
・20か月連続の減少

 →ここ数年は景気が良くない状態が続いており、将来的にも景気は厳しいと考える人が多いので、住宅が作られないということになります。

日本の住宅着工戸数

(2)アメリカの着工件数
アメリカの住宅着工件数は
・コロナ時期に一時期大きく落ち込んだが、その後は順調に回復している
・5年前から右肩上がりで伸びている

 →5年以上前から景気が伸びていて、将来的にも景気が良くなるだろうと考える人が多いから住宅が作られるという状況となります。

米国住宅建築許可件数


3.この状況からの考察

(1)現在の株価について
なぜこのような状況で、日本とアメリカで景気の流れが違うのに、同じように株価がコロナ後に上がってきたのでしょうか。理由の一つはご存じの通り各国中央銀行が買い支えているからです。
さらに政府も給付金や支援で国民全体や生産活動をしてない飲食店などにもお金を渡しているので、そこで余ったお金も株価にまわっていきます。つまり、国の借金で、「政府」と「個人」両方が買い支えている構図がみえてくるので、「実力以上」の株価を示している状態です。これは両国に当てはまります。従ってこの買い支えの状況は十分確認する必要があります。

(2)投資先としての日本と米国
①日本

日本は人口減少しており、住宅着工も少ないという事は、今後も景気が悪いと予想されます。さらに日銀や国の支援金で「生産性が低い」あるいは「コロナで変革した社会に適合できない」企業や個人も新たな分野に移りません。結果として今後も「失われた20年」が継続する可能性が高いということです。具体的には
・デフレで金利や「物の値段」は低いが給与もあがらない
・国力低下(人口減、生産性上がらず)だが、国の借金で生き残る
・有力な個人や企業は海外に成長を求める

という流れになると思います。
だからと言って投資に不向きというわけではありません。投資は「割安か割高か」も重要なので大きく成長しない代わりに変動も低いという事です。

つまり、株価は上がらないけど日銀買い支えで価値もさがらないので、安定志向の人に向いてます。
数年分暮らせる金額を維持し国債あるいはインデックスでの分散投資や安定企業に投資すれば、配当により一定の恩恵がえられますので、堅実な資産運用ができます。

②米国
逆にアメリカは、人口も増加しており、住宅着工も増えていますので、経済が拡大する傾向にあります。しかし、経済が上向いているのに、中央銀行や政府がお金をばらまいているので、余ったお金が投機的な資産運用に回るニュースもでてますよね。
つまり、お金の価値が下がる(インフレになる)可能性が高い状況です。
具体的には
・給与も上がるが、金利も「物の値段」もあがる
・金利が上がるので、政府の財政で下支えが厳しくなる
・現金の価値が下がるので、価値が保存できる商品(株、金、ビットコイン等)に変える動きが強まる

つまり、ドル建ての商品を持っていると、100ドルだったものが、数年で200ドルになったりします。米国人にとってはパンが1ドルから2ドルになったら株価が倍になっても生活としては嬉しくないですが、日本の投資としては為替次第ですが大きく増える可能性もあります。しかしインフレが進んだことで30%以上株価が暴落したことが過去数度ありますので、日本より「リスクが高い」という状況になります。

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4.最後に

上記の考察から見れば米国に投資をして資産を増やし、日本円を確保しておいて将来日本で暮らす方が得になります。1ドル 100円で100ドルなら1万円だが、仮に数年後1ドル80円になっても株が200ドルになってたら1.6万円になり、数年後も日本の円の価値は変わらないから資産運用効率が良くなる可能性が高いです。

ただし、日本もワクチン投与が進むと景気が良くなり円のばら撒きすぎでインフレの可能性もあるし、米国もワクチンでコロナを抑え込めなければ景気が悪くなる可能性もあります。
それでも、「指標を使って自分なりの投資判断」を身に着けることが将来的に自分の資産をつくるのです。
今回の勉強が少しでもあなたの資産運用に役立てば幸いです。

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