<北海道キャンプ旅①>花の季節は短いからね……
北海道に行くなら、どうしても見ておきたいのが花畑だ。
以前も美瑛・富良野周辺をまわったとき、ストライプ状に美しく彩られた花畑を見て感動した。今回の北海道キャンプ旅でもどこか花畑はないものかと探していたら、目的の朱鞠内湖へ行く途中に「北竜町ひまわりの里」なるものがあるのを見つけた。これは行かねばなるまい。
調べてみると、8月20日まで「ひまわりまつり」を開催中とのこと。そばを通るのは15日なのでギリギリ見られそうだ。
北竜町のホームページにはどこまでも続く黄色いひまわり畑の写真が掲載されていて、写真だけで気持ちが高まる。
もともと私はひまわりが好きだ。だって、なんだか見ているだけで元気になるじゃないか。太陽の光をそのまま受け取ってエネルギーに変えて咲き誇っているような、そんな強くて明るいイメージに惹かれるのだ。
それに、ひまわりはどこかノスタルジー。小学生の頃に夏休みの観察記録で育てていたからだろうか。懐かしくて、かわいい花だ。
「ひまわり見られるね~!」とワクワクしながら車を走らせる私と夫。
ただ、「ひまわりまつり」開催中とはいえ、見頃は過ぎているだろうなとは思っていた。開催終了ギリギリだし、今年は特に暑かったから育つのも枯れるのも早かったに違いない。
夫に「たぶん見頃は過ぎてると思うよ。半分くらい枯れてるんちゃうかなー。それは覚悟しとかないとねー」なんて偉そうに言いながら、実は自分にも言い聞かせていた。
さて、実際のひまわり畑に辿り着いてみると、お盆休み中ということもあって、やはり人であふれている。が、それがお祭り気分を盛り立ててくれて、ワクワクが止まらない!
駐車場に車を停め、急ぎ足でひまわり畑へと歩いていった。
さあ、目の前には黄色いひまわりの丘が・・・
ない。
私たちを迎えてくれたのは、あのホームページで見ていたような黄色い太陽のような花ではなく、しょぼくれて下を向いた茶色い花だった。
「枯れてる……」
呆然としたが、ひまわり畑の中は迷路になっており、歩いてまわれるということだ。もっと奥の方まで歩いていけば、まだ咲いている場所もあるかもしれない。なんといってもここは200万本のひまわりが咲くのだから。
ショックを受けていることを夫に悟られないよう、「だから私、言ってたやん?もう見頃は過ぎてるかもよって。まあ、覚悟はできてたからね~」とか言いながら、しょぼくれたひまわりの間をどんどん歩く。
「かおり~、もっとゆっくり歩き。疲れるで~」と夫の声を聞きながらも、意地になったようにひたすら歩く。きっとあるはずだ。あの黄色いひまわりが……。
畑の中は右を見ても左を見ても、全部ひまわり。どこまでもどこまでもひまわりが続く。ただ、下を向いたしょぼくれひまわりが……。
かなり歩いた後、突然、虚勢よりもがっくり感のほうが強まり、立ち止まってうなだれる私。
夫はおろおろして、「うわぁ、めっちゃショック受けてるやんか~」「よし、他のところ探そう!他にもお花畑あるかもしれんで」などと言って今にもスマホで検索しようとしてくれている。
その優しさが身に沁みて、いかん!自分の機嫌は自分でとらねば!と思い直し、元気いっぱい夫に笑顔を見せた。「ううん、大丈夫!」
ただ、その顔はかなり引きつっていたと思う。
気を取り直してよくよく見てみると、全体的に9割9分枯れているのだが、ほんの少しだけ咲いているひまわりがあることに気づいた。そこで、まるで宝探しのように、「あ、これちょっと咲いてる!」「あそこ、1輪だけある!」と、なんとか花が開いているものを見つける作業に切り替えた。
そして、ここからは写真の技術である。
なんとか一面に咲き誇ったひまわり畑の中の一部を切り取ったかのような写真を撮ることに集中した。
はぁ~、苦肉の策である。
ただ、なんとなくいっぱい咲いているような雰囲気写真が撮れたので、それで良しとし、とりあえずは満足した。
さらに、帰りに、このひまわりの里を守るための寄付を受け付けているのを知り、500円寄付してみたら、ひまわりのポストカードと種をもらえた。
「種、もらえたよ~」と夫に走り寄る私。
「来年、うちの庭に植えよう」「うちにひまわり畑を作ろう」と話していたら、なんだかまたワクワクしてきて、もう枯れたひまわりのことは気にならなくなっていた。
いや、ほんのすこぉーし、まだ残念な気持ちはあったけれど、でも旅は始まったばかり。きっともっと素敵な風景にたくさん出会えるはず。
そんな期待を持って、その日宿泊する予定の朱鞠内湖畔キャンプ場へと車を走らせた。