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ライターとして生きていく

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1996年よりフリーランスのライターとして活動しています。日々の仕事の中で感じたことや学んだことなどの記事をまとめています。ライター初心者の方にとって、何か参考になれば幸いです。
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2023年11月の記事一覧

今年もまたこの場所に帰って来られた

ピンと張り詰めるような冷たい空気の中、和釜の上に置かれた甑(こしき)からもうもうと白い蒸気が上がり、天窓に吸い込まれていくのを寒さに震えながら見ていた。 寒い。酒蔵は底冷えする。 ポケットの中のカイロを手で探りながら、白い蒸気を見つめる。 朝9時半。もうすぐ酒米が蒸し上がる。少しずつ蔵人が甑のまわりに集まってきて、蔵の空気が動き出す。 いいな、この瞬間。 ご飯が炊ける時のような少し甘い匂いを嗅ぎ、胸の奥と目頭が熱くなっていくのを感じていた。 やっぱりこの景色が好きだな、

書くことから離れてはいけない。

前回noteを投稿してから、あっと言う間に2週間近く経った。その間、何をしていたのかといえば、ただひたすらに「生きて」いた。 毎日、痛みに耐え、痛みをコントロールしようともがき、自分の体のケアをすることに時間を割き、動けるわずかな時間に最低限の家事と、ほんの少しの仕事をする。それで一日が終わっていた。 自分は何のために生きているのかな、と思うことがある。 寝ているだけで一日が終わってしまうと、ただ虚しさが残る。 今日を生きるためにはケアが必要で。だけど、ケアをしていたら他に